軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

色々お披露目しました

シシリーとばあちゃんが戻ってきた。シシリーは大分落ち着いた様だ。良かった。

「シシリー、落ち着いた?」

「うん……ゴメンねシン君……私の事情に巻き込んだ上にこんな迷惑掛けて……」

「だから気にしてないって。俺は自分の意思で関与してるんだから。分かったらハイ。その制服貸して」

シシリーの手には脱いだ制服がある。今からその制服に付与を施す。その為に、シシリーから制服を受け取る。

「シン」

「何? ばあちゃん」

「その制服の付与だけどね、皆の前でやりな」

「何で?」

「アンタが如何に非常識な事をしてるのか、皆に見てもらうのさ」

非常識? そうかな?

「周りの反応を見て、自分がどれだけおかしい事をしてるのか、ちょっとは自覚しておくれ」

非道い言われようだ。そんなに変な事はしてない、と思う。

それでは早速、制服に付与されてる付与魔法の『削除』からだ。

まず削除するための専用作業杖を用意する。この杖は精密作業をする為に細く短い形状をしている。

そして制服に魔力を纏わせ、付与されてる文字を浮かび上がらせる様にイメージすると、文字が浮かび上がった。

「な、なんだ? これは?」

「魔法防御? 衝撃緩和? 防汚?」

「まさか……転記した付与魔法の文字……か?」

「この様な光景は初めて見るで御座るな」

初っぱなから皆何か騒いでんな。

そして次は専用作業杖を起動させ、杖の先端を浮かび上がった付与文字に当てる。すると。

「文字が……消えていきます……」

「まさか……付与魔法を削除してんの!?」

その通り、文字を削除して効果を消していきます。この時点で皆口を開けて茫然としていた。まだ本番はここからなんですけど。

「はぁ……いつ見ても非常識な光景さね……」

「ほっほ、誰も考え付かん事を平気でやりおる。成長したのう」

「アンタが! アンタがそんなんだからシンは……シンはぁ!」

爺さんとばあちゃんがじゃれあってる。

本当にもうヨリ戻しちゃえよ。

ブレザー、シャツ、スカートに施されていた付与を全て削除した。さぁ、ここから本命の魔法付与だ。

まず『絶対魔法防御』のイメージを思い描く。魔力障壁に触れた害意のある魔法の魔力を霧散させる。そしてそのイメージのまま制服に転記。三つ順番に同じ付与を施していく。一つずつイメージし直すのは大変だからね。

「同じ付与を続けて三つ別の物に施した?」

「一つだけでも大変なのに」

「凄いですね……」

あれ? そこも!?

続いて『物理衝撃完全吸収』のイメージを思い描く。服に向かって働いてる運動エネルギーを消失させるイメージを保ち、これまた三つ順番に同じ付与を施していく。

続いて『防汚』『自動治癒』も付与させていく。

その頃には、皆何も言わなくなっていた。

「呆れて物が言えん状態さね……」

そんな事無い……と思うけど。

そして付与が施された制服が完成した。

「所でシン君。なにやら見慣れん字を使っておったがどういう効果があるんだい?」

「付与した効果は四つ『絶対魔法防御』『物理衝撃完全吸収』『自動治癒』『防汚』を付与したよ」

文字のくだりは敢えて無視して付与を説明した。

「……何やら不穏な単語が聞こえたな」

「そう? 制服に元々付与されてた効果の上位互換だと思ってくれればいいよ。自動治癒は新たに付けたけど」

「……で? 各々どんな効果になってるんだい?」

「絶対魔法防御は全ての魔法を霧散させるんだ。物理衝撃完全吸収は物理衝撃を無かった事にする。自動治癒は怪我を治すよ、病気は治せないけど。防汚は元と同じだね」

ディスおじさんが何だか疲れた顔をしながら重ねて尋ねてきた。

「……その効果を詳しく教えてくれるかい? 絶対魔法防御とはどの程度の魔法を防御出来るんだい?」

「絶対魔法防御は魔力そのものを霧散させるからね。魔法なら何でもだよ」

「魔法なら何でも……」

「魔法使いの存在意義に関わる付与ね……」

「それで、物理衝撃完全吸収とは?」

「これも同じだね。物理攻撃……というか物体の運動エネルギーに関与するから物体なら何でもだね」

「物理攻撃もですか……」

「何でもありで御座るな……」

「……自動治癒はどの程度の治癒力なのかな?」

「傷と欠損を周りの細胞から補って治すからね、ある程度は治るよ。但し、病気には効かないんだ」

「欠損まで……」

「ちょっと……どうなってんのよ?」

皆何かしらブツブツ言ってるけど、これ完璧じゃないからね。

「って言っても、これ魔道具だからね、魔力を纏わせないと発動しないんだ。それもある程度の量をね。だから普段は発動していないから注意が必要だよ。不意打ちは防げないから。ただ、魔法を使おうとすると十分な魔力を纏わせられるから、詠唱中に攻撃を受けるって事は無いかな?」

これ、何とかしたいんだよね。魔道具は魔力を纏わせないと発動しないから継続的に利用出来ない。だから灯りはランプや蝋燭だし、暖炉は薪が必要なんだ。

考えているのは魔力を電池の様に蓄え、それをエネルギー源にして魔道具を発動出来ないかという事。考え付いたはいいんだけど、魔力を蓄えておく物が無い。何か良いもの無いかな?

「成る程、メリダ師の仰った事がよく分かった。確かにこれがもし献上されたなら国の宝となる程の物である事は間違い無い。そしてその付与をいとも簡単に施してしまう所も流石というか何と言うか……」

「確かにこれは凄い物です。しかし父上、これは……」

「ああ、分かっている。シン君、いいかい?」

「何? ディスおじさん」

「シン君、この付与は素晴らしい物だ。いや素晴らし過ぎる物だ。しかしこれが世に出回ったら大変な事になる。いいかい、この事は絶対に他言してはいけないよ」

「別に言い触らしたりしないけど、そこまで念を押すような事?」

「そこまでの事なんだよ。もし、この付与の事が軍部に伝わったら……」

「伝わったら……?」

「軍部の中から周辺国に宣戦布告を望む声が上がる可能性が高い」

「宣戦布告!?」

「考えてもみろ、魔法も剣も槍も弓も効かない。多少の怪我もすぐに治り、しかもその付与は重い鎧で無くていい。そんな付与を施した防具を着た兵士が揃っていれば……他国の軍勢など圧倒的に蹂躙出来ると思わないかい?」

「そ、それは……」

「人間は誘惑に弱い。他国より圧倒的に有利な状況で戦争を始められるかもしれないとなると……軍は国が所持する武力集団だ。その誘惑に負けてしまう者は……確実に出る」

「そ、そんな……!」

俺は……皆の身を守れたらと思って……ただそれだけなのに……戦争の道具にされるとか全く考えて無かった……

戦争は現代日本人にとって忌避すべき行為だ。全く考えもしなかった。

……何か……自分の考えとこの世界の現実との違いを知らされたな……。

「そっか……そうだよね……その可能性は全く考えて無かったよ」

「ああ……シンが……シンが初めて反省してくれたよ!」

ばあちゃんが何か感動してる。失礼な、今までも反省はしてきたよ! 次は失敗しないようにとか……。

「うんうん、分かってくれればいいんだよ。この事は……」

「本当はオーグの制服にも同じ付与をしようと思ってたんだけど……これ以上広まるのはマズイよね」

「え? シン君? ちょっと待っ……」

「オーグごめんな。お前の制服にはこの付与してやれないわ」

「ちょっと待とうかシン君! いや確かに口外するのはマズイ、だがその効果が非常に有用なのは間違い無い。運用を間違えなければいいと思わないかい!?」

「そりゃそうだよ。元々戦争の道具にする為に創ったんじゃない」

「そうだろうそうだろう、身を守る手段としてこれ以上の物は無い。そして、やっぱり王族にはそれなりの守りは必要だと思うんだよ。うん」

「おじさん……」

「父上……」

ディスおじさんが必死だ……元々オーグの制服にも付与する予定だったから許可してくれるなら別にいいんだけど……。

「父上のそんな姿は見たくなかったです……」

オーグが超微妙な顔をしてる。ああそうか、王宮じゃ威厳のある姿しか見た事無いだろうしな。でもウチに来ると気が抜けるのか、こんな姿はよく見る。

「オーグ、今の内に慣れといた方が良いぞ。ウチじゃこんな姿はよく見るから」

「……そうか……そうなのか……」

結局オーグの制服にも同じ付与を施す事になった。他の皆にも同じ付与をしようかと提案したらマリアには断られた。

「そんな国家機密の塊みたいな制服、着たくないよ……」

心底嫌そうに言われた。護衛の二人からは絶対に必要だと力説されたので付与する事にした。

そして追加で三人分作成した。先に出来てた制服をシシリーに渡そうとしたら、オーグより先に受け取れないと言われたので先にオーグに渡した。面倒くさいな、もう!

「シン君、ありがとう。ちょっと恐いけど……でもシン君が本気で守ってくれてるのが分かる。凄く嬉しいよ」

シシリーが微笑みながらお礼を言ってくれた。

……やっぱ可愛いな……何とかこの子を守ってやりたい……けど四六時中付いて回る訳にもいかないし……。

「シン、これでもう終わりかの?」

「うーん、さっきも言ったけどこれ完璧じゃないからなぁ、万が一を考えるともう少し何か出来ないかと考えてるんだけど……」

「ほっほ、それならワシに良い案があるぞい」

「え!? 何? じいちゃん!」

「その前に確認じゃ、お嬢さん。お嬢さんの家はここからどの位の所にあるのか、通学はどの様に行うのか教えて貰っていいかの?」

「家はここから十分位先です。通学はマリアと徒歩で行う予定でした」

「この王都は治安が良いからのう、本当なら歩いて登校しても問題無いのじゃが……お嬢さんが一番危ないのは登下校じゃ。そこで狙われる可能性が高い」

「そんな……」

「そこでじゃ、毎朝シンがお嬢さんの家まで迎えに行って一緒に登下校すれば良いと思うんじゃが」

「マーリン! アンタ……良い事言うじゃないか!」

「ほっほ、そうじゃろうそうじゃろう」

爺さんが得意気だ。さっきばあちゃんに全部持っていかれたからな、何とか挽回したいんだろう。

何をだよ!?

「でも……それはシン君にとって凄い負担になりませんか?一旦私の家に来てから学校に行くなんて……そんな事させられません」

シシリーは自分がカートに付け狙われてるっていうのに俺の負担を心配する。ホントに優しい子だね。

「フフ、それなら心配無いさね。シンにはある魔法を使って迎えに行ってもらうからね」

「メリダ……それワシが言おうと思ってたおったのに……」

爺さんが押され気味だ。

「ならさっさと言いなよ」

「今から言うわい……お嬢さん、その心配には及ばんよ。シンはある便利な魔法が使えての。それを使ってもらう予定なんじゃ」

「便利な魔法?」

「あぁ、あれか……」

ディスおじさんがちょっと遠い目をしてた。俺にも分かったけど、そんな顔する事無いじゃん。

「シン、その魔法を見せてやってくれんか?」

「良いけど、行き先はどうしよう?」

「そうさのう……森の家でいいんじゃないかの」

「分かった」

俺達が住んでた家を思い浮かべ、そして。

『ゲート』

分かりやすい様に魔法名を唱えた。

すると目の前に光るゲートが現れた。

戸惑う皆を尻目にゲートへ近付き、皆にゲートを潜る様に指示し、先に自分が潜る。

ゲートの先には懐かしい家。数ヶ月ぶりの帰宅だ。

そして、次々とゲートから出てくる面々。そして出てくるなり目を丸くしていた。

「相変わらず、この魔法は凄いな」

「久しぶりの家じゃの、ちゃんと結界は機能しとる様だの」

「当たり前さね。誰が付与をしたと思ってるんだい」

大人組は一度見せてるから落ち着いたものだが、同級生組は言葉が出てこない様子だ。

「ここが俺がちょっと前まで住んでた家だよ」

そう言うと、オーグが再起動し話し掛けて来た。

「ちょっと待て、確かお前森の奥に住んでたって言ってたよな」

「そうだよ。ここがその森の奥だよ」

「なぜ私達がそこにいる?」

「ゲートを使ったからね」

「ゲート?」

「そう、今いる場所と行きたい場所を直接繋げる魔法だよ」

「まさか……転移魔法……」

「ん~転移とはちょっと違うんだけどね」

その辺は説明しても多分理解されないので説明しない。

前に爺さんに説明しても理解出来なかったからね。異空間収納使えるのに。

「て、転移魔法……」

「それって、物語にしか出てこないモノですよね……」

「皆が言うほど常識知らずでは無いと思ってましたけど、これは……」

「魔法の常識知らずで御座るな……」

イメージしたら使えたんだから良いじゃん。

そして、家を見ていてふと気付いた。

あれ? 何で家に掛けてる結界の魔道具は発動し続けてるんだ?

「ねぇばあちゃん」

「なんだい?」

「これさ、何で結界の魔道具が発動し続けてるの?」

「そっ、それはそのあれだよ! あれ! ばあちゃんの超技術だよ!」

「超技術って……」

「そんな事より、ホレ! 魔法も見せた事だし帰るよ!」

「わ、分かったよ……」

そしてもう一度ゲートを開き、王都の家に帰った。

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(あ、危なかったよ……)

シンに問いかけられたメリダは無理矢理話を誤魔化した。とても誤魔化せたとは言い難いが……

実はシンが考えていた魔力の蓄積とそれを使った魔道具の継続利用は既に実用化されている。魔力を蓄えておく事が出来る物もある。

ならなぜシンに教えなかったのか。それは、そもそもその魔力を蓄えておく物が非常に高価な物であり、かつ非常に稀少な物である事。実際メリダも一つしか所有しておらず、シンに使わせる余裕が無かった事。そして一番大きな理由は……

(シンに魔石の存在を教えたらどんな事になるのか)

メリダには何よりそれが恐ろしかった。それに何より……。

(シンなら魔石を創っちまうかもしれないし……)

魔石とは、この世界に充満する魔力が長年を掛けて結晶化した物である。どういう原理で結晶化するのかは解明されていない。大抵地中から発見されるので、何か特殊な地盤とか地中の成分とか色々あるのではないかと研究はされているが、結論には到っていない。

(はぁ……でもその内授業で習うだろうし、知られるのは時間の問題かねぇ……)

メリダの悩みは尽きない。

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何かばあちゃんに無理矢理話を変えられた。言わないのか言えないのか、ばあちゃんが教えないならしょうがないか。どうやるのかは分からないけど魔道具を継続利用出来る方法はあるみたいだし、ばあちゃんもその内教えてくれるだろう。それより、登下校の話だ。

「分かったじゃろう? 毎朝シンにはこの『ゲート』を使ってお嬢さんの家まで迎えに行きこの家に帰ってくる。学校へ直接行くのは騒動を起こすであろうからここからは歩いて登校すれば良いじゃろう。そして帰りはこの家まで帰って来て、またお嬢さんの家に『ゲート』で帰れば問題無いじゃろう?」

「マーリン、何て良い提案をするんだい。シシリー、アンタ毎日ウチを経由して学院に通いな!」

「え? あ、そっか、これが有ればシン君には負担が掛からないんですね?」

「そういう事じゃ。だからシンの負担については気にしなくて良いじゃろう?」

「はい。シン君?」

「何?」

「えっと……お願いして良いですか?」

「ああ、モチロン!」

「さて、それでは早速お嬢さんの家に行くかの」

「え? なぜ家に行くんですか?」

「ああ、この魔法俺が行った事がある場所にしか行けないんだよ」

「そういう事じゃ。だからこれからお嬢さんの家に行く必要があるのじゃ」

「へぇ、そうなんですか」

「そうさね。じゃあさっさと行こうか」

爺さんとばあちゃんが行く気マンマンだ。

「何でじいちゃんとばあちゃんも行くの?」

「ほっほ、これからお嬢さんの身の安全を任されるのじゃ、ワシ等が行かんでどうする?」

「保護者が挨拶するのは当たり前さね」

何かそれが当たり前らしい。ホントか?

「よし、それでは準備して向かうとしようか」

「ディスおじさんはちょっと待て」

「なんだい?」

「国王が家臣の家に行くってそんな簡単に決めて良いの?」

「そうです父上、私も我慢しますので父上も我慢して下さい」

「はぁ、バレてしまったか。どさくさに紛れて行けるかと思ったのに」

結局シシリーの家には俺、爺さん、ばあちゃん、シシリー、マリアと学校から帰る時と同じ面子になった。

歩いて十分の距離は馬車で行けば五分掛からない。すぐに着いたシシリーの家は、子爵家の邸宅だけあってウチよりデカイ。そして門にいる門番が寄ってくる。

「失礼ですがどちら様ですか?」

ん? あ、そうか。行きは両親と家の馬車で行った筈だし、シシリーが乗ってるとは気付かないか。

「マイクさん私です、ただ今戻りました」

「御嬢様!? 別の馬車に乗って帰って来るとは何かあったのですか!?」

ここんとこカート絡みの騒動があったみたいだし、大分ピリピリしてるな。

「大丈夫です。送って頂いただけですから」

「そうですか……それでこちらの方は?」

「こちらは賢者マーリン様、導師メリダ様、そしてお孫さんのシン君です」

「け! 賢者様!? 導師様!?」

超ビックリしてる。そらそうか。急に英雄が現れたらそうなるよな。

「ほっほ、通っても良いかのう?」

「は、はい! どうぞ!」

「ありがとさん」

「あ、あの!」

「ふん?」

「あ、握手をして頂けませんか!?」

「ほっほっほ構わんよ」

「ありがとうございます!!」

「シシリーの家をちゃんと守るんだよ」

「はい!!!」

ああ、また涙目になってるよ。

そして家に入る。ゲートを開く先を確認しとかないとな。

家に帰ると、入学式の後先に帰っていたシシリーの両親が迎えてくれた。

「おお! 戻ったかいシシリー! さあ、賢者様と導師様の話を聞かせ……て……くれ……」

「お父様、お母様ただ今戻りました。それとこちらは……」

「け、けけけ賢者様!? 導師様!?」

「初めまして、マーリンじゃ」

「メリダだよ」

「は! 初めまして! 私セシル=フォン=クロードです! お、お会いできて……こうえいで……う……」

泣き出したよ! シシリーのお父さん!

「あらまぁアナタったら。申し訳ございません、私、シシリーの母でアイリーン=フォン=クロードです。それで、態々賢者様と導師様がどうして我が家に?」

シシリーのお母さんが不思議そうに尋ねる。お母さん、シシリーにそっくりだな。シシリーより濃い紺色の髪でシシリーを全体的に大人にしたらこうなるって感じだ。

ちなみにお父さんは金髪に碧眼でイケメンの男性だ。貴族! って感じで優雅な感じの人だな。今ボロ泣きしてるけど……。

「その前に、シン」

「初めまして。マーリンとメリダの孫でシンと言います」

「アタシの孫……」

あれ? 今度はばあちゃんが泣きそうだ。

「あら、貴方がシシリーを助けてくれたシン君ね?シシリーを助けてくれてどうもありがとう」

「おお、そうだシン君!! シシリーを助けてくれてありがとう! 君はシシリーの、いや我が家の恩人だよ!」

「い、いえ。当然の事をしたまでですよ」

「その事で話があるんじゃがのう」

「話ですか?」

爺さんが家に帰った後に決まった話をした。俺が毎朝迎えに来て帰りも送って帰る事を。

「いや、しかし……いくらなんでもシン君に頼り過ぎではないかと……それに相当負担ですよね?」

「その事については問題無い」

そしてまたゲートを開き今度は家に行った。

「ん? もう帰って来たのか?」

ディスおじさんがいた。まだ帰って無かったのか。仕事しろよ。

「陛下!?」

あ、セシルさんが超ビックリしてる。当たり前だ。だから早く帰って仕事しろ。

「ああ、ゲートの説明をしていたのか」

ディスおじさんは無視してシシリーの家に戻った。

ゲートの魔法にも驚いてたけど、ゲートの先に自国の国王が居ればそりゃ驚くだろう。

「こういう訳でな、シンにはこの魔法で送り迎えをする予定じゃ。負担も無いし、何より安全じゃ」

「そこまでしていただけるとは、本当にありがとうございます」

「ああ、そこまで畏まらなくても良いさね。それより二人共ちょっと耳を貸しな」

「え? あ、はい……」

ばあちゃんがシシリーの両親に何かを耳打ちしてる。そして顔を見合わせたと思ったら、三人で握手した。何だ? 何に合意したんだ? そして爺さんは蚊帳の外だ。

「……」

が、頑張れ爺さん!

そしてゲートの接続先の選定もした。突然現れると家の人間がビックリしてしまうので、空き部屋を使わせてもらう事になった。そして部屋の中から逆ノックをして到着した事を伝える。

これは使用人達にも伝えられ、絶対に口外しない事を誓って貰った。

「じゃあ、これで全て終わったかな? そろそろ帰るよ。シシリー、明日から迎えに来るから。マリアと待っててね」

「うん。今日は本当にありがとう。これから宜しくお願いします」

「いやあ、私も便乗させて貰って悪いわねえ」

「何言ってんの? 隣に住んでてマリアだけ送らないとか無いでしょ?」

「いやあ、二人きりを邪魔しちゃ悪いかなと……」

「変な気を使うな!」

変な空気になるだろ!

「じゃあ明日」

「うんまた明日ね」

「じゃあね!」

そう言って家に帰った。

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シン達がシシリーの家に行った後、アウグストが呟いていた。

「護衛雇えばいい話だろうに、あれは敢えて無視したな」

爺さんとばあちゃんの企みを見抜いていた。