軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

分相応

マリアとミランダ、トールとユリウスがペアで戦闘をしているのに対して、マークはソロで魔人と対決していた。

「うおおりゃあっ!!」

気合と共に、自ら考案した魔法剣を思いっきり振るうマーク。

だが、マークはあくまで鍛冶屋の息子。

昔から騎士である父に剣を教えてもらっていたトニーと比べると、どうしても剣技で劣ってしまう。

それを補うための魔法剣だったが、今相手をしているのは元帝国の諜報部隊だった魔人。

諜報活動が主だったとはいえ、戦闘訓練を受けていないはずもなく、マークの剣は空振りに終わる。

「ちぃっ!!」

「うおっと、危ねえっ! テメエ、物騒なもん振り回してんじゃねえぞ!」

思わず舌打ちするマークに対して、剣を避けた魔人は若干焦りながら反論し、すかさず反撃体勢に入った。

「この素人がっ! プロをなめんじゃねえぞ!」

「ぐっ!!」

魔人はそのまま魔法を放つが、それを防御用のアクセサリーと戦闘服に付与されている防御魔法でなんとかしのぐマーク。

「ちっ! またそれか! 本当に厄介な魔道具持ちやがって!」

そう魔人が忌々しそうに言い放つと、マークの方も悔しそうに呟いた。

「くそっ! このままじゃ前と同じじゃないか!」

そんなマークの呟きを、対戦している魔人が聞き、ニヤッと口元を歪めた。

「はあ? 前と同じ? 何言ってんだ。前とは全然違うだろう? こっちの人数がよっ!」

「はっ!?」

前回、魔人と対戦した時は今よりもっと人数が少なかったため、ほぼ一対一の戦闘になっていた。

だが、今回は圧倒的に魔人の方が数が多い。

一対一だとまたしても千日手になるところであったが、今回はそうはならなかった。

「しまっ……」

「遅えんだよ! 死ね! ガキがっ!」

背後から新たな魔人が現れ、マークに向かって魔法を放とうとした。

マークは咄嗟のことで、まだ防御魔道具を起動できていなかった。

「もら……があっ!!」

「!?」

もう駄目かと思われたその時、不意討ちをかけてきた魔人が、逆に不意討ちで吹き飛ばされた。

吹き飛ばされた魔人だったが、魔法の威力が弱かったのか、致命傷にまで至らずまだ生きていた。

そのことに気付いたマークは、この機会を逃すまいと再度魔法剣に魔力を込め、炎の剣を魔人に対して思いっきり振り抜いた。

「ぐっ……くそっ……たれ……」

ようやくアルティメット・マジシャンズの一人を討ち取れると思っていたのに逆に倒された魔人は、マークの魔法剣に両断され、悔しそうに呟きながら絶命。

「な!? だ、誰だ!?」

マークと最初に対戦していた魔人も、驚きながら魔法が放たれた方向を見た。

そこにいたのは……。

「オリビア!!」

「マーク! 大丈夫!?」

「ああ! 最高の援護だった!」

単独で戦場を走り回り、皆のフォローに回っているオリビアだった。

オリビアは、自分の攻撃魔法の威力では魔人を倒し切るのは難しいと判断し、普段から忙しい店のフロアを走り回っている経験を活かし、戦場で不利な形勢になっている所へ行ってフォローするということをしていた。

そして、背後から奇襲されマークのもとへ駆けつけ、逆に不意討ちをかけたのだった。

だが、いくらマークの不利を察したからといって、すぐにフォローに来れたのはなぜなのか?

「な、なんだテメエ!? さっきまでいなかったじゃねえか!」

魔人はそう叫ぶと、オリビアに向けて魔法を放った。

「!!」

魔法を放たれたオリビアは、防御魔道具を展開するのではなく、目の前に土壁を作りそれで防御しようとした。

「はっ! そんなもんで防げるかよ!」

魔人のその言葉通り、オリビアの作った土の壁は、あっけなく破壊された。

その様子を、恋人であるマークはなぜか冷静な目で見ていた。

「これでようやく一人目……ゴハッ!?」

自分の放った魔法が土壁を破壊し、さらにその向こうまで破壊したことでようやく一人倒したと思った魔人だったが、なぜか背後から攻撃され、まともに食らってしまった。

「な、なにが……」

そうやって振り向いた視線の先には、先ほど始末したはずのオリビアが立っていた。

「てめえ……なにしやがった……」

「お前が知る必要はないよ」

倒れた魔人の側には、オリビアの行動を予測できていたマークが魔法剣を起動させながら立っていた。

「……はっ……結局、俺らはただのやられ役って訳か……」

致命傷ではなかったとはいえ、まともに立ち上がることも出来ない程のダメージを受けた魔人は、諦めの表情でそう言った。

「……」

そんな魔人を一瞬憐れに思いながらも、相手は魔人。

情けは無用と、マークは魔法剣を振り下ろした。

そして、魔人に止めをさしたマークはオリビアの方を向いた。

「そんなにゲートの使い方上手かったっけ?」

そう、オリビアがマークの危機にすぐさま駆け付けてこられたのも、魔人の背後にいつの間にか回り込んでいたのも、ゲートの魔法を使って移動していたからだった。

魔人の魔法を土壁で防ごうとしたのも、起動するゲートを見られたくなかったから。

遠距離の移動しか考えていなかったマークにとって、オリビアのゲートの使い方は目から鱗だった。

「私のやることが決まってから、こればっかり練習してたよ。多分、ゲートの起動の速さならウォルフォード君にも負けないと思う」

「そっか。頼もしいよ」

マークがそう言うと、オリビアは嬉しそうに微笑んだあと、踵を返した。

「じゃあ、他の人のところに行くから。また危なくなったら駆け付けるから」

「うん。そうならないように頑張るよ」

マークの返事に頷くと、ゲートを起動しその場を離れるオリビア。

どこに出たのかは分からなかったが、すぐに魔法が着弾する音が聞こえた。

「オリビアァ~ナイスゥ~」

ユーリの間延びした声が聞こえたので、恐らくユーリの援護をしたのだろう。

自分と会話をしながら、その状況を見極めていたことに感心した。

「そうだよな。俺、トニーみたいに剣を習った訳じゃないのにな……」

マークはそう呟くと、手元にある魔法剣を見た。

「強力な武器を考案できたからって、すぐに強くなる訳じゃないのに。何を思い上がってたんだ!」

マークはそう呟くと、さっきのオリビアとの共同戦線を思い出した。

「さっきのあれを参考にすれば……」

新たに現れた魔人に対し、今度はいきなり剣で斬り付けるのではなく、まずは攻撃魔法を連射。

魔人が防御に回ったところでダッシュして魔法剣を起動し斬り付けた。

当然防御魔法を展開する魔人だが、ここで選択したのは物理防御魔法。

剣で攻撃してきたのだがら当然かと思われる。

だが、マークの剣は炎の魔法が付与された魔法剣。

剣に付与されている魔法は物理防御では防ぐことができず、結果防御魔法は破壊されそのまま魔法剣によって切り倒された。

ようやく自分の戦い方について把握できたマークは、それを間接的に教えてくれたオリビアに感謝した。

そして、なんとなく、将来オリビアの尻に敷かれそうだなと、漠然とした不安を抱えるのであった。