軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

054話 覗きの視線

ある秋の一日。天高く馬肥ゆる秋。綺麗に晴れた朝。

のんびりとした雰囲気で、一人の少年が豆茶を 啜(すす) る。

爽やかでのどかな一日の始まりを思わせる、ゆったりとした感覚の中で、彼は囁くように言った。まるで、いい天気ですね、と呟くが如く。

「決闘をすることになりました。約束した日時は明後日の正午。場所は王都のエンツェンスベルガー辺境伯家別邸の中庭。相手はオーリヨン伯爵の次男。負けた方が、相手の要求をなんでも一つ呑むそうです」

「え? いきなりどうしたんですか?」

決闘とは、普通は命がけの行為である。

そんなとんでもなく重要な事柄を、世間話のように切り出された少女は、言われたことを理解出来ずに思わず聞き返した。

少年と少女。ペイストリーとリコリスの二人は、モルテールン領ザースデンの領主館の一室で、お茶を一服していたのだが、ペイストリーがいきなり言い出したことには、少女にとって戸惑いしかなかった。

「実は昨日。エンツェンスベルガー辺境伯の別邸にお邪魔した時なのですが……」

◇◇◇◇◇

「貴殿に決闘を申し込む!!」

ペイストリーの元に突然現れた、伯爵家の次男を名乗る男。

足元に投げられた白い手袋は、決闘の申し込みのようである。正式な作法とは言えないが、これをペイスが拾ってしまえば、決闘の受諾となるのが、貴族社会での暗黙の了解という奴だ。

ということで、ペイスはさらりと無視してその場を去ろうとした。

「おい、待て。貴殿はそれでも男か。逃げるな!!」

「そう言われましても。貴方が本当に伯爵の子供なのかも僕には分かりませんし、そもそも何故決闘を申し込まれているかも分かりませんし、決闘の条件も分かりませんし。これで受けると思う方がおかしいでしょう」

そもそも決闘とは、同じ身分同士の者が個人間で諍いを起こした際、裁判等の手続きによらず、自分達で解決するための手段の一つだ。

司法制度が未成熟であり、警察機構なども存在しない社会においては、自分の利益や安全を自分で守らねばならない自力救済の原則がある。決闘とは、その方法の一つとされている。

本来、神王国では司法権の最高権力は国王にある。

何か揉め事があった時、最終的な判断を下せるのは、国王だ。特に、貴族と貴族の諍いは、放っておけば軍事力の衝突にまで行きつくため、治めるのは王の義務でもある。

しかし、全ての揉め事をいちいち王が裁くというのも、時間と労力の無駄であるし、そもそも物理的に不可能だ。

また、当事者双方がお互いの正義を立ててぶつかった時、王としては判断しかねる問題と言うのも存在する。科学的な知見の乏しい世界であるため、状況的に明らかであるにも関わらず証拠不十分で無罪になる犯罪者というのもいるだろう。

こうなってくると、国王の司法権というものにも限界があると認めざるを得ない。

王が裁けない問題をどう解決するか。

結局、自分たちの問題は自分たちで決着させなければならない、という話になる。

神王国の貴族は、例外なく全員が騎士である。馬に乗って戦うものが全員貴族と言うわけでは無いが、貴族は全員馬に乗って戦える。これは、元々が都市国家を国の起こりとする神王国において、都市を守る戦士階級がそのまま政治参画する市民階級に繋がり、市民階級が特権階級となっていった歴史があるからだ。

神王国において貴族とは、政治家や官僚である前に、まず戦う騎士であらねばならない。

故に、貴族同士が自分たちで問題を解決しようとした時にも、立派な騎士であろうとする。

正々堂々と戦って決着を付けよう、という脳みそが筋肉で出来ているような結論になる連中も、少なからず居た。

彼らの為に存在する制度。それが決闘裁判制度である。

ただしこれは、双方が同意しなければ成立しない制度でもあった。

「むぅう、私の事は、エンツェンスベルガー辺境伯がご存じだし、理由も閣下ならご理解くださるに違いない!!」

「ならば直接エンツェンスベルガー辺境伯に言いなさい。辺境伯からの申し出であれば、話ぐらいは聞きましょう」

「その言葉、忘れるなよ!!」

大騒ぎした男は、投げつけた手袋を自分で拾い直し、辺境伯の屋敷に入っていった。

それを見送ることも無く、モルテールン家の三人は、 定宿(じょうやど) にしている高級宿に向かう。道すがら、ペイスやカセロールは首を傾げながら会話する。

「一体、何だったのでしょうか?」

「私に聞くな。それよりもペイス。お前、私の 与(あずか) り知らない所で人の恨みを買うような真似はしていないだろうな」

「僕は品行方正を心がけていますから、不要な恨みを買うことも無いと思います。 妬(ねた) みや 嫉(そね) みならば買っているかもしれませんが、それであれば陞爵した父様の方が、目下お買い得セール中です。嫉妬の格安大売り出しですよ」

「まあ、そうだな」

品行方正のあたりで、後ろを歩いていたガラガンなどは耳を疑った。品行方正という言葉の意味を自分は間違って覚えていたのかと、考え込む羽目になったのは余談である。

夜も更ける。

宿屋に戻り、ここ最近に王都で手に入れた情報などを父と子で整理し合っていた時。

夜になったというのに、宿屋の主人が、来訪客があったと告げてきた。

「モルテールン準男爵様に、どうしても今、お会いしたいとおっしゃる方が来られているのですが、 如何(いかが) 取り計らいましょう」

「私にか?」

「父様。夜に押しかけられるような恨みでも買いましたか?」

「何でそうなる。それで、客というのは名乗ったか?」

「はい。それぞれエンツェンスベルガー辺境伯様、オーリヨン伯爵様と名乗られました」

夜分に事前のアポイントも無く押しかけてきた客と言うのが、高位貴族。

只事では無い、と思わず親子で顔を見合わせた。

「それでは追い返すわけにもいくまいよ」

「そうですね」

「部屋までご案内するように」

宿屋の主人は、カセロールの言葉に慇懃に頭を下げながら、畏まりましたと言って下がっていった。

灯芯の灯りが、顔色の悪そうな疲れた表情をした二人と、その護衛を照らすことになるのは、そのすぐ後だった。

数人の護衛に固められて、中心にいる人物は二人。片方は、モルテールン家の三人にも誰かが分かった。ゆらゆらと動く灯りの中でも間違えようのないイケメン。エンツェンスベルガー辺境伯。

もう一人の方が、年が四十後半。或いは五十代にも見える、白髪交じりの男。いかにも苦労人と言った感じを醸し出している、痩せ気味の男。彼は、オーリヨン伯爵であると名乗った。

二人の人物は、前置きもそこそこに、カセロールとペイスに対して申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にした。

「当家の面倒に、大事なご子息をまきこんでしまった事。まことに申し訳ない。こんな夜分、失礼なのは重々承知ではあるのだが、モルテールン卿が御領地に魔法で戻られた場合に、我々では追いかけようも無い為、こうして出向いた次第です。重ね重ね、ご迷惑をお掛けする」

「これでも武人の端くれですから、夜分に急な話というのは問題ありません。敵というのは昼夜を問わず襲ってくるものです故。ただ、いきなり謝罪されましても、こちらとしては何のことかさっぱり分かりません。まずは説明をお願いできますか?」

「はい」

説明を初めにかって出たのはエンツェンスベルガー辺境伯。最初は何処から話せば良いものかと、悩みながらの会話であった。

「そうですね……まずは前提からお話しましょう。うちに、オリガという娘が居るのは、モルテールン卿も当然ご存じですよね」

「それは勿論。何度か顔を合わせておりますから」

「そもそも、うちのオリガは長女で一人娘。兄が居たのですが 早逝(そうせい) し、弟は側室の子で、病弱でもあることから、つい一年ほど前までは、オリガに婿を取って辺境伯家を継がせるつもりでおりました」

「妥当な判断だろうと思います」

「そこで、色々と条件を検討した上で、ここに居られるオーリヨン伯爵の御子息。御次男のセルジャン殿と、婚約を交わしていたのです」

「なるほど」

辺境伯家の長女に婿入りするのなら、伯爵家の次男というのは確かに好条件。爵位にそれほど大きな隔たりが無く、極々一般的な婚約の形になる。

北部の大家として、それこそ婿入りを願うものは大勢いただろう。逆玉の輿だ。幾らでも選択肢のあった中での婚約ならば、婿入りする側もさぞかし頑張った事だろう。

「婚約相手としても、多少思い込みの強いところはありましたが、その分一途な性格で、オリガのことを憎からず思っていた。武芸に秀で、正義感の強い若者で、健康である点は評価しておりました。外敵に備えるという当家のお役目柄、軍事に明るいという点も必要な要素です。その点でも、オーリヨン伯爵の御次男は優秀です」

「ああ……確かにそんな感じの人でしたね」

ペイスは、人柄の説明を受けて、納得する部分もあった。手前勝手な正義感を押し付けそうな、思い込みの激しいタイプ、と受け取るのなら、納得しよう相手であったことを思い出したからだ。

「辺境伯としての立場であれば、良い相手だと思っておりました。ところが、オリガは乗り気ではなかったようなのです」

「それはまた何故」

「彼の一途な部分が、逆に重すぎたようです。要らないと言っても毎日花を届けたり、恥ずかしいと言っているにも関わらず、何かの度に自分の婚約者だと自慢されたりと、色々と性格が合わない部分があったらしい」

「性格の不一致ですか」

そこで、ふぅと辺境伯が溜息をついた。

カセロールと、王国一の親馬鹿の異名を奪い合う男として、娘の気持ちは少々の政治的意図を蹴飛ばすぐらいの重要度である。娘の気持ちを 斟酌(しんしゃく) したため、親として複雑な心境になったが故の溜息であった。

「そこで、伯爵とも協議の上で婚約を解消し、改めて婚約者探しとなったのが丁度去年あたりの話だったのです」

「よくある話ですね」

貴族の婚約などは当てにならないものであり、政治状況や経済状況、或いは当主の気分次第でも水に流れる。

それを思えば、娘の気持ちを慮って婚約解消を決めた辺境伯などは、わりと納得しやすい事情だ。

理由はともかく、婚約の解消という話自体は別に珍しいことでもない、というのはその場の誰しもが思う意見だろう。

「そこからは私が」

そう言って、オーリヨン伯爵が話し始めた。

「息子、セルジャンには、私からオリガ嬢との婚約解消を伝えました。あいつは、オリガ嬢に惚れきっていましたから、なかなか納得することも無く。何とか解消の事実だけは呑み込んだようではあったのですが、今でもオリガ嬢を想っていた、とは本人から聞いた話です」

「なるほど、それを聞くだけならば、確かに一途な想いでしょうね」

婚約相手を大事に思い、別れても尚思いを募らせるとなれば、ちょっとしたドラマだ。

片思いであるという点が残念ポイントではあろうが、本人にとっては思いつめるに十分すぎる要素と言える。

「納得しきれない息子は、自分で色々と調べたようです。とはいっても、情報収集をはじめとする外務は苦手とする分野だったらしく、相当に手こずったようです。私的なことに当家の者は使えませんでしたから、自分なりの伝手でなんとかしようとしたらしい」

「なるほど」

「そうなると、どうしてもちぐはぐな情報しか集まらんものですが、セルジャンなりに情報を整理したようです。それで整理した結果が……」

「結果が?」

「オリガ嬢の新しい婚約者が、ペイストリー=モルテールン卿に違いない、という結論だったらしい」

「何故に?!」

どこをどう間違えばそうなるのか、とペイストリーも、そしてカセロールも驚いた。

「婚約解消の時期が一年前。その時期の前後にペイストリー殿が婚約。相手は辺境伯家の娘。飛び切りの美人が婚約者。父親は【瞬間移動】の魔法使いで北部に来ることも容易。ペイストリー殿自身も魔法使いで将来有望。最近モルテールン卿は陞爵された為、家に勢いがある……などなど。セルジャンが断片的に集めていた情報はこんなもののようです」

「ああ……なるほど」

現在のペイスの婚約者は、確かに辺境伯家の娘である。ただし、フバーレク辺境伯家の四女だ。エンツェンスベルガー辺境伯家の長女ではない。情報の精度が悪ければ、誤解する要素にはなるかもしれない。

「そこに来て、オリガ嬢が王都でいよいよ結婚相手を正式に決めるのではないか、という話を耳にしたそうです。街でオリガ嬢を見かけた、という話も耳にしたらしい」

「ああ、例の舞踏会ですね」

「そうです。いても立ってもいられなかった息子は、ひと言だけでもオリガ嬢と話がしたいと街に飛び出したそうです。そこで、エンツェンスベルガー辺境伯の御家の辺りをうろついていたらしいのですが……」

「それだけを聞くと、まるで不審者ですね」

「その通りです。全く以てお恥ずかしい」

片思いの相手を探し、一目会いたいと家の周りをうろつく。

一途と取るか、ストーカーと取るか。事情を知らないものからすれば、断然後者だろう。

「そして今日。辺境伯の御屋敷から、使用人たちが大勢飛び出して行ったのを見かけた。一人を捕まえて聞いてみれば、オリガ嬢の恋文を届ける為に、エンツェンスベルガー辺境伯がモルテールン卿を探していると。これはいよいよペイストリー=モルテールン卿に、オリガ嬢を取られる……と、息子はどうしようもない焦燥感に駆られた。らしいです」

「なんとも、誤解が誤解を生んでいるような状況ですね」

「そして、辺境伯の御屋敷から出てきたのが、卿のような……失礼を重ねて言わせて頂くなら、子供。これはオリガ嬢に相応しい相手では無い。と激高し、思い余って決闘を申し込んでしまったらしい。以上がこの度お騒がせしてしまった事情です。改めて申し訳ない」

「事情はよく分かりました。謝罪も受け取ります。良いですか、父上」

「ああ」

事情を呑み込めば、単純な話だった。

片思いをこじらせた男が、誤解の上で思い余って暴走した。芝居にするなら三文芝居といった、どこにでもありそうな話だ。

「それで、決闘を申し込んできた点についてはどうなるのでしょう?」

「それが……」

申し込まれた決闘について。

オーリヨン伯爵は、若干言いよどんだ。

「誤解であることはよく言って聞かせたのですが、男が一度口に出した決闘を、取り下げるのは恥であると言い張りまして」

「武人としてなら、頑強な精神と揺らがぬ決意もまた美徳ではあろうが……」

カセロールは苦笑した。

若武者の、頑固なまでの意地っ張り。一方的に振られた男が、せめてもの意地として貫き通すつもりなのだろう。

なかなかに、手のかかる息子のようだが、手の掛かり具合でいうなら彼の息子も負けてはいない。

そう思い、ちらりと子供の方をみた。

ペイスは、じっと何かを考え込んでいるようだった。カセロールに、嫌な予感が走る。

「我々としても、何とか、セルジャンを説得してみせます。ですので、決闘については、忘れて頂いても構いません。ただ、少々時間を頂ければと……」

「その必要はありません」

「え?」

「事情はよく分かりました。その決闘、ペイストリー=ミル=モルテールンの名において、受けて立ちます」

ペイストリーの言葉に、その場の全員が驚愕するのだった。

◇◇◇◇◇

「ああ、お茶が美味しいですね」

「そうですね。……でも、なぜ決闘を受けるのです。相手の誤解だったのでしょう?」

長い話をしたせいか、少しお茶が冷めていた。

それでも香ばしさが残る豆茶は美味しいと、ペイスはもう一口お茶を啜る。

「セルジャン殿は、多分、自分なりに気持ちに区切りを付けたがっているのだろうと思ったのです」

「区切りですか?」

「頭では分かっていても、感情に整理がつかない。だから、自分の武人としての誇りの部分で、感情に整理を付けたいのでしょう。勝つにせよ、負けるにせよ、それで感情に一定の折り合いが付けられる」

「それはなんとなく分かりますけど、ペイスさんが付き合う必要も無いじゃないですか」

武人としての誇りは守られた、という満足感をもって、失恋に区切りを付けたい。という理屈はリコリスにも何となしに理解出来た。

ただし、それは相手の都合だ。ペイストリーが律儀に付き合う義理は無いはずである。婚約者の身を案じるが故、その部分がどうにも納得できない。

と、遠回しにペイスに伝える。

それにペイスは頷くものの、それでも自分の意見を滔々と述べる。

「お菓子職人として、彼に笑顔を作ってやりたいのですよ。出来れば心の底からの笑顔で、オリガ嬢の婚約を祝えるようにしてやりたい、と。まあ、僕の自己満足ですかね。それに……」

「それに?」

「他人ごとに思えなくて」

「えっ?」

はた迷惑な決闘騒ぎを起こす男に対して、他人事では無いという言葉。

どういう意味かと少女は婚約者に尋ねた。

「もし今、リコと僕の婚約が解消されたら、と考えてみたのです。もしかしたら、僕も彼と同じような事をしたかもしれない、と思うと、他人事に思えませんでした」

「それは……」

リコリスは、複雑な思いを受けた。

はた迷惑な行為をするかもしれない、という点では不安もあるが、それほどまでに一途に想われているのだとすれば、悪い気もしない。という複雑な思いである。

「僕は、リコを大事にしたいと思っています。これは迷惑ですか?」

「いいえ、そんなことは無いです。えっと……嬉しいです」

キリっとしたペイスの顔に、リコは思わず顔を赤らめてしまった。

「もしも僕が彼と同じように、婚約解消された側に立ったなら。もしかすれば、新しい婚約者に、決闘の一つも申し込むかもしれません。そう考えたなら、セルジャン殿の想いを受け取ってみるのも、僕なりに大事なことか、と思ったのですよ」

「自己満足の為、ですか?」

「そうです。僕は自分勝手な男なので」

「ええ、知っています。ふふふ」

ペイスとリコは、お互いに笑った。

いつの間にか、二人の距離は触れ合うほどに近づいている。

自然と、二人の手が重なった。

「婚約で出来た縁でも大事にしたいという男の想い。僕には分かる気がするんです」

「ええ」

しばらくの間、無言が続く。

お互いが、お互いを身近に感じる。それだけで言葉を交わすよりも十分に伝わるものがあった。

やがて、どちらかともなく、そっと名前を呟いた。

「リコ」

「ペイスさん」

二人が良い雰囲気になっていた。のだが。

「ごほん。御二方とも、お茶のお代わりは如何ですか?」

いきなり背後からの声。

その声に、リコリスは飛び上がって驚いた。

「キャエラ!! 何時からそこに居たのですか」

「最初からずっと居りました。お茶の準備もありましたので」

慌てるリコリスと、平然とした侍女キャエラ。長い付き合いの二人は、やいのやいのと言い合いを始める。

「ということは」

ペイスが周りを探った時。

ダダダと逃げ去る足音がした。足音からして、複数人が覗いていたらしい。

「全く、油断も隙も無い」

モルテールン家は、今日もまた平和であった。