軽量なろうリーダー

絵師ですが、ざまぁAIに課金して自作のドアマット令嬢を救います

作者: こじまき

本文

スマホ画面の中で、リーゼロッテがまた死んだ。

「無理ゲーがすぎる…」

私はスマホをベッドに叩きつけ、ぎゅっと目を閉じた。

「リーゼロッテ…」

リーゼロッテ・フォン・アーデルハイト。

初めて「乙女ゲームのキャラデザ」の仕事をもらい、「これ以上は頑張れない」ってくらい精魂込めて誕生させたキャラクター。

彼女が画面の中で動いているのを初めて見たときの感動は、忘れられない。

親バカでもなんでもなく、ヒロインよりも悪役令嬢よりも、断然可愛い自信がある。

だけどこのリーゼロッテ…

「ドアマット令嬢」なのだ。

公爵令嬢なのに、気が弱く、父に冷遇され、継母に虐げられ、異母妹にはいじめを捏造され、婚約者である第三王子も奪われ、使用人扱いに堕ちる。

そしてたった今、私の目の前で、王子妃となった妹に「王子妃殺人未遂」の濡れ衣を着せられ処刑された。

最もハピエン難易度が高く、「生き残ることがハピエン」とまで言われるプレイヤーキャラ。

「ごめんね、リーゼロッテ。幸せなあなたを見たいのに」

笑顔もたくさん描いたはずなのに、ずっと「泣き顔」と「困り顔」ばかり見ている。

「お母さんなのに、助けてあげられない…」

そう絶望したとき、意識が遠のいた。

——私が、代わってあげられたら…

◆◆◆

目が覚めた。

天井は高いし、壁紙は花柄だし、ベッドは大きすぎるし、どう考えても自分の部屋じゃない。

でも見覚えがある。

「これってもしかして…!」

慌てて起き上がって、鏡に向かって走る。

茶色のぱっつんストレートロング、緑の瞳。透き通るような肌に、バラ色の頬。

あまりに描き慣れた顔が、そこにあった。

「リーゼロッテだ…」

これはまさか、私がゲームの中に…?

「シャララン」と、聞き慣れた優雅なシステム音がする。

■■■

デバッグモードでプレイヤーが介入します。

対象キャラクターとの同期…正常完了

対象キャラクターの自我保護…正常完了

■■■

「プレイヤー介入…?同期…?」

視界の端で、チラチラとハートマークが光る。

反射的に指でそこを触ると、ポップアップが開いた。

■■■

ログインボーナスで金貨を獲得しました!

累計ログイン:1日

獲得金貨:1枚

■■■

「なんだこれ、本当にゲームみたいな…」

ログインボーナスの画面が消えると、今度は別のポップアップが開く。

■■■

「ざまぁAI(無料版)」を実装しました。

視界右に「ざまぁAIアシスタント」が表示されます。

(ゲーム内金貨で有料版にアップグレード可能)

■■■

いや、情報量が多いな。

というか、ざまぁAIアシスタントとは?

見たことも聞いたこともない。

ポップアップが消え、視界の右三分の一くらいにダークモードの画面が現れる。

□□□

CARMA-v1.0

無料プラン(アップグレードはこちらから)

今月の残りざまぁ回数:3/3

リーゼロッテさん、おはようございます。

今日はどうしましたか?

(音声返信可能です)

□□□

今日はどうしたもこうしたも、何がなんだか。

私は少し考えてから、「あなたはなに?なにができるのか教えて」と聞いた。

□□□

そうですよね!

私は「ざまぁ特化型AIアシスタント CARMA-v1.0」と申します。

リーゼロッテルートのハピエン率が低すぎるため、お試し導入されました。

次に、私の主な機能を紹介させていただきます。

・悪意の検知:キャラクターへの悪意を検知

・ざまぁの提示:悪意に返すざまぁの選択肢を提示

・ざまぁの実行:選ばれた選択肢を、即実行

無料版で実行できるざまぁは、月3回です。

有料版では回数制限が撤廃されるほか、より便利な機能を利用できます。

(アップグレードはこちらから)

□□□

「月に三回?少なすぎない?」

□□□

ご意見、ごもっともです!

ご不便をおかけして申し訳ありません。

有料版にアップグレードしていただきますと、

□□□

「もういい」

□□□

回答を停止しました。

□□□

私はふっと息を吐く。

よくわからないけど、とりあえずここはゲームのデバッグモード。

私はリーゼロッテと同期して身体を借り、ゲームの中でリーゼロッテとして動ける。

そして最も重要なのは、今まではゲームになかったAI機能が追加されたってことね。

リーゼロッテの生存とハピエンには、きっとこのAIが鍵だ。

「リーゼロッテをドアマット扱いする奴らに、このAIでざまぁを喰らわせてやる」

□□□

ぜひお手伝いさせてください!

□□□

朝食の席、ざまぁAIことCARMAが早速悪意を検知した。

悪意の源は、リーゼロッテの妹クラリッサ。

彼女が私のドレスにわざと紅茶をこぼしたのだ。

メイドたちはくすくす笑いを漏らす。

あったあった、「リーゼロッテはこういう環境でドアマット令嬢やってます」という、ゲーム冒頭のチュートリアル的な嫌がらせ。

視界の右でCARMAがこう言う。

□□□

悪意を検知しました。

クラリッサ・フォン・アーデルハイトへのざまぁ提案です。

以下からお選びください。即時実行します。

A)眉のあたりが痒くなる

B)さかむけができる

□□□

…いや、ざまぁの強度。

脱力しながらも「B」と小声で指示する。

□□□

実行しました。

今月の残りざまぁ回数:2/3

□□□

「あら、なんだか指が痛いわ」

□□□

続いてメイドへのざまぁ提案です。

以下からお選びください。即時実行します。

A)眉のあたりが痒くなる

B)襟が黄ばむ

□□□

「A」と指示すると、メイドたちが一斉にむずむずと眉を上げ下げし始めた。

「服が汚れてしまったので着替える」と部屋に戻り、CARMAに詰め寄る。

「ざまぁが小さすぎる!」

□□□

お気持ち、とてもよくわかります!

無料プランではざまぁの強度に限界があります。

有料プランにアップグレードしますか?

□□□

頼りの綱がこんなにしょぼいんじゃ、またリーゼロッテは死んでしまう。

なにがなんでも有料プランにアップグレードしないと。

「有料プランはいくら?」

□□□

最新情報を確認します…

★CARMA Pro:金貨10枚(月払い)

・自動ざまぁ、予約ざまぁ、遠隔ざまぁ、オリジナルざまぁ対応

・ざまぁ回数制限なし

年払いプランの情報も必要ですか?

□□□

「今あるのは、ログボの金貨一枚だけ。どうやって金貨を手に入れたらいいの?」

□□□

金貨の入手経路ですね!

以下の方法で獲得可能です。

・ログインボーナス:金貨最大1枚

・ミッションクリア:金貨最大1枚

・広告視聴:銀貨1枚

(銀貨を10枚集めると、自動で金貨に変わります)

□□□

ミッションを確認すると、「嫌がらせに笑顔で対応する」「使用人に持ち物を譲る」などがラインナップされている。

それはまだいいが、「学校を建設する」「診療所を建設する」「橋を修理してエリアを解放する」とは…

「なんだこの農場系ゲームとのハイブリッドは…」

□□□

乙女ゲームなのに、びっくりですよね!

金貨獲得のチャンスを広げるため、ミッションを追加しました!

お気に召しませんか?

□□□

チャンスの拡大をお気に召したところで、持たざるドアマット令嬢であるリーゼロッテに今できるのは、「嫌がらせに笑顔で対応する」くらいしかない。

だから継母にこう言われても、笑顔だ。

「リーゼロッテ、あなたの夏用ドレスを新調する必要はないわ。クラリッサが去年着たものでいいでしょう」

「ええ、お継母様」

■■■

ミッション「嫌がらせに笑顔で対応する」達成で銀貨を一枚獲得しました。

■■■

「…金貨じゃないの?」

□□□

すみません!私が言葉足らずだったようです!

「最大で金貨1枚」であり、難易度の低いミッションでは、報酬も少なくなります。

□□□

まあ、それはそう。

しかしそうなると、先はまだまだ遠い。

一応継母にもざまぁは返したけど、「扇子の骨がぐらつく」というとんでもなく小さなものだったし、それで今月分のざまぁを使い切ってしまった。

何とか早くProにアップグレードしなくては。

■■■

広告が表示されます。

視聴しますか?

■■■

もちろんだ。銀貨一枚でも、貴重なお金。

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三十秒経ったのに、追加で十秒くらいおまけ映像がついてきて、なかなか消せない。リアルなのやめろ。

そうやって私は妙にターゲティングが的確でイラつく広告を視聴し続け、嫌がらせには笑顔で対応し続ける。

けれど広告は一日一回しか表示されない。

嫌がらせに笑顔で対応しても報酬はランダムで、銀貨一枚もらえたらいいほう。「ランプ」とか、大して魅力度も上がらないアイテムばかり当たる。

「期間限定お部屋デコ」とかいらないから。いや可愛いよ?可愛いけどランプじゃ死は防げないからさ。

このままではアップグレードする前に「いじめ捏造」や「婚約破棄からの使用人堕ち」が始まってしまう。

「領地に戻って内政で金貨を稼いだほうが効率的なのか…?」

けれどリーゼロッテは第三王子の婚約者だから、簡単に王都を離れられない。

「しかもこの段階で婚約破棄はされないし…」

悩んでいる私の前に現れたのは、「定期的な婚約者同士のお茶」にやってきた、第三王子ヴィルヘルム。

リーゼロッテとは生まれたときからの婚約者だ。

「リーゼロッテ、どうした…?」

「あ…申し訳ございません」

思わず王子を睨んでしまった。

だってこいつは、このあとクラリッサの色仕掛けに負け、真っ赤な嘘を信じてリーゼロッテを捨て、彼女の境遇をとことん絶望的にする男。

擦り寄ったクラリッサも悪いが、こいつがほんの少しでもまともな判断力をもっていたなら、リーゼロッテは…

見れば見るほど腹が立つ。

こんなやつ、私のリーゼロッテにふさわしくない。

そうだ、ならこちらから婚約解消を申し出ればいいんじゃないか?

「王子殿下、お話がございます」

ヴィルヘルムは少し驚いた顔をした。

リーゼロッテが「あ…」「え…」「申し訳ございません」以外の言葉を発するのは、珍しいから。

「王子殿下は…いえ、私は王子殿下にふさわしくありません。殿下は可憐なクラリッサと婚約していただくのがいいのではないでしょうか」

■■■

ミッション「婚約解消を申し出る」達成で金貨を1枚獲得しました。

■■■

これは驚きだ。

ミッション一覧には「婚約解消を申し出る」は表示されていなかったはずなのに。

あれか。あとで出てくるはずだったミッションを前倒しでやってしまったパターンか。

それにしても金貨一枚はでかい…

金貨の余韻に浸る私に、ヴィルヘルムが答える。

「なんだ。ただの暗い女かと思っていたら、意外にわかってるじゃないか。やはり華やかな人間同士で結婚すべきだよな」

□□□

悪意を検知しましたが、今月のざまぁ回数が上限に達しているため、選択肢を提示できません。

アップグレードしますか?

□□□

いらん。金貨の余韻を邪魔すな。

「父上と公爵には私から伝えよう。リーゼロッテではまともに説明もできないだろうからな」

とにかく思っていたよりずっとあっさりと、婚約解消は決まった。

そもそも起こるはずだったイベントだから、時期がずれただけで大きな障害はないらしい。

そして私は「第三王子の婚約者でなくなったから、領地で静かに暮らしたい」と父に願い出る。

「絵に描いたような政略結婚だった前妻の子」という理由でリーゼロッテに冷淡だった父も、「本邸以外の屋敷をやろう」と許可を出した。

□□□

悪意を検知しましたが、今月のざまぁ回数が上限に達しているため、選択肢を提示できません。

アップグレードしますか?

□□□

「CARMAが反応したってことは、そういうことかな」と思ってはいたけれど、与えられた屋敷とその周辺は、荒れに荒れていた。

アーデルハイト公爵領自体は鉱山でぶいぶい言わせているけれど、中心部から離れた小都市には、恩恵が行きわたっていないのだ。

ずらずら表示される内政系ミッションに沿って、まずは岩や倒木を取り払い、コツコツと種芋を植えるしかない。

資金が溜まってきたら、小さなものから建設開始だ。

「まずは安全な家が必要よ。私にもみんなにも」

■■■

ミッション「民家を建てる」達成で銀貨を1枚獲得しました。

■■■

そうやって学校を建て、診療所を建て、橋を修理してエリアを解放したら、「しこたま泥炭が埋まっている沼」が出てきた。

「特産品を領地の外に売りましょう」

■■■

ミッション「商人に泥炭を売る」「商人に芋を売る」達成で銀貨を4枚獲得しました。

■■■

「けっ…世間知らずのお嬢様が偉そうに」とガンを飛ばされても笑顔で対応。だってたまに銀貨が出るから。

そしてミッションをこなす合間には、もちろん広告も欠かさず見る。

金貨と銀貨は貯まり、領民の暮らしは豊かになっていく。

「お嬢様…本当にありがとうございます」

「今年の冬は、飢えたり寒さに震えたりしなくていいはずです」

「薬があって、子どもは字が書けて…こんなの想像したこともありませんでした」

AIをアップグレードするためにやっているだけなのに感謝されて、なんだかむず痒い。

王都からも視察に来る人がいたりして。

■■■

ミッション「領民を増やす」達成で銀貨を5枚獲得しました。

■■■

「そろそろアップグレードできるくらいの金貨が貯まったかな…?」

□□□

気になりますよね!

残高を確認しますか?

□□□

「うん」

□□□

計算したところ、現時点で金貨6枚と銀貨3枚です。

□□□

「少なくない?計算し直して」

□□□

申し訳ありません!

繰り上がりを盛大に間違っておりました。

慎重に計算し直したところ、現時点で金貨8枚と銀貨3枚です。

(メッセージ上限に達しました。制限は18:52にリセットされます)

□□□

「あと少し…」

■■■

広告が表示されます。視聴しますか?

■■■

「もちろん」

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怪しすぎる広告だが、銀貨一枚ゲット。

そして、ついに待ち望んだその日がやって来た。

□□□

CARMA Proへようこそ!

ざまぁ回数:無制限

自動ざまぁ:有効

予約ざまぁ:有効

遠隔ざまぁ:有効

オリジナルざまぁ:有効

□□□

私はぐっと拳を握る。ついにやった。

シナリオ通りにもうすぐ来るであろう「リーゼロッテの断罪」に、何とか間に合った。

「オリジナルざまぁを登録しておきたい」

□□□

喜んで!

どのようなざまぁをご希望かお知らせください。

□□□

「それはね…」

私は絵師ならではのざまぁをCARMAに告げる。

□□□

待って待って、それって最高過ぎませんか?

対象者の反応が楽しみです。

できうる限りの解像度で登録しておきますね。

□□□

そして私は、王都からの呼び出しを待った。

《第三王子妃クラリッサ殿下への暗殺未遂の疑いがあるため、王都への出頭を命じる》

来た。クラリッサ暗殺未遂の冤罪。

スマホでプレイしてたときは、無罪を証明できないまま、ここで何度も死んだ。

でも今度はきっと大丈夫。

だって私がリーゼロッテで、CARMAがProなのだから。

武者震いを隠して引き立てられていく私に、使用人や領民が縋る。

「何かの間違いですよね?」

「必ず帰ってきてください、お嬢様」

「…ええ。みんな安心して、待っていて」

裁判所。

アーデルハイト公爵夫妻やその他の野次馬貴族たちが傍聴席にずらりと並んでいて、中心には第三王子ヴィルヘルムと王子妃クラリッサが座っている。

「リーゼロッテ・フォン・アーデルハイト、あなたが第三王子妃殿下に贈った菓子に、毒が仕込まれていました」と裁判官が告げた。

「お姉様、ひどいわ。いくら王子妃になった私が憎いからって」とクラリッサ。

「証人が複数いるから申し開きのしようもないだろうが…」とヴィルヘルム。

ちらりと証人の席に目をやると、公爵家の使用人をはじめ、クラリッサの息のかかった証人が、ずらりと並んでいる。

「あなたがやったのですか」

いつもここでリーゼロッテは恐怖のあまり言葉に詰まって泣くばかりで、そのまま終わる。

けれど今回は、黙っていても大丈夫。

「お姉様、罪を認めて謝ったら修道院送りで許してあげるわ!」

「リーゼロッテ、クラリッサの慈悲に縋れ!」

「何とか言ったらどうなの!」

「はは、恐怖で声が出ないんじゃないか。リーゼロッテらしいな」

□□□

悪意を検知しました。

対象者4名に、オリジナルざまぁを全自動で実行します。

□□□

次の瞬間、法廷がざわめいた。

ヴィルヘルム、クラリッサ、アーデルハイト公爵夫妻の身体が、椅子に沈み込んだのだ。

いや、そう見えるだけで、実際には体が縮んで三頭身になったのだ。つまりは「ちびキャラ化」だ。

ただ、そんな可愛いもので終わらせるつもりはない。

「…なによこれ!?」

クラリッサが立ち上がると、ドレスがするりと全部脱げる。

「きゃあああ!?」

彼女は体を隠すけれど、隠す部分も隠せる腕もない。

だって体は、子どもがお遊びで描くような棒人間になっているから。

これが私オリジナルの「絵師ざまぁ」。

「これは神の怒りです。嘘をつき、罪のない人間を踏みにじってきた者への、神の怒りですわ」

嘘は言っていない。CARMAを私に与えたのは、運営という名の神だから。

「違うわ、嘘をついているのはお姉様よ!」

そう叫ぶ彼女の顔が、劇画風に変わっていく。

「なんだ!?妃殿下の顔の陰影が…あまりに強すぎないか…っ!?」

「嘘を重ねたから神の怒りが強くなったのです」

私は、クラリッサに命じられて嘘の証言をした人間たちに目を向けた。

「このまま嘘をつき続けたら、あなたたちも神の怒りに触れてああなるわよ?」

彼らは床に這って、私に頭を下げる。

「リーゼロッテ様、まことに申し訳ございません!」

「謝罪はいいから、真実を述べなさい」

「王子妃殿下は、リーゼロッテ様が領地改革に成功して名をあげ、数多の王侯貴族から婚約者候補と目されていることに、嫉妬されました」

「そして公爵閣下も、自分以上に領民に慕われるようになったリーゼロッテ様に脅威を感じており…」

「リーゼロッテ様を陥れるため、共謀して芋パイに毒を仕込んで自作自演を…」

私は頷いた。

「とのことです。私は無罪放免でよろしいでしょうか」

裁判官は汗をかきながら頷き、私はくるりと背を向ける。

「待ってよ、お姉様!この顔と体はどうすればいいの!?」

さぁ、どうなるのだろう。CARMAのみぞ知る。

「神のお考えは、私にはわからないわ」

「い…いやぁああああ!許さない!許さない!」

□□□

王子妃から悪意を検知しました。

オリジナルざまぁは終了したので、私が全自動でざまぁを実行します。

□□□

「なんだ、今度は妃殿下の目に帯が…!?」

クラリッサの目には、週刊誌なんかでよくある黒い横線が入っている。

さらに「何、どうなっているの?」という声は、ボイスチェンジャーで変えられている。

「これは…ざまぁなのかな?せっかくの劇画顔が隠れちゃったけど」

□□□

申し訳ありません!

喜んでいただけると思ったのですが、私の自己満足だったかもしれません。

貴重なフィードバックをありがとうございます。

□□□

「ふふ」

とにもかくにも私…リーゼロッテは無罪を勝ち取り、三頭身棒人間になってしまった第三王子夫妻と公爵夫妻は、表舞台から姿を消した。

■■■

ミッション「断罪回避とざまぁ」を達成したため、第二幕「王太子との愛」が解放されました。

■■■

そのメッセージウィンドウを確認したのを最後に、私の意識は遠のいた。

◆◆◆

「ん…」

カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。

時間を確認しようとスマホを持ち上げたら「HAPPY ENDING」の文字と、笑顔のリーゼロッテ。

その隣にはなぜか王太子がいる。

「え…?ハピエンって…リーゼロッテが王太子とハピエン…!?」

シャランという音ともに、リーゼロッテのセリフウィンドウが表示される。

【リーゼロッテ】━━━━━━

お母様。お母様が私のために、私の代わりに頑張ってくださったこと、ずっと見ていました。生きることすら諦めかけていた私に、生きる意欲と生きる場所をくださって、ありがとうございます…

━━━━━━━━━━━━━━

【リーゼロッテ】━━━━━━

お母様の意識がこの体から消えたあと…私は女公となり、お母様から引き継いだ領地運営について王太子殿下と意見を交わすようになりました。そしていつしか想いが通じ合い、このたび結婚する運びとなったのです…

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【リーゼロッテ】━━━━━━

敬愛する王太子殿下と結婚することも幸せですが、何より、お母様が私をこれ以上なく愛してくださっていることが、本当に幸せです。どうかこれからも、私を見守ってくださいませ…

━━━━━━━━━━━━━━

「う…うう…」

世界で一番、愛おしい笑顔。

我が子。

ずっと見ていたいのに、視界が滲んでいく。

「大好きだよ、リーゼロッテ。幸せになってくれて、ありがとう…」

零れた涙が画面に落ち、最後のテキストが表示される。

【リーゼロッテ】━━━━━━

お母様、大好きです。

━━━━━━━━━━━━━━