軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第51話 犯人さがし?

「そう言えば、昨日の会議そうとう荒れたと聞きましたよ。ファングランの団長」

結局私の口に押し付けるようにチョコレートを食べさせ満足しているレクスに、ラドベルトが話しかけてきました。

「会議の後、室長に呼び出されて問い詰められてしまってなぁ。誰が、ファングランの団長に神出鬼没のラゼンのことを教えたのだと」

ラドベルトはレクスに話しかけていますが、視線は私に向けられていました。

機密事項を漏らしたのは誰かという犯人探しをしているのですね。

「どうせ、死人が教えたのでしょう?死人に罪は問えないですよね。ラドベルト」

「やはり、フェリラン隊長でしたか。俺じゃないのかと、疑いをかけられて大変だんだが?」

「はぁ。神出鬼没のラゼンはそのフェリランに殺されたのです。死人が死人のことを語っただけのこと」

チョコレートを食べ終わった私は、新しいタバコを取り出して火をつけます。

死んだ者のせいにしておけばいいのです。

頭の硬い人たちは困りますね。

ため息と共に白煙を吐き出します。

「私はよくディレニールの下につけるものだと感心していますよ。あの堅物の下は息苦しくないですか?」

「フェリラン隊長が自由過ぎるだけだ。あと、足を失っても騎士でいられるのは室長のお陰だからなぁ」

左足を失ったラドベルトは普通であれば、騎士として騎士団に残ることはできなかったでしょう。

しかし、ディレニールはそのラドベルトを受け入れてくれたと。

生きていくのはお金が必要であり、家族ができれば養う必要がありますからね。

騎士以外の生き方ができなかったのでしょう。

「まぁ一応、フェリラン隊長の従騎士だったので、隊長が話したのではと言っておきましたけど。その後グチグチと室長の愚痴を聞く羽目に……」

ラドベルトが遠い目をしています。

戻ってきたのは夕刻だったので、呼び出されたのはかなり遅かったのでしょうね。

「そのことで、魔導師団に協力要請を行わなければならなくなった。面倒なことこの上ない」

レクスが騎士団団長として、魔導師団に協力要請ですか。

魔導師団。騎士団とは別の組織になります。

あまりいい思い出がありませんわ。

魔道具の試運転と言って、何度不良品を実戦で使わされたことか。

試運転は自分たちで行って欲しかったですね。

偵察魔道具とか言う使えない物とかですね。

「ん? 魔導師団の魔道具が何故帝国側に流れているのですか?あれ、どう見ても不具合の塊の偵察魔道具でしたよ」

「それなんだ?そんな話、室長から出てなかったぞ」

え? レクス。報告に上げていないのですか?

私は隣を見上げます。

「その報告前に報告できる状態ではなくなったのです。報告書にはあげていますが」

……それ今日ぐらいに目を通した人がレクス訪ねに団長室を訪れていそうです。

まぁ、神出鬼没のラゼンの名が出てしまえば、上層部はそれどころじゃないでしょうが。

「あっ! いた! 探しましたよ。団長!」

遠くのほうから白い隊服を着たものが駆けてきます。

やはりレクスを探しに来た人がいました。それも聞き覚えがある声です。

「珈琲。ごちそうさま。俺は娘に怒られる前に帰る」

その声に慌てて立ち上がるラドベルト。

「休みの日に引き留めてしまって、すみません。良い休暇をラドベルト」

そう言って私も立ち上がります。

ラドベルトは逃げるように、カフェの店の中に消えていきました。

私はテーブルを回りテーブルと路地の間に立ちます。

「団長! 大将校閣下が……」

路地とテラス席を隔てる柵に手をかけて、飛び越えようとした白い隊服を着た騎士の腹に向かって、拳をねじ込みました。

「グハッ!」

柵から手が離れそのまま路地のほうに消えて行きます。

「レクス。迎えがきたようですね。さっさと説明に行ったほうがいいですよ」

私は振り返ってレクスにクソジジィの呼び出しに行くように促します。

「いきなり何をする!」

しかし答えたのは別の声。

お腹を押さえながら柵に手をかけ立ち上がる者から文句を言われました。私はタバコを片手に白煙を吐きながら言います。

「ここは入り口ではありません。そんなことも分からないなんて、ウジ虫からやり直せば如何でしょう?」

「マルトレディルそっくりのあねの……」

大声で私の家名を叫ぶ騎士の頬に向かって裏拳を放ちます。

「うぐっ! この容赦の無さ。あの温和なマルトレディルの子とは思えない非道っぷり、王都侵入禁止のはずぅ――――」

頬を押さえながら言う騎士の髪を鷲掴みにして引き寄せます。

残念なことに高さが足りないので私が柵の上に立つという行儀の悪さには目を瞑ってほしいですけどね。

「お久しぶりです。ダラニアール騎士伯様。今は大将校閣下の使いっ走りでしたね」

「補佐官な」

「頭が悪いので大将校閣下の使いっ走りしかできないダラニアール騎士伯様」

「あのセレグアーゼの血か! あの狂信者の妹カリーナアリアの悪影響がこんなところに」

「母を悪く言う奴にはお仕置きです」

「メリーナの嬢ちゃん。騎士団の悪評になるから、それぐらいで……」

私が顔面に向かって拳を構えてたところで、ラドベルトに止められてしまいました。早く帰ったほうがよろしいのでないのでしょうか?