軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第116話 貴方はどう戦いますか?

「グレンバーレル。やるなら周りに被害がでる魔法は止めたほうがいい。クソジジイが飛んでくるかもしれない」

私はレクスの言葉を受けるのであれば、これ以上被害を出す魔法は使うなと言いました。

クソジジイは昔からこういうのに、とてもうるさいのですよね。

戦場の死神同士で剣を交えるなら、郊外でやれと叩き出すほどでしたから。

それだけ、彼らの力が及ぼす範囲が尋常ではなかったということです。

「いや、そもそも受けませんからね。貴女が相手をすればいい」

「私は何度かした」

「本気でですか?」

「……」

本気? それは駄目だと思います。

それこそクソジジイが怒鳴り込んでくる原因になりかねません。

「そういうところが、甘いと言っているのです。本気で叩き潰してやりなさい」

「酷いな。グレンバーレル」

「その昔、私を氷漬けにした者の言葉とは思えませんね」

「んー? あれは、魔法だけ使えれば最強だと言われて、そうじゃないだろうと見せつけてやっただけ……あっ」

昔、魔法と剣がどちらが強いのかと、グレンバーレルと言い合いになったときに、氷漬けにしたのは認めます。

あとで、それは剣じゃないだろうと突っ込まれたこともセットでしたが。

そして何故かレクスが無言で、グレンバーレルに剣を振り下ろしているではないですか。

グレンバーレルはどこからか剣を取り出して、レクスの剣を受け止めています。

「剣……」

まさか、魔導師が剣を取り出してくるとはレクスも思ってみなかったのでしょう。

赤い隻眼を見開いて、グレンバーレルの剣を凝視していました。

「はぁ、剣術の基礎をフェリランに叩き込まれたぐらいですよ。魔導師の弱点は近接戦だと言われましてね」

そう言って片手てレクスの剣を弾き返すグレンバーレル。

グレンバーレル、その……お手柔らかにお願いします。流石に魔導師に剣で騎士団長が負けたとなると色々問題があるので……。

「しかし、相手が剣を振り下ろす前に魔法を展開して発動すればいいことだと結論づけましたので、それ以来剣は持ったことはないですね」

「そういうヤツですよね」

魔法に関しては天才と言っていいグレンバーレルであれば、言葉通りにできると思います。ですが、普通はタイムラグというのが発生するので、そうは行かないものなのですけどね。

「ですがね。こういうこともできるのですよ」

そう言って、グレンバーレルは持っている剣に炎をまとわせた。

あ……それ駄目なやつです。

「グレンバーレル! それはやめろ!」

「貴女は黙っていなさい。だいたい、本物を知らないから駄目なのです」

そして炎で燃えた剣を地面に突き刺し、地面が灼熱の大地と化した。

大気が熱せられ呼吸もままならない。

「ファクトゼーラ・アディフィール。彼の戦い方を分析するに、まずは戦場を整えるということから始めていました」

烈火のアディフィール。最強と謳われた敵将。

熱風に煽られ、全てが熱せられていくなか、私の心は逆に冷えていっています。

ふぅ〜っと吐き出す息に白いものが混じってきました。

「さて、レクスイヴェール・ファングラン。君はどう戦いますか?」

レクスといえば、まともに呼吸ができないのか、口の周りを片手でおおって肩で息をしています。

これはやはり、やりすぎです。

グレンバーレルを止めようと足を踏み出したところで、睨まれてしまいました。

止めるなと言いたいのですか?

しかしですね。これは、今の騎士たちには酷というものです。

その力は戦場では必要でしたが、今の時代に必要かといえば、そうではありません。

レクスにその力が必要であれば、ベルラディル閣下が教えていたはずですから。

「息ができませんか? 騎士団団長と言ってもその程度ですか。戦場の死神と言われた者たちが、何故特別視されたかわかりますか? 誰もがその境地に立てなかったからですよ」

レクスのまとっている衣服に火がついたところで、グレンバーレルは地面から剣を抜き、全ての現象をなかったかのように消し去りました。

そして、レクスを燃やそうとしていた火も消し去り、赤く焼けていた肌も元通りになりました。

こういうところが天才と認めるところです。

息をするように魔法を施行する。誰も真似ができない至高の領域。

「はぁ~……グレンバーレル。やり過ぎだ」

私はグレンバーレルに文句を言いつつ、レクスの下に駆けつけます。

隊服のシャツやズボンが焦げていますが、皮膚のほうはやはり綺麗に治っていますね。

「また、白い息がでていますよ。そういうバレバレなことは止めたほうがいいと何度も忠告をしているはずですが?」

「これ、あとでクソジジイに怒られるやつです」

「直せばいいのでしょう。直せば」

剣の代わりに身の丈ほどの杖を取り出して、地面に突き刺すグレンバーレル。何故、あの適当な感じで完璧に魔法が構築できるのかは、永遠の謎だと思います。

「レクス。肺は焼けていないですか? アディフィールほどの威力はなかったですが、呼吸は魔装で防御できない欠点ですから」

「え? 威力がない?」

「そこではなくて、肺は大丈夫なのかと」

グレンバーレルは模倣しただけで、本物には程遠いに決まっているではないですか。