軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第109話 団長との同棲生活はどうだったのかしら?

「マルトレディル君!」

私は 肉々(憎々) しい壁にぶつかって頭を押さえられてしまいました。

「お帰りなさい。謹慎が早く解けて良かったわね」

私は徹夜後、昼まで寝て夕刻にレクスが騎士団から戻ってくるのを待ってから、騎士団に戻ることを告げたのです。

勿論、レクスからは反対されましたが、明日から従騎士として務めるには必要なことと言い切り宿舎の門限ギリギリに戻ってきたのでした。

なのに、玄関に入ったところでメリッサさんに捕まってしまったのです。

「私も今戻って来たところなのよ。ここ二日ほど騎士団の中が慌ただしくて大変なのよ」

「そうなのですか」

私は谷間から見上げて返事をします。

あの? 解放していただけませんかね?

「それで、団長との同棲生活はどうだったのかしら?」

「……同棲ではなく謹慎です」

「でも何かあったのよね?」

「すごく確信的ですね」

「今日、団長にお会いしたのだけど、とても機嫌が良かったのよ。ファングラン公爵家の事件があったにも関わらずよ」

……機嫌。良かったでしょうね。

国王陛下から婚約の許可をもらったので、朝からエストのため息が多かったと侍女長のアリアが言っていました。

ええ、エリアーナさんはファングラン公爵家の本家の方に残られたので、私の身の回りのことはアリアがしてくれていたのでした。

「何があったのか、おねーさん興味津々」

「別に何も……」

「そうなの? てっきりベッドを一緒にしたとかあったのかと」

「……」

あれは、一緒に寝たという解釈になるのですか?

いいえ、あれは絶対に違います。

「ぐふっ、ぐふっ、そうなのね。そういうことなのね」

「何を想像したのか知りませんが、違います」

「いいのよ。大丈夫。それじゃ、今度はおねーさんとも遊んでね」

何が大丈夫なのかわかりませんが、私はメリッサさんから解放されました。

あの、毎回 肉々(憎々) しい胸をぶつけてくるのをやめて欲しいです。

「ああ、そうそう訓練の話なのだけど」

何かついでのようにメリッサさんに訓練のことを言われてしまいました。

そちらが本題ではないのでしょうか?

「王都の郊外に使用していない騎士団の所有地があるそうなの」

「郊外ですか? 移動に時間がかかりそうですね」

郊外ということは、王都周辺を囲む外壁の外ということです。ということは王都の外門が開いている時間帯でしか行き来が不可能なのです。

恐らく使い勝手が悪いので放棄された場所なのではないのでしょうか。

「そうなのよね。でも大将校ハイラディ閣下に直談判して、そこであるならいいと言われたのよ」

「それ、遠回しに諦めるように言われていますよ」

「マルトレディル君もそう思う?」

あのクソジジイなら、そういう手を使ってきてもおかしくないです。

フェリラン中隊の訓練が激しすぎるからと、王都の中心から使い勝手の悪い郊外に追い出されたのです。

だったらと、私は訓練場をそのままフェリラン中隊の隊舎にするために、クソジジイに隊舎を建てろと言ってやったのです。

すると、色々煩わしいと思っていたことがなくなって、とても快適だったのですよ。

でも今回はそういうわけにもいきません。

私も彼女たちも本部に勤めているのですから。

うーん。こういうのはグレンバーレルに頼むといいのですが、昨日本部の建物を直すように頼んだばかりなので、難しいでしょうね。

それに近い内に水龍を狩って来なければなりません。

……水場? ラゼンの魔法が簡単に使えるのであれば、移動も便利でしょうね。

「しかし、今回のことでベルラディル閣下から騎士たちの不甲斐なさを指摘されていましたので、訓練を行うためとして転移の門の設置許可か外門の時間外利用の許可のどちらかを引き出せばいいのでは?」

「ベルラディル閣下? その方の名は存じ上げないけれど、数人の騎士が減棒と謹慎処分の厳罰を受けたのは、かなり噂になっているわね」

昨日、賊に対して剣を抜かなかったと責められていた人達のことですね。

減棒と謹慎処分ですか。ぬるいですわね。

私なんて……いいえ、今と昔は違うのです。

っていうか、今の騎士達は閣下を知らないのですか!

名前ぐらい知っていても、いいのではないのですか?

「訓練の件は、基礎訓練であれば明日からでも可能です。業務が終わってから本部の訓練場に私はいますので、それでもよければきてくださいと伝達お願いします」

「そうね。伝えてみるけど、それだと来ない子がいそうね」

ああ、朝に基礎訓練をしてから業務を始めているという言い分ですか。

「それなら、来なくてもいいです。基礎がなければ、それまでですから」

ヤル気がないのに来られて、他の人の意欲を削がれても困りますもの。

それに自主訓練の範囲に入りますからね。無理をすることもありません。

「でも、不機嫌なメイドの方は、強制参加です」

「そうね。でも彼、そういうのはできていると自信を持っているから、難しいかもしれないわね」

「メイドなので拒否権はないと思いますが?」

「はっ! ……そうね……そうなるわね……マルトレディル君って意外と意地悪なのかしら?」

別に意地悪ではないですよ。

ファングラン公爵家で一人だけ異質なので、あのようにひねくれてしまったと思っただけですわ。

そしてファングラン家の血族の魔法が使えないというレッテル。そうではないと、教えてあげようと思っただけです。