作品タイトル不明
第106話 何やらグサッときました
「融けないのですか?」
レクスが私に聞いてきましたがそれはクソジジイ次第です。
私は拳を収めた時点で、冷気を収めました。
クソジジイの機嫌が悪いままだと、会議が終わるまでこのままです。
「熱湯のお茶でもお出しすれば解けるかもしれませんね」
ちょうどエリアーナさんが目の前に温かいお茶を出してくれましたので、そのように言っておきます。
ラドベルト、何をむせているのですか?
「それよりもさっさと終わらせたほうが早いと思います」
クソジジイをこの部屋から追い出すのが一番いい解決策ですわね。
この状態に慣れた者たちは、諦めの境地で席についていますから。
それに対して副団長は、死にそうな表情を浮かべてガタガタと震えていますが、もしかして魔装を使えなかったりするのですか?
相手の魔法に対して抵抗力を持つので、こういうところでは重宝するのですが。
「それでは再開する」
あ、副団長のことは無視ですか。まぁ、私は別にいいですけど。
「今、現状で予想できているのは、空言のメアドーラと神出鬼没のラゼンという者の存在が示唆されている。空言のメアドーラに対しては将校セレグアーゼに一任するが、神出鬼没のラゼンに対応できる騎士の名を上げてほしい。私はその者の詳細を知らないのでな」
団長であるレクスが他の幹部たちに意見を聞いているけど、あれ? 他にもいると思うのですが、この人達の中で決めていいのですか?
あ、早急に解決しなければならないということですかね?
「あれは、魔力量が多い者じゃないと無理だ」
アシュメディラは片手を振りながら、質問の答えではないことを言っています。
だから、その人物を上げろということですよね。
「手っ取り早くグレンバーレル魔導師団長に協力を願ったほうがいいでしょうね」
リヴァイデルは以前対応したグレンバーレルの名を出しました。それはいいのですが、アレがまともに動くかは不明です。
今日も料理だけ食べて、帰っていきましたからね。
「そもそも水の道の封鎖から行わなければならない。一番の問題はそこではないのか?」
セレグアーゼは通り道として既に開通してしまっている水の道の封鎖が最優先だと口にしました。
それはどこにあるか不明な上、数が膨大だろうと予想ができるからです。
ラゼンにとって水の移動が最大の武器でもあるので、そういう仕込みに余念はないでしょう。
「あのフェリランでさえ、ドラゴンに食われたと言っていたのですよ。奇才の魔導師と死神の二人がかりでさえ、奇襲されたのです。普通の者に対応できると思えませんね」
「は? ドラゴンに食われた?」
ディレニール、そんな昔のことを出さないで欲しいです。
予想もしていないところから奇襲されれば、ドラゴンに噛まれることぐらいありますわ。
あと、レクス。私を捕獲している力が強くなっているので、緩めてください。
今のところクソジジイは、黙々とペンを走らせているので、殴り込みに行くことはありませんわ。
「まぁ、左腕一本食われたと言っていましたが、グレンバーレルの旦那……っと、魔導師団長に治してもらったと、ピンピンして言っていました」
ラドベルト。その昔、私とグレンバーレルをからかっていたときの言い方をしないで欲しいです。
婚約はしていましたが、結婚はしていませんからね。
レクス、私の左手を握らなくていいです。その話はフェリランの時の話なので、今の私は関係ないです。
「まとめると、今の騎士の中には対応できる者がおらぬということであるのぅ。嘆かわしい」
「騎士団を去った者にいわれたくないものだ」
「オレスティーラの怠慢じゃのぅ」
またジジイ同士で話始めています。
そうです。レクスに団長を譲る前に、人を育てておくべきだったのです。
で、副団長さんは大丈夫なのでしょうか? 先ほどから一言も話していませんけど?
「ふん! ファングランが出ればよい。団長として騎士を引っ張っていくのも役目である」
クソジジイはレクスに全てを押し付けるようです。
思うにクソジジイが行けばいいのではないのですか? 無駄に鍛えているようですし。
「ふむ。しかしレクスイヴェール様お一人というのも些か問題であるのぅ。騎士団の団長に何かあれば、そこを突かれてしまう。やはり、今回もグレンバーレル魔導師長に協力を願ったほうがよろしいでしょうな」
「ベルラディル。それは私一人では心許ないと言っているのか?」
レクス。ベルラディル閣下は別にレクスを弱いと言っているわけではないのですよ。
それほどラゼンが危険だということです。
「ふむ。レクスイヴェール様が狂酔されておられる氷姫フェリランでさえ、奇襲されたのです。回復魔法が使える者を連れて行くという意味合いでございますなぁ」
ぐふっ! 何やらグサッときました。
ベルラディル閣下から使えない者扱いされた気分です。
「それにグレンバーレル魔導師長は気分屋のところがありますが、実力は戦場の死神と大差ない者でございますぞ」
はい。その実力は認めましょう。
ですが、気分屋というより、魔法に関してのことのみにヤル気がでるというだけです。
前世で、ラゼンの件を命じられたときも、ラゼンの使う魔法を調べたくないのかと言って連れ出したぐらいですからね。
そうでなければ、魔法馬鹿が研究室から出るはずがないです。