軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

やっぱり我が家

バルシャニアへの新婚旅行を終えて、ヴォルザードの我が家に帰ってきました。

「あぁ、やっぱり我が家が一番だよねぇ……」

「当然にゃ、ネロがしっかり守ってるからにゃ」

旅行の荷物とかを片付け終えたら、日当たりの良いベランダでネロに寄り掛かって一休みです。

モフモフのフッカフカですよ。

「ネロもお留守番ご苦労様」

「まぁ、ネロに掛かれば何てことないにゃ」

留守番といっても、ネロはいつもと変わらないと思うんだけどね。

「ネロ、僕が留守の間に変わった事は無かった?」

「何も無かったにゃ」

「そりゃそうだよね、ネロが見張ってくれているんだもんね」

「その通りにゃ」

実際、ネロ、レビン、トレノが昼寝している家に、忍び込もうなんて馬鹿は居ないでしょう。

虎穴に入らずんば虎子を得ず……なんて言うけど、うちに忍び込んだところで、お宝も置いてないし、割に合わないでしょう。

高価な品物とか置いてないし、現金や魔石などは全部影の空間に収納してあります。

仮にネロたちに見つからずに済んだとしても、盗む物が無いんですよね。

世界最高峰の自宅監視員と共にウトウトしていたら、パタパタと弾むような足音が近付いて来ました。

「ケーンートォ!」

「ぐへぇ……中身が出ちゃうよ、メイサちゃん」

「ふふん……ケントの匂いがする……」

すっかりリラックスしていた所に飛び付かれて、マジで中身が出ちゃうかと思いました。

僕の胸元にグリグリと頬擦りする様は、まるで猫みたいです。

「フィーデリアを泊めてくれて、ありがとうね」

「お店を手伝ってもらったから、うちがお礼を言いたいって、お母さんが言ってたよ」

僕らがバルシャニア旅行へ行っている間、フィーデリアはアマンダさんの家にショートホームステイしていました。

生粋のお姫様が、庶民の暮らしを体験してみたいのだろうと思い、僕からもアマンダさんにお願いしておいたし、コボルト隊の護衛も付けておきました。

「手伝ってもらったのは、お店だけ?」

「お店だけだよ」

「本当にぃ?」

「ちょ、ちょっとだけ宿題も手伝ってもらったけど……」

「ちょっとだけ?」

「ちょっとだけですぅ!」

まぁ、ちょっとだけのはずがないけど、そういう事にしておいてあげましょう。

「バルシャニアの話が聞きたい」

「そうだなぁ……僕とセラが主人公の歌劇を見てきたよ」

「なにそれ! 見てみたい!」

「いやぁ、見ても僕が主人公だとは気付かないかも……」

セラフィマ役の女優さんは、セラフィマに似た体型だったけど、僕を演じていた役者さんは普通のイケメンでしたからね。

どうやっても別人でした。

「なにそれ! ますます見てみたい!」

「残念ながら、バルシャニアまで行かないと見られないんだなぁ」

「わふぅ、見れるよ。バステンが録画したって」

ひょこっと顔を出したマルトが、とんでもない爆弾を落としていきました。

「はっ? 聞いてないんだけど……」

「やったー、後で見せて」

「えぇぇ……録画しちゃ駄目でしょう、NO MORE 演劇泥棒だよ……」

「わぅ、ちゃんと許可は貰ったって」

まぁ、元皇女様ご一行だから、許可を出すしかなかった……というか、撮影そのものを理解していなかったのかも。

ていうか、あれをメイサちゃんとか、フィーデリアとか、美緒ちゃんとか、ルジェクにみられるのは、ちょっと恥ずかしいんですけど……。

僕とセラを題材にした歌劇の話をしていると、美緒ちゃんやフィーデリアも学校から帰って来ました。

てか、メイサちゃんは、どんだけ急いで来たんだよ。

「健人お兄ちゃん、おかえりなさい」

「ただいま、留守の間、なにも問題無かった?」

「うん、大丈夫。ご飯はマルツェラさんと一緒に作ったんだよ」

「美味しかった?」

「んー……微妙」

「あははは、それは次の機会があったら、対策を考えないとだね」

「でも、楽しかったから大丈夫」

ルジェクの姉マルツェラは、普段メイドの仕事をしてもらっているけど、調理についてはノータッチです。

食事だけでも、アマンダさんのところで食べさせてもらえば良かったかもしれませんね。

「フィーデリアも楽しめた?」

「はい、とっても楽しかったです。けど……」

「けど?」

「メイサが夜中に暴れるので、良く眠れませんでした」

「ちょっと、フィーデリア!」

「あははは、メイサちゃんと一緒に寝たんだ。それは大変だったねぇ」

「はい、大変でした……」

「きぃぃぃぃ……そんなに寝相酷くないもん!」

ぐっすり眠っているメイサちゃんは分からないと思うけど、下宿していた頃は洗礼を受けてたから、よーく知ってますよ。

「ルジェクも留守番ありがとうね。何も問題無かったよね?」

「はい、大丈夫です。けど……」

「また、けど?」

「お屋敷がガラーンとしていて、ちょっと寂しい感じがしました」

「あぁ、みんな出掛けちゃってたからね。三人だけだと、ちょっと寂しいかもね」

普段は人がいっぱいいる家が、急に静かになると寂しく感じるのでしょう。

「えー……寂しくなんかなかったでしょう。ミオとお風呂も一緒だったんでしょ?」

「そ、それは……」

「メイサ、それ内緒って言ったじゃん」

「あれっ、そうだっけ?」

いやいや良いんだよ、メイサちゃん。

それは内緒にしちゃ駄目だからね。

年頃の男女が、純粋に一緒に寝る程度ならまだしも、一緒にお風呂に入るのは駄目でしょ。

「ルジェク……どういう事かな?」

「いや、違うんです。ぼ、僕が望んだ訳じゃなくて……」

「ルジェクは、あたしとお風呂に入るのは嫌だったの?」

「いえ、そういう訳ではなくて……ミオ様がテレビを見て……」

ルジェクが汗だくになって並べた言い訳によると、心霊特番を見て怖くなってしまった美緒ちゃんに頼まれて一緒に入ったようです。

普段、マルツェラと一緒に入浴しているようで、マルツェラもいつもの調子で一緒に入ってしまったようです。

「ルジェク、その言い訳が唯香に通用するか、後で試してみようか」

「ひっ……ユイカ様には……」

ふっふっふっ、唯香の恐ろしさを理解しているみたいだけど、今回は体験して理解をより深めてもらうとしましょう。

この後ルジェクは、唯香にみっちりとお説教を食らいました。

ルジェクがお説教を食らっている間に、僕は一人で風呂を済ませてしまおうと思ったんですが、メイサちゃん、美緒ちゃん、フィーデリアに乱入されてしまいました。

当然、風呂上がりには唯香のお説教が待っていましたとさ……。