軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お泊り会

「メイサちゃん、明日は安息の日だから泊まりにおいでよ。本物のお姫様も泊まりに来てるんだよ。家族をみんな殺されちゃって、ショックで心が壊れちゃってたんだけど、モフモフと仲良くなって元気になったんだよ」

「ふーん……それ、なんてマンガ? ニホンから送ってもらったの?」

「違うよ、本当に本物のお姫様がいるの!」

時々、ミオは馬鹿な子じゃないかと思う時がある。

あたしよりも算術はちょっとだけ得意だけど、訳の分からないことを言い出す時があるのだ。

今回もマンガの読み過ぎなのかと思ったが、ケントの家に泊まれるから行くと答えておいた。

べ、別にケントと一緒に寝たいとかじゃなくて、モフモフと遊びたいだけだからね。

「でもミオ、あたしはお店が終わってからじゃないと行けないよ」

「あぁ、そっか……じゃあお兄ちゃんに迎えに行ってもらうよ」

「ホント? でも、ケントは忙しいんじゃないの?」

「そっか……じゃあルジェクに頼む」

「えぇぇ……ルジェク? 頼りないよ」

「頼りなくなんてないよ! ルジェクは、とっても頼りになるんだからね」

「うーん……でも、ユイカさんかベアトリーチェさんに相談した方が良くない?」

「そっか、そうかなぁ……でも、ルジェクはホントに頼りになるんだからね」

「はいはい、分かりましたよ、ミオ様」

「ちょ……別に様って呼ばれたい訳じゃないんだからね」

「はいはい、お仕置きなんでしょ、分かってる、分かってる……」

「もう、そんなんじゃないんだから……」

ミオは、ケントの屋敷に住んでいるルジェクと仲が良い。

ヒョロヒョロしていて貧弱で、うちに下宿を始めた頃のケントよりも全然頼りないのに、ミオは熱を上げているようだ。

あたしには、どこが良いのか全然分からないけど、ミオが誰と付き合おうと自由だから構わないと思っている。

ただ、ところかまわずチューチューするのは、見ている方が恥ずかしくなるからやめてほしい。

あたしだって、ケントとなら……なんて思ってないんだからね。

学校が終わったら、ミオとルジェクがあたしの家に来るのが最近のパターンだ。

というか、ミオにルジェクがオマケでついてくる感じだ。

ただ、最近のルジェクはグッタリしている事が多い。

聞けば特訓をしているそうだ。

ラインハルトのおじちゃんに剣術の基礎を習っているそうだが、強くなる前にパッタリ倒れてしまいそうだ。

そういえば、ケントも下宿を始めた頃に何度か倒れていたっけ。

お腹もプヨプヨだったのが、いつの間にか固くなって逞しくなってた。

ルジェクは闇属性だけど、ケントみたいに凄い魔術は使えない……というか、今はモフモフが一緒じゃないと影にも潜れないみたいだ。

いつかケントの役に立ちたいみたいだけど、その心掛けは良いとしても、ケントのようになるのは無理だろう。

家に帰ったら、早速お母さんにお泊り会の話をした。

「ミオが泊まりにおいでって言ってるの、行ってもいいよね?」

「ケントは良いって言ってるのかい?」

「それは……どうなの、ミオ」

「大丈夫です。お兄ちゃんが連れて来てくれって言ってました」

「本当だろうね?」

まだ疑っているお母さんに、ミオがお姫様の話を始めたら……余計に疑い始めてしまったようだ。

「あー……あれじゃないですか? また国分がどこかの国の騒動に首を突っ込んで……ってパターンでしょ」

ナイス、サチコ。それなら確かにありそうな話だ。

「そうなのかい、ミオちゃん?」

「はい、そうみたいです。えっと、海の向こうのシャ……シャルなんとかって国みたいです」

「シャルターン王国?」

「そう、それだよ、メイサちゃん」

「学校で教わったけど、ランズヘルトのずーっと東の街から、更に海を渡ったところだよ」

「メイサちゃん、日本はもっと遠いと思うよ」

「あっ、それもそっか」

「それに、セラフィマさんも遠い国の人なんでしょ?」

「そうだ、えっと……ブルシャニャーだっけかな?」

「そう、そんな感じ!」

「はぁ、しょうがないねぇ……皆さんに迷惑掛けるんじゃないよ」

ミオとサチコの援護のおかげで、お泊りは許可してもらったけど、その代わりに宿題は済ませてからという条件が付いてしまった。

「ミオ様、算術の宿題を教えてください。どうかお願いします」

「メイサちゃん、宿題は自分でやらないと意味が無いんだからね」

「そんな事を言わず、そこを何とか……」

「駄目駄目、ルジェクも自分でやらなきゃ駄目だからね」

「はい……ミオ様、あっ……」

「もう、しょうがないなぁ……」

だから、ところかまわずチューチューするんじゃないよ。

「メイサ」

「なに? サチコ」

「その宿題終わったら、国分の屋敷に行っていいよ」

「えっ、だって夕方からお店の手伝い……」

「今日は、あたしが代わってやるよ」

「えぇぇ……でも」

「いいから、いいから、たまには羽を伸ばしてきな」

「ホントに、いいの?」

「そのかわり……」

サチコはチョイチョイっと手招きすると、あたしの耳元で囁いた。

「国分に、うーんと甘えてくるんだぞ」

「にゃっ……にゃんでぇ?」

「あれっ、嫌なの? 嫌なら店の仕事を代わるのも……」

「嫌じゃない! 嫌じゃないけど……」

「ふふーん……後で、ちゃんと報告するんだぞ」

「えぇぇ……」

「頑張れ、メイサ!」

「うぅぅ……」

サチコには、ケントのお嫁さんになりたいって知られちゃってるから、誤魔化しようがない。

後で報告するのは恥ずかしいけど、ケントといられる時間が増えるのは嬉しい。

そうだ、恥ずかしい部分は上手く誤魔化して報告すれば良いんだ。

全部正直に話す必要は無いんだけど……聞いてもらいたい気もする……。

「メイサちゃん、遊んでると何時まで経っても宿題終わらないよ」

「お願い、ミオ様。算術の宿題を教えて。教えてくれたら、チューしてあげる!」

「嫌だよ。なんでメイサちゃんとチューしなきゃいけないのよ」

「だったら、教えてくれなきゃチューしちゃうぞぉ……」

「ちょ、嘘でしょ……駄目駄目、教える、教えるから待って!」

ふん、ルジェクとは嬉しそうにチューするくせに、あたしとするのは嫌なのかい。

まぁ、あたしもチューするならミオじゃなくって……ふふっ。

あたしのお願いが通じて、ミオが算術の宿題を教えてくれたので、無事にケントの屋敷に行けるようになった。

「じゃあ、お母さん、サチコ、行ってきます!」

「はいよ、皆さんに迷惑かけるんじゃないよ!」

「メイサ……頑張れ!」

「わ、分かってる……」

「きししし……」

うー……サチコに報告するような事は起こるんだろうか。

ミオとルジェクは、手なんか繋いじゃって気楽に歩いていくけれど、あたしはケントの屋敷が近づいてくるほどにドキドキしていた。

何週間も会っていないとかではないのに、ケントに会うと思うだけでドキドキしている。

なんだか変だ。ちょっと前までは一緒に暮らして、一緒に寝てたのに。

門を警備しているザーエに挨拶して敷地に入ると、ひょこっとマルトが顔を出した。

「マルト、遊びに来たよ」

「いらっしゃい、メイサ」

「えぇぇぇ……メイサちゃん、見分けられるの?」

「うん、マルトとミルトとムルトは分かるよ」

「わふっ、一緒にねんねしてたからね」

マルトがいるということは、ケントも出掛けていないということだ。

「マルト、ケントは?」

「ご主人様は上にいるよ」

マルトと一緒に上を見上げると、バルコニーからネロの尻尾が見えた。

たぶん、あそこで昼寝でもしているのだろう。

「行こう、ミオ!」

「あっ、ちょっと待ってよ、メイサちゃん!」

駄目、無理、待ってなんかいられない、足が勝手に走り出すのだ。

「こんにちは、お邪魔します!」

「いらっしゃい、メイサちゃん」

顔馴染みになった屋敷の人に挨拶しながら、廊下を小走りで通り抜ける。

階段を駆け上って、靴を脱いで、更に階段を駆け上がる。

胸がすっごくドキドキしているのは、きっと走っているからだ。

リビングに入って、バルコニーに目を向けると、ネロのお腹に寄り掛かっているケントの姿が見えた。

「ケント!」

「しー……静かに、メイサちゃん」

駆け寄ろうとしたら、ケントは口の前に人差し指を立てて静かにするように言ってきた。

良く見たら……お姫様がいた。

外国の衣装のように見えたので、セラフィマさんだと思ったら、知らない女の子がケントの膝に頭を預けて眠っている。

薄っすらとグリーンがかった銀髪は、ゆるいウェーブがかかっているみたいだ。

抜けるように白い肌で、奇麗な顔立ちはお姫様にしか見えない。

すごく綺麗で、すごく可愛らしいと思うのに、何だろう胸の中がドロドロしてくる。

「誰、その子?」

「あれっ、美緒ちゃんから聞かなかった?」

「聞いたような……聞かないような……」

「シャルターン王国の第六王女、フィーデリア姫だよ」

ケントが教えてくれたフィーデリア姫がヴォルザードにいる理由は、ミオから聞いたようなポアポアした内容ではなくて、信じられないほど残酷な話だった。

「フィーデリア姫は、家族も、住む家も、国さえも無くしてしまっている状態なんだ」

「可哀相……」

「うん、これからどうやって生きていくのか答えが出るまで、僕の家で預かることにした。それでね、本当なら学校に通った方が良いんだけど、まだ大勢の人と接するのは怖いみたいなんだ。だから、メイサちゃんも友達になってあげてほしいんだ」

「うん、分かった……」

さっきまでスースーと寝息を立てていたフィーデリア姫は、気付くと眉間に皺を寄せ、何だか苦しげな息遣いになっている。

「ケント、何だか苦しそう……」

「えっ、ホントだ……」

ケントはフィーデリア姫の背中に手を添えて、優しく撫で始めた。

仄かに手の平が光っているように見えるから、治癒魔術を使っているのかもしれない。

ビクっと体を震わせたフィーデリア姫は、ふーっと息を吐くと、またスースーと寝息を立て始めた。

きっと、ケントの温もりを感じて安心したんだと思う。

ふと気付くと、ミオがリビングで手招きしていた。

庭で遊ぼうと誘っているようだ。

「メイサちゃん、行ってくれば?」

「うん……ううん、やっぱいい。ここにいる」

手振りで、ここに残ると伝えると、ミオはちょっと考えた後でルジェクと一緒にリビングを出ていった。

「いいの? メイサちゃん」

「うん、いいの……」

そう答えて、ケントの隣に腰を下ろして、思い切って腕にしがみ付いてみた。

「メイサちゃん?」

「シャルターン王国の話をして」

「うーん……あんまり面白い話はないよ」

「それでもいい……どんな国?」

「そうだねぇ……」

抱え込んだ腕から、ケントの温もりが伝わってくる。

同じくらいの年頃の男の子よりも少し高めのケントの声は、耳をくすぐるようで知らず知らずに口許が緩んでしまう。

うちに下宿している時は、あたしが寝付くまでこんな感じで色々な話を聞かせてくれた。

ランズヘルトの別の街の話、リーゼンブルグの話、ニホンの話。

ケントの声を聞いていると、イライラしたり、ムカムカした事も、いつの間にか忘れてしまう。

ミルトやムルトも出て来て、あたしやケントに寄り掛かってきた。

フワフワなネロに寄り掛かり、モフモフのマルト達に囲まれ、隣りにケントがいたら、眠るなと言う方が無理な話だ。

あぁ、幸せ……この時間がずっと続けばいいのに。

「メイサちゃん、起きて、起きて」

「んぁ……なに?」

「よだれ、よだれ……」

「えっ、えっ……じゅぅ……ごめん」

「はぁ……相変わらずだねぇ……」

「ごめん……」

あぁ、なんでよ。なんで、よだれ垂らしちゃってるのよ。

ケントのシャツに垂らさなかったから良かったけど、あたしのシャツが濡れている。

せっかくケントと一緒にいられて、気持ちの良い時間だったのに台無しだ。

格好悪いなぁ……と思っていたら、お姫様が目を覚ましていた。

「あの……ケント殿、こちらの方は?」

「僕が下宿していた食堂の娘さん、メイサちゃんだよ」

「えっ、あっ……は、はじめまして……メイサでございます」

「ぶふっ……」

あたしが慌てて挨拶したら、ケントは口許を押さえて肩を震わせている。

「えっ……間違った? 何か変だったの?」

「いや……間違いじゃないけど、メイサちゃんが……ございますって……うくくく……」

「なんで! なんで笑ってるの! ちょっと、ケント!」

「ごめん、ごめん、そのくらいの方がメイサちゃんらしくて良いよ」

「きぃぃぃぃ……絶対馬鹿にしてるでしょ、ケントのくせに生意気!」

二の腕をバシバシ叩くと、ケントはまた笑いだして、お姫さまはポカーンと呆気に取られていた。

「メイサちゃん、フィーデリアには、僕も、唯香も、マノンも、美緒ちゃんも平民で、セラフィマはバルシャニアの皇女様だけど、この屋敷では身分とかに拘らず過ごしているって説明してあるから大丈夫だよ」

「うぅぅぅ……そういう事は、もっと早く言っておいてよね」

「ごめん、ごめん、てかさっき話したけど、メイサちゃん寝てたのか」

「たぶん……」

そういう大事な話は、最初にしておいて欲しかった。

「あの……お二人は、とても仲がおよろしいのですね?」

「そうだよ、ヴォルザードに来たばかりで、知り合いもいなくて心細かった僕を暖かく迎えてくれた家族同然……あれっ? メイサちゃんは最初は結構冷たかったよね?」

「そ、そんな事ないわよ。暖かく迎えてたでしょ」

「いや、『どうせコロっと死んじゃうんでしょ……』とか言われたような……」

「そ、それは、あたしじゃなくて、ギルドで誰かに言われたんじゃないの?」

「そうだっけかなぁ……?」

「そ、そうよ、そうにきまってるでしょ」

「まぁ、いいか。そんな感じ」

ケントは、あたしの頭をワシャワシャと撫で始めた。

そんな、マルト達じゃないんだから……そうそう、そんな感じで優しく撫でて……ふふーん……。

「きゃっ……」

ケントに頭を撫でられていると、フィーデリアが小さく悲鳴を洩らした。

気持ち良くなって閉じていた目を開けると、ケントの正面にサヘルがしゃがみ込んでいた。

「あぁ、サヘルも僕の眷属だから大丈夫だよ」

あたしが撫でられているのを見て、次は自分だと思ったのだろう。

ケントに頭を撫でられると、サヘルは身体を揺らしながらクークーと上機嫌に喉を鳴らした。

フィーデリアが目を覚ましたので、マルトがミオを呼びに行き、みんなでトランプというカードゲームをした。

ケントとミオに教わりながら、遊んでいたら、あっと言う間に夕食の時間になってしまった。

夕食の後は、ユイカさん達も加わってトランプをしたけど、ケントは途中でラインハルトのおじちゃんに呼ばれて出掛けてしまった。

ケントにしか出来ない事があって、とても大切な仕事なんだと分かっているけど、急にトランプが楽しくなくなってしまった。

明日は安息の曜日だから、少し遅くまでトランプで遊んで、みんなでお風呂に入ったけど、まだケントは帰って来ないみたい。

今夜は、ミオとフィーデリアと同じ部屋で眠ることになったのだが、なんだか目が冴えて眠れない。

ミオとフィーデリアは、ルジェクについて何やら話していたけど、内容は良く覚えていない。

二人が眠ってしまった後も、何となく眠れなくて寝返りを繰り返していたら、急に一緒に寝ていたマルトがムクっと起き上がった。

「メイサ、行くよ……」

「えぅ、行くって、どこに……?」

マルトに連れていかれたのは、お風呂場だった。

「マルト、お風呂はもう入ったよ」

「いいから、いいから……」

よく分からないけど、マルトも一緒に入るなら、もう一度入ってもいいか……と思って寝巻も下着も脱いでお風呂場に入ると、モフモフだらけだった。

「すごい、モフモフ……」

ギガウルフのゼータ、エータ、シータをコボルト隊のみんなが泡だらけになって洗い合っていた。

あたしも一緒に泡だらけになってゼータ達を洗っていると、奥から声が聞こえた。

「湯舟に入る時は、ちゃんと泡を流してからだよ」

「ケント?」

「えっ、メイサちゃん? どうしたの?」

「マルトが、行こうって……」

「そっか、湯舟に入る時には泡を流してからね」

「はぁい……」

ケントの家のお風呂は凄く大きくて、半分は壁の外にある。

屋根はあるけど、湯舟の中からお月様が見えるし、森のざわめきが聞こえて来る。

ケントの近くに行きたいけれど、何だかとっても恥ずかしい。

泡を流して、お湯に肩まで浸かりながら、そーっとケントに近付いた。

「昼寝しちゃったから、眠れなくなった?」

「うん……そうかも。ケント、どこに行ってたの?」

「シャルターン王国のコクリナって街に行って、そこからエーデリッヒのジョベートっていう街に戻って、あれこれやって帰ってきた」

「あれこれって?」

「あれこれは、あれこれ」

「むぅ……そうやって子ども扱いする」

「違うよ。これは唯香達にも話せないんだよ」

「そうなの?」

「そうなの」

「じゃあ、いい……」

お湯に浸かったままケントの横に並んだら、森から何かが吼える声が聞こえてきて、驚いて抱き付いてしまった。

「うん、オーガだね」

「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫、かなり遠くからだったし、この近くには寄って来ないよ」

「ホントに?」

「ホント、ホント、それに、もし寄って来たところで、壁を超える前に倒されちゃうよ」

ケントが事も無げに言うと、サヘルがススっと寄って来た。

「主様、斬りますか?」

「いいよ、ここにいなよ……」

「はい、そうします」

ケントに頭を撫でられて、サヘルが心地良さげに体を揺らすと、胸の膨らみがたゆんたゆんとお湯を波立たせた。

なんだか、ちょっとムッとするけど、あたしだってあと何年かすればボインボインになる……はずだ。

泡を流し終えたコボルトやゼータ達が入ってきて、たちまち大きな湯舟がギューギュー詰めになった。

みんなに押されたからで、あたしからケントに密着したわけじゃないからね。

お風呂から出たら、ケントと一緒にミルクを飲んで、ケントの部屋で寝た。

ケントの部屋にはフカフカの絨毯が敷いてあって、ネロが我が物顔で横になっていた。

ネロのお腹にケントと並んで寄り掛かると、マルト達や、ゼータ達も寄ってきた。

掛け布団は、ネロの尻尾だ。

ケントがいて、モフモフがいっぱいいて、すっごく幸せだ。

「ケント……」

「なぁに、メイサちゃん」

「……おやすみなさい」

「おやすみ」

ケントの胸に頭を預けて目を閉じる。

「……大好き」

「ん? 何か言った、メイサちゃん……寝言か」

ケントが頭を撫でたけど、寝たふりをした。

サチコには、何て報告しようかな……。