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私の婚約者が病弱な幼馴染に縋り付かれた…あれ?

作者: ぼん@ぼおやっじ

本文

最近友人からちょっと奇妙な話を聞きました。

彼女には婚約者がいて、婚約者には病弱な幼馴染の女性がいたらしいのです。

その婚約者は病弱な幼馴染を優先して、婚約者である友人のその娘をないがしろにしました。

彼女はとてもよく耐えたと思う。私だったらそんなことできない。

きっとすぐにくじけてしまう。

結局彼女の婚約は破綻してしまったのです。もちろん殿方有責です。

そんなこともあるのね…とひどく驚いたのを覚えています。

その私にも婚約者はいて、私の婚約者がある日こんなことを言いました。

「すまない実は私の幼馴染の具合が悪いのだと連絡があった。兄弟同然に育った令嬢でね、私も心を痛めているんだ」

ああ、そんな、私にまでこんな日が…

私は慄きました。きっと私は捨てられる。

今まで良好な関係を築けていたと思っていたのに…

私の脳裏を彼との楽しい思い出が走馬灯のように駆け巡りました。

ーーああ、愛しいあなた。今まで楽しい思い出をありがとう。たとえあなたに捨てられても、私は恨まない。きっと幸せになってね…

私の目に涙がたまります。

「ああ、私の愛しい人、君はなんて優しいんだ。身も知らぬ令嬢のために涙を流せるなんて。

そんな君に厚かましいお願いをしなくてはいけない」

――ああ、ついに、ついに…

「良い医者を紹介してくれないか?」

――ああ、なんて…あれ?

「あの? その幼馴染さんのところに飛んで行ったりは?」

「ん? ああ、そうだね、良い日和を見てお見舞いにはいこうと思うよ。

でも危篤というわけじゃない、慌てる必要もないさ。

それに日和って大事だよ」

「そ、そうですわね。じゃあ、お父様にお願いして良いお医者様を紹介していただきましょう」

「助かるよ、彼女の家はあまり人付き合いが得意な家ではなくてね、人並み以上に豊かではあるんだけど人脈は乏しいんだ。

だから医者の卵である僕を頼ってきたんだろう。

でも、所詮僕は卵だからね」

「そうですねー」

私の家は医学者の家系で、彼は叔父の教え子の中で将来有望な若手として注目を集めている人でした。つまり、それを頼ってということなんでしょうか?

「ありがたい、本人から手紙が来たんだけど、会いたいとか、一緒にいてほしいとか、大分心細い思いをしているようなんだよね」

「えっ、そのお手紙を見て、そばにいようとか、ずっと見守ろうとかは、お思いになりました?」

「まさか、こんな医者の卵に付き添われたって難しい病気はよくならないよ。必要なのは正しい治療さ。ちゃんとした専門の先生でないとね」

えっ、たぶん、その幼馴染さんの言いたいのはそういうことではないと思うんですけど…

「でもでも、あなたに付き添ってもらえたら私でしたらとてもうれしいんですけど…」

「! いやあ、そう言ってもらえると嬉しいなあ。

やっぱり家族ならばそうだよね。

親に付き添ってもらえれば心強いし、オホン、大切な人にいてもらえればきっと励みになるよ。

でも、ただの幼馴染なんかがいたところでたいして役には立たないさ。

幸い僕には人脈があるから、その方向で役に立ててラッキーだったよ」

あ、はい、ソウデスネ…

私の婚約者はどうやらまとも(?)な感性を持っているみたいです。

でも、たぶん遠回しな物言いとかは通じないのかもしれません。

心にとどめておきましょう。

では早速。

「わたくしが病に倒れたときは側にいてくださいね。

わたくしはあなたの伴侶になるのですから」

彼の顔がボッと赤くなりました。

秒です。秒。

「安心してくれ、僕はもっともっと勉強して、どんな病気もすぐに撃退してみせるとも」

あれー、これでも遠回しでしたかしら?

その後、家から派遣したお医者様から大した病気はない、気が弱くなっているせいだろうと診断結果が届いて、彼はお見舞いも取りやめて丁寧なお手紙を送るだけにとどめたようでした。

その後、その幼馴染さんの話を聞くことはありませんでした。

忙しい彼ですので、放置すると勉強にかまけてしまいます。

でもそういう時は遠回しはやめてはっきり言うんです。

「婚約者を大事にしなくてはいけませんよ、そろそろ会いに来て甘やかしてください」

と。

すると彼は二、三日中に予定を空けて、会いに来てくれます。

どうやら、その幼馴染さんは私たちにとってはキューピッドだったようですね。