作品タイトル不明
レベルが上がると能力は?
「墓石を出品?墓石って、ずいぶん大きいよな?土の10倍の魔力がいるのに、掘れるってことか……もしかするとプールも……その出品者か?」
志崎さんは大きさの話を気にしてるけれど重さを気にしないのかな?
「あ、もしかして、志崎さん、レベルが上がると、力って強くなるんですよね?」
雷電さんが言っていたじゃないか。
ダンジョンの中ならレベルを上げると男にだって負けないっみたいなこと。
「ああ、そうだな。ダンジョンの外でのもともとの筋力の差もあるからレベルが上がったからと、皆が同じようになるとは言えないが、少なくともダンジョンの外ではできないようなことができるようになる」
うんうんと頷いて聞く。
「っていうか、多少は動画も上がっているはずだが、見たことはないのか?」
えへっと笑ってごまかす。
勉強不足だと言われればその通りなので。
「あはは、だからか、だから、常識はずれなこと考えられるんだなぁ!」
「じょ、常識はずれって、私、おかしなことしてませんよね?」
何かしてしまっただろうか?
「あははは、そうか、無自覚かぁ。あはは、まぁいい、動画なんて見てなくたって、俺が教えてやる」
そういうと、志崎さんはあろうことかわたしをおひめさま抱っこで抱き上げる。
「ああ、水切りゴムワイパー!」
はしっと落とさないようにがしっと握る。
そして、志崎さんは5mほど跳んだ。
「ひゃーっ!」
それから、時速何キロなんだって速さで走った。
「ひえーっ」
さらに、回し蹴りで大木を倒したかと思うと、倒した木を足でけり上げ、サッカーボールのようにリフティングしながら、ダンジョンの出入り口まで運んだ。それから大木を入り口からゆっくりと押し出した。探索者管理事務所側からすると、出入口から木が生えてきたみたいな見た目なのかな……。
ダンジョンの外に大木を押し出し終わると、私を降ろしとにこりと笑った。
「ダンジョンの外だとあんな大木持てない非力な男なんだよね。さ、行こうか。その格好のままだと気持ち悪いだろ?」
はぁー、びっくりした。
力が強くなるか聞いただけなのに、まさか抱き上げられて超スピードで運ばれた上に、大木サッカーに付き合わされるとは……。
それにしても、レベルが上がれば力が強くなると言うのは本当のことのようだ。
だから、墓石の人も、土魔法で壁から墓石を掘り出して、持ち上げて運び出したってことだよね?ダンジョンの外には載せて運ぶ別の道具とか持ち込ませてもらってるのか、人海戦術で運べるように人が待機しているのか……。
待てよ?私もレベルが上がれば、力が強くなるってことだよね?
泥団子とか壁の石とか、重たくてたくさん持っていけないと思ったけれど、ダンジョンの中で運ぶのは楽になるってことだよね?
逆にダンジョンを出たとたんに持てなくなるかもしれない。これは、ちょっと考えないと。よかった気が付いて。
欲張ってたくさん泥団子を作って持って行っても、ダンジョンの外に出たとたんに重たくて持てないってなって恥をかくところだった。下手したら怪我してたよね、足の上に落としたりして。
「どうした有希?もう少しレベル上げしていくか?」
考え事をして立ち止まってしまったので志崎さんを待たせてしまっていた。
「あ、いえ、志崎さん【クリーン】」
「お、おう、ありがとう、そうだな、それも綺麗にしないとな」
志崎さんが水切りゴムワイパーに視線を向けた。
「そうでした【クリーン】あと私も……【クリーン】」
草まみれの水浸しだけれど、土汚れだけは綺麗になった。