軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スライム掃除

いざ。

「【ボコッ】」

久しぶりに唱えた。5mの穴。

穴の上にいたスライムは落ちて、穴の底から光を放っている。

5mで倒せたことにほっとする。

そりゃそうか。クイックルワイパーで抑えて程度で倒せるんだから、5mの高さから落ちたらひとたまりもないよね。

さ、次はと。周りにいるスライムたちを、水切りゴムワイパー……すでにクレイコーティングでカチカチになっていて、ゴムの弾力はない。むしろ、小さなトンボみたいなものとなっているワイパーで、ずずずと押して穴に落としていく。

ぼちゃぼちゃ穴に落ちていくスライム。

光がぽわぽわ上がってくる。

それそれ。

ぼちゃぼちゃ。

ほわほわ。

それそれ。

ぼちゃぼちゃ。

ほわほわ。

ちょうどたまった水のようにたくさんのスライムが折り重なっていたので、水切りの掃除をしているみたいな気持ちになってきた。

穴の周りのスライムがだいたい片付いたので、ふぅと息を吐き出す。

なんというか、いろんな気持ちも穴にぽいっとしたみたいで気持ちもすっきり。

癖になるわ。つい隅々まできれいにしちゃおうって気持ちになるよね。

とはいえ、すでに穴の周りのスライムはすっきり。ちょっと遠くからだと疲れそうだから、他の穴を掘って入れていった方がいいよね。

……となると、5mの穴だと逆に不便?1mだと死なない?2mならどうだろう。

ま、やってみますか?

まずは1m

「【ぽこっ】」

水たまりならぬスライムたまりに穴を掘ると、光が昇ってきた。

「あ、1mでも倒せるのかぁ……」

あとはお掃除の時間ですよ!

1mの穴なら勢いあまった落ちても死ぬことはない。

5mは落ちたら自分もやばいからね。もう掘らない。スライムにはオーバーキルだったみたいだし。

いや、ほら、5倍のダンジョンって言われたらさぁ、構えちゃうじゃない?

ん?まって、5倍?

もしかして魔物の出現量も5倍とかじゃないよね?

……2階層の蛇を思い浮かべちゃった。5倍の蛇……ぎゃー!

って、いや、うん、今は行きもしない2階層の想像してゾッとしている場合じゃない。

それそれ。ぼちゃぼちゃ。ほわほわ。

1mの穴に、周りのスライムを水切りゴムワイパーで落としていく。

水と違って、ワイパーできれいになくなるから気持ちいい。土が見えるようになる。草は生えてない。

スライムの池みたいになってたから、酸で草が解けてたのかな?うーん、こんなに増えるものなのかな?

12時間経ったらどうなるんだろう。草が生える?またスライムだまり?分からないことだらけだよね。

……馬鹿にしたような受付嬢の顔を思い出す。

本当に、普通はこんな初心者中の初心者、何も知らない探索者が来るような場所じゃないんだろうな。

どう思われたんだろう?志崎さんのファン?いや、ファンを連れてくるようなタイプじゃないよね、志崎さん。

って、そうだ、志崎さんっ!

つい楽しくなっちゃって、志崎さんのこと忘れてた……。

たぶん、もう、30分以上黙々と穴にスライム落としてたよね。

えーっと、振り返ると、志崎さんはずっと立ち尽くして難しい顔をしてこっちを見ていた。

あの顔は、怒っている?

それとも魔物を警戒している?

笑っていない志崎さんの顔がちょっと怖くて、身が縮こまった。

「えーっと、あの……」