軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新しい武器を装備した!いざ、ダンジョン!

「えっと、フローリングワイパー……」

くすっと、受付嬢がバカにしたように笑った。

「なる、ほど?」

志崎さんが首をかしげる。

もしかして、フローリングワイパーが何のことかぴんと着てないのかもしれない。掃除しなさそうだしなぁ。

「こんなものしかありませんが、どうぞ。さすがに、クァンテュープルダンジョンに丸腰ではねぇ」

バカにしたような目を向けながらも、受付の女性は、奥の部屋から水を掻き出すときに使うゴムがついた掃除道具を渡してくれた。

「ゴム……」

ゴムって酸に強いんだっけ?フローリングワイパーよりもスライムの酸に強い?

「ありがとうございます」

丁寧に頭を下げて、水切りゴムワイパーを受け取る。

「うわっ、本気でそんなものでクァンテュープルダンジョンに挑むつもりなの?」

女性が表情をゆがませる。

「心配ご無用。俺が守るから大丈夫」

さっと志崎さんが私の背を押しダンジョンへと入っていく。

ダンジョンは、見た目は日暮里西ダンジョンとそれほど変わりはない。1階層は草原だ。

違いと言えば、閑散としていることくらいだろうか。場所の違いなのか、それとも時間帯の違いなのか。

暗くはないけれど、昼間のようにまぶしいくらいの明るさもない。すごく曇った日の室内のような?

ダンジョンの中にも夜ってあるんだったっけ?

「まず謝っておく、すまない」

「何がですか?」

「いや、勢いで連れてきてしまったけれど、武器のことも失念していたし……いろいろと無理をさせているんじゃないかと」

うーん、もとはと言えば、私のためなんだよね?

「大丈夫ですよ!いいもの貸してもらいましたし!」

トンボで吹き出しスライムを穴に落としていた男性を思いだす。

ただのスライムだって、穴を掘ってそこに落としたらやっつけられるんじゃない?

なら、フローリングワイパーよりも、ずっと役に立つと思う。

「いいもの……か。まぁ、邪魔なら捨てていけばいい。とりあえず、俺のどこかに触れていてくれ。そうすれば俺が倒した魔物の経験値が有希にも入る」

そう言うと、志崎さんが歩き出した。

「あの、志崎さんの経験値が私にって、それって……」

さすがに私にもわかる。こういうの寄生とかいって、よくないとされている方法なのでは?

「あのっ、私、ちゃんと自分で経験値を貯めます!」

志崎さんが私の顔を見た。

「どうせずるしたんだろうって、淳史は絶対言うと思うんです!言い返せないんじゃ悔しいから」

ぷはっと、志崎さんが笑う。本当笑われてばっかだ。

「ま、確かになぁ!言うな、確かにあの男は言う。間違いない」

うんうんと志崎さんが頷いている。

「それじゃあ、まぁ、俺は危険から守ることに徹するよ」

危険から守る?そんなに弱弱しく見えるんだろうか?

「あ、さすがに私、3階層までは大丈夫ですよ?」

志崎さんが、苦笑いした。

「あー、このダンジョンはクァンテュープルなんだ」

「すいません、勉強不足で。どういうダンジョンなんですか?」

「クァンテュープルはフランス語で5倍という意味」

「5倍……」

嫌な予感が……。

「経験値が5倍入る」

ん?いい話だった。

「その分、魔物の殺傷能力も5倍だ」

やっぱり悪い話だ!

さーっと青ざめると志崎さんが慌てた。

「いや、動きが早くなるとかじゃないから、攻撃されなければ大丈夫だ!」

攻撃されたらやばいということじゃないですか……。

「無理なら、やめるか?」

申し訳なさそうな志崎さんの顔。

「一つ質問です。行動も一緒ですか?スライムがいるところにどつき兎は出ないという」

「うん?ああ、そうだな」

ぽんっと水切りゴムワイパーを叩いた。

「じゃあ、これがあれば大丈夫です」