軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レベルが上がりました

いつものダンジョン管理事務所に入ると、相変わらずすごい人。ダンジョンに入るために並んでいる人は、限定コラボ商品を手に入れるために開店前に並んでいる人の列よりも長い。人気ラーメン店の行列よりも長い。

「1階層の入場列はこちらです、2階層はレベルが2以上必要です。こちらにお並びください」

え?2階層も列に並ぶことになったの?

「3階層はレベル4必要となっております」

3階層へ行くにはレベル4?

レベル3の私じゃ入れないよね。2階層へ行く列はそこまで長くはない?でも、待つ時間が……。

「動員法対象者はこちらへ」

よかった、並ばななくてもいいんだ。

ほっと息を吐き出し、列の横を通り過ぎる。

「ずるくねぇ、並ばずに入れるなんてよ」

「やめとけって、35歳すぎて独身の負け犬だぞ」

「かわいそー」

「ダサい恰好だよな、あれじゃ男も寄り付かねーだろ」

くすくすと笑う声が聞こえてくる。

……はいはい。何とでも言ってください。いくら若くてもね、あっという間に時間は過ぎるのよ。列に並んでいる時間は、浪費よ、浪費。若い時間の無駄遣い。

人を見て笑っている人より、スマホ見ながらダンカリで何が高く売れるかと研究している人の方がマシよ……たぶん。

ダンジョンの入り口には職員が立っているのはこの間までと同じだ。

「レベルカードはお持ちですか?」

と、今まで聞いたことがない言葉をかけられた。

「いえ」

「それではレベル開示をお願いできますか」

言われるままに、レベルを開示する。

名前:-----

年齢:-----

レベル:4

HP:-----

MP:-----

スキル:-----

称号:-----

「レベル4ですね。ではこちらのカードをお持ちください。3階層まで進むことができます。4階層に進むにはレベル8が必要となります。レベル8になりましたらカードも更新いたしますので、お持ちください」

渡されたカードは3階層まで許可と書かれたものだ。

なるほど。1度カードを発行してもらえば、あとはレベル開示を1回ずつ階層入り口でしなくても見せるだけで進めるってことか。

ほんの数日でいろいろと仕組みが改善されているのを感じる。

1階層も2階層もひどく荒らされている。

草木の姿はほとんどなく、土もあちこち掘り返されてぼこぼこだ。

でっかいリュックに詰め込めるだけいろいろなものを詰め込んで出ていく人の姿もあれば、レベルを上げるために魔物の出現を目を凝らして待っている人の姿もある。

確か、レベル2になるのに、スライム100匹、どつき兎なら10匹とか言ってたっけ?

こんな人込みで人と取り合うようにして魔物を倒していたら、何日かかるんだろう?

魔物が狩りつくされ?ほぼ出ないのでそのまま3階層入り口まで進んだ。

「あ、山本さんこんにちは」

おなかの大きな山本さんが3階層への番をしていた。椅子が用意されて座れるようになっていた。

「ふふ、こんばんわ、佐藤さん」

「あ、そうか。ダンジョンの中はいつも昼間みたいだけれど、もう夜だ」

山本さんがにこりと笑う。

「そう、時間の感覚が分からなくなっちゃうから、何時までと決めてアラームをセットしておいた方がいいわよ。特に明日に予定がある人は気を付けないと」

「そうですね……暗くなってきたからそろそろとかないですもんね」

安物の腕時計だけれどアラーム付きだ。

時計を見ると、19時を少し過ぎたところ。21時にセットする。

家に帰って風呂にゆっくり入っても23時には寝られるだろう。ダンジョンが近くてよかった!

「佐藤さん、もう3階層に進めるようになったのね、頑張っているのね。気を付けて行ってらっしゃい」

山本さんに笑顔で送り出された。

……いや、頑張ってはないんだけどねぇ。あはは。