軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

★志崎視点(シーザー)

メッセージアプリの通知が鳴る。

【シーザー、セーフティーゾーンのやつ見たか?】

【ああ、ちょうど見ていた】

一緒に日本記録を作った探索者だ。

【あれ、使えるんじゃないか?検証しようと思ってさ、土魔法使いに声かけてるんだけど、お前も心当たりに声かけてくれよ】

【うん?お前の声かけた人間だけじゃ足りないのか?】

【プールって呼ばれたあれ、いまんとこ俺の知り合いの土魔法使いじゃ再現できねぇんだよ】

【今のところ?訓練すれば何とかなるんじゃないのか?】

【穴は掘れるんだが、魔力が足りないと。あれだけの穴を掘るなら5人は集まらないとって言われてな】

5人か。逆に言えば、5人集まればセーフティーゾーンが作れるならすごい話じゃないか?

……とはえ、あのサイズで安全だと言えるのはせいぜい何階層になるだろうか。出る魔物の種類にもよるよな。

もう少し深く、横穴も掘れれば……。どれくらい土魔法で行けるか。

【俺も気になっているんだが、その穴に落ちて死んだ魔物の経験値のことも調べておいてくれないか。魔力が足りないなら、レベルを上げてもらえばいい】

【そうか!穴を掘るだけで落ちた死んだ魔物の経験値が入るなら、20階層くらいに連れて行って穴を掘って帰ってくればいいのか!】

【そう簡単なら土魔法使いは無能どころか誰よりも優秀だよな。世界でどこもそんな話が出てこないのには何か理由があるんじゃないか?】

【あー、燃費が悪いのはあるかもしれないな。バケツ1杯くらいの穴を掘るだけで消費魔力が10だ】

【10リットルで10とすれば1立方平方メートルで1000の魔力を消費するのか?それはちょっと現実的じゃないな】

【魔力を節約する魔法の使い方があるのかもしれない。もしくは、土魔法スキルのランクによって違うのかも。シーザーは風魔法特級だろ?雷電は雷の上級。最近ろくに活動してないがお前んとこの副社長は特級火魔法だって言われてんじゃん】

【ああ、特級土魔法の人間がいれば引き込むってことか】

【まぁ、並行して土属性のレベル上げと、効率のいい魔法の研究ってとこか】

メッセージのやり取りを終え、心臓がバクバクと激しく脈を打っていることに気が付いた。

興奮が抑えられない。

一歩、進むかもしれない。

ダンジョン攻略が一歩。

特級土魔法使いが現れれば。

戦闘に役立たない、防御にも役立たないと言われていた土魔法だが。役立たない魔法なんかじゃないじゃないか。

60階層のその先に進めるかもしれない。

落ち着け。

気持ちを落ち着かせるために、深く息を吐き出し、それから再びスマホで情報収集。

もし、アタックすることになれば、かつてのメンバーが集まる。

うん?

最近ろくに活動していないと先ほど名前がでた副社長……。

活動再開?

ったく、あいつは。相変わらず軽薄だな。

「ハーレムパーティーが組みたかったけれど、今日はソロで潜るよ!」

……。もともとソロのつもりだろうに。

ダンジョン内での動画の撮影はなかなか難しい。なんといってもフィルムカメラで動画撮影なんて機材だけでもどれだけ邪魔になるか。

副社長はそんな中、ダンジョンの外での動画をこまめにとり、ダンジョン内では音声録音をしたものを編集して写真と組み合わせながら動画を作って公式に流している。

それが人気で登録者数は世界一。

1円にもならないのによくやるよと言う者もいれば、人気者になりたいと真似する人もいる。

純粋にダンジョンの内部情報が得たくて見る者もいる。

……俺はそのうちの一人だ。音声と写真があればおよその想像がつく。

「あ、そうだ、シーザー見てるぅ?」

俺の名前が出た。

「世界一、目指そう」

副社長がにこにこと手を振って動画は終わった。

「世界、一……」

深度のことだよな?

……セーフティーゾーンのことを副社長も見たのか?

ぞくぞくとする。