軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第7話 増える収入

「すっごい世界だなぁ……」

査定結果が記載された明細を眺める。

合計で一万六千八百円。ゴブリンジュエルがドロップしていないのに、この金額だ。

★★★★

ゴブリンの魔石×4

2000円

スライムの魔石×2

2400円

シルバーウルフの魔石×2

3800円

魔力結晶×10

8600円

合計:16800円

★★★★

今回は魔力結晶がかなりの稼ぎを出してくれた。

魔力結晶は電力エネルギーの源になる資源。初級階層だと掘り尽くされてあまり見かけないらしく、主に中級階層で探すのが定番なんだとか。

またまたラッキーを引いてしまった。

(すごいよなぁ)

ダンジョンという世界に惹かれるのもわかる。探索者生活二日目でこの稼ぎだ。

探索者の中には専業で活動する者も多いと聞くが……確かに夢を見てしまうな。

スキルに目覚める人間は限られている。

その選ばれた者しか手に入れられない素材に高値がつくのも、自然な流れか。

(けど、調子に乗ったらダメだな)

甘い話には必ず裏がある。

wikiでも調べたが、探索者とはとにかく危険と隣り合わせの仕事だ。

欲張った挙句、身体が不自由になって日常生活すら困難になる者がそれなりにいる。

何年も活動できるだけで凄いらしい。

スポーツ選手も現役でいられる期間は短いと聞くし、似たようなものかもしれない。

(今すぐバイトを辞めるつもりはないな)

何が起きるかわからない。収入だって不安定だ。

最低でも半年以上続けてからだ。最初だけ上手くいくパターンだってあるからな。

明細をしまい、俺はスマホでダンジョンについて調べ始める。例のワープについて少し気になっていたのだ。

(あー、ダメか)

いつでもどこでもワープできるわけではないらしい。

チェックポイントと呼ばれる場所で「ワープ」と念じないと発動しないのだとか。

一階層の場合は、入口と階段付近がチェックポイントらしい。

戦闘中にワープできたらすぐ逃げられるよなーって思ったけど、無理そうだ。残念。

「あれ?」

ふと顔を見上げると見知ったお姉さんが。

如月さんだ。今日もダンジョンに潜っていたのか?

軽く挨拶だけ交わしておこう。

「お疲れ様です」

「あら? 君は研修の……名前覚えてなかったわ、ごめんなさい」

「いいんですよ。俺は藤崎文也です」

「藤崎くんね……教えてくれてありがとう」

研修受けてた人、多いもんな。

むしろ顔を覚えてくれただけ嬉しいよ。

「今日もゴブリン退治?」

「それにスライムとシルバーウルフ……あと、魔力結晶も見つかって」

「魔力結晶が? 一階層にもまだ残ってたのねぇ」

「たまたまですよ」

やはり一階層の魔力結晶はほとんど掘り尽くされたらしい。中級階層に行けば、あの魔力結晶ももっと安定して手に入るんだろうけど……いやいや、欲張ってどうする。

「ん? シルバーウルフってことは階段も見つけたの?」

「あ、はい」

「……まだ二日目よね?」

如月さんの様子が変だ。俺の話を聞くたびに、若干引きつったような顔を浮かべ、顎に手を当ててうんうん悩み出す。

「変ですか?」

「変ねぇ……」

どうやら慎重プレイではなかったらしい。

「最初はMPも少ないから長く潜れないはずよ? 私だって新米の頃は階段までたどり着くのに一週間かかったのに」

「なーるほど……」

普通はそうなのか。

俺のスキルが強すぎた? それともモンスターとの戦いがうまくいっていただけ?

(まさか“クールダウン”のせい?)

MPが少ないということは、スキルの使用回数に制限があるはずだ。だけど俺は、クールダウンさえ経てばまたスキルが使える。

直接戦闘だと使いにくさを感じるけど、長くダンジョンに潜るという意味ではかなり強いスキルなのか?

「魔力切れとかないの? 長いこと潜ってたのでしょう?」

「今のところは。疲れはしますけど」

「MPが多いのかしら……けど、スキル使いすぎないよう気をつけてね?」

「ありがとうございます」

MPじゃないんだけどな。

「ちなみにMPが切れるとどうなるんですか?」

「頭が痛くなって身体がふらふらするのよ……あれは本当にしんどいわ」

それはしんどい。そこまで体の不調が現れるならバイトにも影響が出そうだ。

てか待てよ?

俺は“クールダウン”でMPを使わずにスキルが使える。

ということはMP切れのデメリットを気にしなくていい?

……いや、なんかデメリットはあるよな。

使い過ぎで倒れるなんて、説明文にはなかったし。気を付けよう。

「その調子だとシルバーランクなんてあっという間ね」

「簡単なんですか?」

「二階層のボスを倒せばいいから……けど、油断はできないわね」

二階層にはボスがいるのか。

どれくらい強いんだろう? せめて新しいスキルは覚えてから挑みたい。

「ランクが上がるといいんですかね?」

「そうねぇ。下の階層にはランク制限があるし……」

「ランク制限?」

「階段を降りるには一定以上の実力が必要なの。で、それをある程度視覚化させてるのがランク制度よ」

ライセンスの色はあくまで目安だったのか。

ランクが上がれば上がるほど下の階層に挑みやすくなり、より高価な素材が手に入りやすくなる。

探索者メインで活動するなら、ランクを上げるのは必須というわけだ。

「あと、ポイントも増えるわよ」

「ポイント?」

「買取や道具を買うとポイントが貯まるのよ。電子マネーにも変換できるから♪」

「はえー、便利」

そっちの方がやる気出るかも。

もらえるものはもらっとけと言うし、ランクが上がれば副業も安定する。

時間もかかるだろうけど、ダンジョンでの立ち回りにも慣れる必要があるな……

「あら、やる気満々ね」

「無理をするつもりはないですよ?」

「わかってるわよ、ふふっ♪」

やば、色々考えすぎてしまった。

(とりあえずシルバーランクを目指すか)

目標は決まった。

バイトもあるから頻繁に潜れないとして……今月中にシルバーランクまで行けたらいい方か?

さて、明日もバイトだ。

早めに帰って寝るとしよう。