軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第31話 クセのあるモンスター達

何も見えない。

懐中電灯の僅かな光の周りが俺の安全地帯。

耳をすませば水音や石の落ちる音、そしてモンスターの唸り声が聞こえてくる。

とりあえず気配だけでも感知しておくか……

「……”気配察知”」

スキルを使用すると一面に赤いモヤモヤが表示される。

ふむ、モンスターの数は四階層と変わらないな。

恐らくここにいるモンスターは暗くても行動できる手段を持っているはず。

けど、問題は俺だ。

”気配察知”が使える時間も限られてるし、懐中電灯はあまり広い範囲を照らせない。

これはボス部屋までたどり着くのにかなり苦労しそうだ。

「進むしかないか……」

赤いモヤモヤが少ない場所へと慎重に歩いていく。

「ん?」

進むこと約五分。

モヤモヤを感じた場所に来た。

いるのは二体……いくら見えないとはいえ、気配察知はまだ使える。

先にしかければ倒せるか?

「キィイイイイイイ!!」

「ショロオオオオオ……」

懐中電灯が二体のモンスターを照らし出す。

一体は幽霊のようなモンスター。

もう一体はコウモリ?

静が言っていたモンスターたちか?

超音波を発するエコーバットと、攻撃するときしかスキルが当たらないプラズマゴースト。

……めんどうな組み合わせでは?

「キィイイイイイッ!!」

「っ!!」

ダンジョン内にエコーバットの鳴き声が響き渡る。

頭が割れそうだ……耳の中に高音が入り込んだ途端、視界がぐにゃぐにゃ歪んで見える。

これが超音波?

ミミックと似たような状態異常か?

「ショロオォオオオ……」

プラズマゴーストの全身が発光し、青白い稲妻の線が俺の元へいくつも襲いかかる。

ちょっとピンチ。今の俺は超音波で方向感覚が失われている状態。

けど避けないと。

俺は何とか全身の力を振り絞って後方へバックステップする。

「いてっ!!」

転んだのと同時に、俺がいた場所に集束した稲妻が一気に落ちる。

(本当に一瞬だな……)

プラズマゴーストの稲妻に隙はない。

チャージするそぶりもなかったし、ノーモーションで放出できるんだと思う。

プラズマゴーストしかいないならスタンシールドで無理やり突っ込んで攻撃できる。

が、そのゴリ押しを妨害してくるのがエコーバット。超音波で方向感覚が狂うせいで、上手く動くことができないのだ。

おまけにすばしっこくて、暗闇に紛れると見えなくなるし。

モンスター同士の相性はバッチリ。

戦う相手としては最悪。

ボスがいるだけあって、ここのモンスターはとにかく厄介だ。

「ふぅ……」

一度深呼吸した後、耳栓を取り出して両耳にはめ込む。静から超音波を使うモンスターと聞いていたので、昨日買っておいたのだ。

同時に、既にクールダウンが完了している”気配察知”を発動する。

これでエコーバットの超音波は封じた。

「ーーーーー!!」

周囲の空気に押されるような感覚。そしてエコーバットが翼をバタバタと動かす姿が見えた。

恐らく、風系のスキルで攻撃をしかけようとしている。

「”ファイアボール”」

俺はエコーバットへ”ファイアボール”を放つ。

炎弾が一直線に飛んでいくも、素早いエコーバットにとってはかわすことなど容易い。

ひらりと身体をひねらせて回避し、エコーバットの近くを炎弾が通り過ぎるも……

「もう一発」

「キィッ!?」

そのかわした先に”ファイアボール”を発射。

素早いエコーバットも、さすがに二度目の回避行動をとる余裕はなく、エコーバットは無残に身体を燃やし尽くされた。

ビリビリィッ!!

「ショオオオオ……」

「くっ……!!」

稲妻に反応するよう盾を構えるも、電流が当たった盾越しに右腕を痺れさせた。

残りはプラズマゴースト。

弱点は攻撃時に実体化するのみ。

その隙を突けるのは僅か二〜三秒。

回避と攻撃を同時に行うにはあまりにも短い時間だ。

「少し我慢だな……」

俺は”武身強化”を身体に付与すると同時に、プラズマゴーストへと一気に距離を詰めた。

ワープナイフを手に持ち、空中を漂い続けるプラズマゴーストへ突きを放つ。

だが攻撃は当たらず、半透明の身体をすり抜けるだけ。しかし、俺はワープナイフが”すり抜けた状態”を維持し続けた。

素早く移動しようとしても、俺は動きに合わせてワープナイフをプラズマゴーストの身体へ刺し続ける。

「ショオオオオオッ……」

俺とプラズマゴーストとの距離は僅か数メートル。

プラズマゴーストは隙だらけの俺に電撃を浴びせようとしてくる。

それが狙いだった。残り一ストックの”武身強化”をワープナイフへ付与し、プラズマゴーストが電撃を放とうとした瞬間。

「せーのっ……!!」

突き刺していたナイフを一気に振り上げた。

「はぁ……はぁ……」

プラズマゴーストが実体化する瞬間に、元から突き刺していたワープナイフにスキルを付与する。

ナイフは半透明の身体に刺さったまま。つまり実体化とほぼ同時に攻撃ができる。

一瞬でも遅れていたら俺の全身がビリビリしていただろう……かなりリスキーな作戦だった。

「えっと……魔石魔石……」

暗いから落ちている魔石を見つけるのも大変。

一個一個が稼ぎになるから絶対に見逃したくない。

懐中電灯を当ててキラリと光る石……あった。

「とりあえずクールダウンが上がるのを待つか」

たった一戦で全てのスキルをフル活用した。

この贅沢な使い方もクールダウンによる恩恵が大きいよなぁ。これがMPだったら詰んでると思う。

問題点としては、クールダウン中は隙だらけなことと、クールダウンを待っている間がちょっと暇になるくらいか。

レベルアップと共にクールダウン時間も短縮されているとはいえ、全ストックまで回復するとなるとそこそこ時間がかかってしまう。

「……行くか」

全てのクールダウンが完了したことを確認した後、俺は再び進み出した。

”気配察知”は戦闘でも使うから取っておいた方がいいな。最初の記憶を頼りに進んでいこう。

えーと、確かこっちが少ないはず……