軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第11話 スキルもお金も増えていく

『ボスを撃破しました。初回撃破ボーナスが付与されます』

『レベルアップしました。アクティブスキル:気配察知を獲得しました』

アナウンス音声が次々と流れる。

初回撃破ボーナスってなんだろう。特別なアイテムでもゲットできるのか?

光の粒子が消えたのを確認して近づくと、そこには拳サイズの鉱石と、派手な装飾が施された腕輪が落ちていた。

「随分とでかい素材だな」

二つとも拾い上げると、目の前にウィンドウ画面が表示される。

★★★★

【リザードマンの腕輪】

リザードマンの力が込められた腕輪

最大MPが少しだけ増える

★★★★

ほほぉ、最大MPが増えるとは。

序盤らしい便利なアイテムだ。ダンジョンではMP切れが起きやすいと如月さんも言ってたし、これを身につけるだけで多少マシに……

って待て。俺、MPないじゃん。

俺が付けたらどうなるんだ……と考えていたその時。

ピコン!

『パッシブスキル:クールダウンを所持している場合は効果がありません』

俺は効果対象外かぁ。

ならさっさと売ってしまおう。期待するだけ損した……あーあ。

「というか新しいスキル増えてんじゃん」

”気配察知”だっけ? どんなスキルなんだろう。

今のうちに確認しとくか。

ピコン!

★★★★

【気配察知】

分類:アクティブスキル

〜効果〜

・一定範囲のモンスターの場所がわかる

・クールダウン:12秒

★★★★

「短っ」

今までのスキルに比べてクールダウンが圧倒的に短い。

”武器強化”ですら十七秒なのに十二秒って。

効果が戦闘に直接影響しないからか?

けど、これは便利だな。危ない場所を意図的に避けられるし、バレないように奇襲を仕掛けることだってできる。

ゴゴゴ……

「ん?」

入ってきた後ろの扉と奥の扉が開く。

ボス部屋を越えた先、ということは……

クールダウンが完了していることを確認した後、俺はナイフを手に持ち、奥の扉へと進んだ。

「階段だ……」

恐らく三階への階段。

近くには石の端末が設置されている。

あー、進んじゃった。

半日で最後まで行くとは思ってなかった。別に急かしてないのに、進み具合が鬼のように速い。

RTAしてるわけじゃないんだぞ?

とりあえず端末にタッチしてワープポイントを登録。素材も全部取ったし、今日はここで終わろう。

(調子に乗らない……調子に乗らない……)

軽いけど怪我もした。

倒すために脳みそをフル回転させた。

でも、思ったよりもいけそう……なんて考えてしまう自分もいる。

こういう時こそ冷静にならなければ。

如月さんの講習を忘れるな……

◇◇◇

「お待たせしました。ファイアリザードマンの初討伐ということで、シルバーランクへの昇格手続きを行います。向こうの窓口までお願いします」

査定結果の用紙とお金を受け取った後、俺は案内された窓口へと向かう。

本当にシルバーランクに……トントン拍子で話が進むな。というか金額も過去一で多い気がするけど……

★★★★

ゴブリンの魔石×12

6000円

スライムの魔石×12

14400円

シルバーウルフの魔石×6

11400円

リザードマンの魔石×1

5800円

リザードマンの腕輪×1

8700円

合計:46300円

★★★★

「ひえっ」

額を見た瞬間、クラッとする感覚に襲われた。

昨日までの二日間で稼いだ金額以上。これを半日で……ボス込みとはいえケタ違いだ。

(恐ろしい世界だな……)

素人でもスキルに目覚めたら一攫千金が狙える。ダンジョンドリームとでも言うべきか。

バイトの安い時給しか知らない俺に、四万という数字が目に焼き付くのも無理はない。

定期的に稼げるとしたら……確実に金銭感覚が狂う。

宝くじで大儲けした一般人が何年か後に破産するなんて話を聞いたことがある。あれと同じだ。

「どこまで耐えられるかな……」

幸せな悩みを抱えながら、俺は案内された窓口へライセンスカードを差し出す。

大怪我をした時用にある程度確保して、後はちょっとしたご褒美に使うとして、少なくとも散財癖だけは付けたくない。

自分の意志だけで抑えるのも難しいし、安定して稼げるよう立ち回るしかないか……

「あら? 藤崎くん?」

「如月さん?」

後ろから聞き馴染みのあるお姉さんの声がした。

「それ、シルバーライセンスよね……まさか」

「倒しました」

「……」

唖然としてその場で固まる如月さん。

……怒られそう。

急いだわけでもないし最善を尽くしていたつもりだ。だけど結果的に二階層のボスへ挑んで倒しているわけであって。

なんて言い訳を頭の中で次々浮かばせていた時。

「……凄すぎるわ」

「えっ」

如月さんがさらに距離を詰めてきた。顔がものすごく近くてドキドキする。

「まだ三日目よね? なのにファイアリザードマンを倒すなんて信じられない。貴方、才能の塊よ……」

「え? あ、はぁ……ありがとうございます……」

意外と好印象?

何事もないならそれでいいけどさ。

「と、一応褒めておくけど……」

如月さんが俺の額に向けて右手を近づけたと思えば、

ビシッ

「あいてっ」

「三日目でボス戦は慌てすぎ。ソロなんだから、もう少し慎重に立ち回りなさいっ」

説教と共に軽めのデコピンを喰らわされた。

やっぱり怒っていたみたい。

「一応、慎重に立ち回っていたつもりでしたが……」

「全然。むしろハイペースすぎるくらいよ」

「そ、そうだったんですか」

「私の知り合いと似てるわねぇ……あの子はまた別格だけど」

はぁと遠くを見つめながらため息を吐く如月さん。

これでハイペース……まぁ結果だけ見たら三日でシルバーランクは早いか。

詰まることがなかったから、結果的に早く攻略できたのか?

「その傷……やっぱり強かった?」

「ですね。すばしっこくて当てるのに苦労しましたよ」

「わかるわ〜。私も駆け出しの頃、勝てなくて何度も逃げてたし」

「え? あのボス部屋って抜けられるんですか?」

「入ってきた扉をもう一回押せばいけるわよ?」

それは知らなかった。

知ってたらボス部屋から速攻で逃げ出したと思う。ダンジョンについて知らないことが多すぎるな……

「ねぇ、藤崎くん」

「はい」

「この後、一緒にご飯とかどう?」

「えっ……いきます」

迷わず手を挙げる。

如月さんとのご飯だって? シルバーランクの昇格よりも嬉しいじゃないか。

美人なお姉さんとのご飯なんて最高のご褒美……

(あれ?)

何故誘われたんだ?

如月さんとは友達というより知り合いに近い関係だし。

まぁいいか。素直に楽しむとしよう。