軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

開会式前

そんなこんなで新規メンバーを海軍式で鍛え上げてから交流祭の日がやってきた。

「えーと、俺等はどこ行けばいいんだ」

「西校は3番だね、聖ジョーンズの東西南北高は全部3番に集まってるよ」

「あれ、中央校だけ1番?」

「中央はレベル高いからね。毎年優勝候補の集まりなんだ、どこの学校でもね」

俺とクリスの問いになんでも答えてくれる良平、お前頭いいんだなぁ……。

「というかこの後開会式だけど、俺達はギアの前で突っ立ってるだけでいいのか?」

「うん、去年の優勝校……この場合団体戦なんだけど、聖ジョーンズ中央校の代表が挨拶をするからね。僕たちはそれをモニターで見るんだけど、こっちの映像も撮られてるから気を付けてね。特に幸助」

「なぜに俺。これでもお行儀はいいぞ」

最近は勉学にも精を出しているしな。

それこそ今までの遅れを取り返して、その上で予習も欠かしていない。

次の試験ではトップ10入りを目指している。

「まぁ、確かに意外よね。あんたみたいなのって腕っぷしばっかりで頭はからっきしって事多いのに」

「それじゃ軍で上に行けないだろ。それに弾道計算も勘とかでやっても全体に指示出すときに使えないから」

「それは……そうだけど」

ちなみにクリスは頭がからっきしなタイプだ。

良平はどっちも卒なくこなすけど、素のスペックの高さで大体の事をこなしてしまう事が多い。

俺はマジでその辺しっかり計算したうえで直感に近い速度で暗算するようになったタイプだからね、ランカーに繰り上がりでっていうのはそういうレベル。

元からランカーだった奴らは大体良平タイプだから、究極的にはこいつらの方がギア乗りとしてのスペックは高い。

経験の差があるだけでそのうち俺の方が先に頭打ちになるだろう。

「おや、これは万年最下位の西校さんじゃないですか。今年は随分と余裕そうで」

ふとモニターを見上げていたら声をかけられた。

金髪碧眼の男……誰だ?

「これはこれは東校の。来年は1番ドームに立てるといいですね」

先輩の一人が前に出る。

笑顔だが、非常に好戦的な表情をしている。

「いやはや、それにしても驚きました。まさか団体戦も個人戦も全部1年生に任せるとは。確かにそれなら負けても恥じることは無いですからね」

「なに、全員3年生で固めているそちらに比べたら分別と言うものがあるだけですよ。後輩に経験を積ませるのも我々の役目、なにせ私達選抜された3年生は全員軍関係の仕事に就くことが決まってますし、彼等は特務隊ですから」

「ほう? けどまだまだケツの青い子供達。さてさて、どこまで抗えるか見ものです。楽しみにしてますよ西校さん」

「こちらこそ、うちの新人相手にどこまで粘れるか期待していますよ、東校さん」

はははと笑いながら地面に唾を吐き捨てる二人。

なんだこいつら……。

「西と東はいつも仲が悪いんだ。北と南はそこまででもないんだけどね。一番仲が悪いというか、全体と敵対的なのは中央。そういう関係性があるんだよ」

「なるほど、ライバルみたいな?」

「もうちょっとギスギスしてる」

マジか。

良平の言葉に天を仰ぐ。

これ俺達が穂先にされて殴り合いに駆り出されたようなもんじゃねえか。

「というわけで期待しているぞ。西のエース雨傘幸助」

「俺ぇ!?」

「お前以外に誰がいるというのだ。うちのレベルを飛躍的に上げたのはお前以外にいないだろ」

「いや、そうは言いますが……」

「そもそも俺達が就活で上手くいったのもお前のおかげ! お前の作ったシミュレーターとスサノオのテストを繰り返し、企業のテストパイロットの一人に選ばれた! 感謝してなお借りを作ろうというのだ。頼んだぞ」

「いやその辺はどうでもいいですけど……俺達はできる範囲で暴れるだけです……よぉ?」

ヘリで運ばれてくる俺達の機体を見て声が上ずる。

ツクヨミ改にクリスと良平の専用機と思しき機体。

あと東雲と右京もそれぞれ専用機っぽいのを持ち出してきた。

見るからにスサノオと比べて装備が多彩である。

「あの……お前らこれって……」

「やるなら全力だよね」

「勝ちはもぎ取るもの、例えお遊びでもね」

「ん、最高のドローンキャリアー」

「変形機構重視ですごく動きやすい機体なんです……」

おぉう……こいつらマジでやる気だ。

本気で全員ぶちのめす算段だ。

「あぁ、機体は一度ここに置かれてお披露目。その後専用の機会に繋がれてVRで模擬戦をするんだ。基本的に死ぬことも怪我をすることも無いように最近開発された新技術をどんどん盛り込んでいくんだよ」

「じゃあ今までは……」

「生の機体で模擬戦用の武器で戦ってた」

「死人出たのは?」

「毎年何人か。けどこれで今年からは安全に殺し合いできるよって事になったよ」

安全な殺し合いとはいかに。

いや、禅問答している場合じゃねえよ。

「そのVRはどこまで、その、機体のスペックを見せられる?」

「今の所上限は知らないかな。下限は無いよ、今までのあらゆる機体のデータを読み込ませているし、数値化したら全部同じだから。ただしGは再現されるから負荷で怪我する事はあるかも程度かな。そういう意味だと限界を超えたGがかかれば命の危険もあるかも」

「あー、そういうのもあるのか。と言っても今更それを気にする面子でもないしな」

全員15Gまで耐えられるように鍛え上げたからな。

毎日のようにゲロ吐いて、筋肉や骨軋ませながら無理矢理血を脳みそまでぶち上げるスーツ着せてぶん回した。

全員ぶっ倒れるまで続けてようやくと言った所だが……この辺も機械の性能あがっているんだろうな。

じゃなけりゃこんな短期間でここまで耐性上げるのは無理だった。