作品タイトル不明
説得完了
「もう一回! 納得いかない!」
おっと、メスガキの皮もはがれて無口系ですらなくなってら。
東雲が声を張り上げて再戦を要求してきたので、5分で黙らせる。
右京も取り巻きもまとめてだ。
そりゃ見切った相手ならこんなもんだ。
「まだまだ!」
「言っておくが今のままだと何万回やっても勝てないぞ。もう見切ったし、タイムアタックにしかならねえよ」
「ぐ……」
「確かにいい動きをしている。ドローンの操作も的確で連携も悪くない。ただそこで終わりだから勿体ないな」
「……勿体ない?」
「ある意味完成しちまってるんだよ。味方が防御しつつ右京が追い込み役、東雲が飽和攻撃でとどめ、簡単に言えばこれがお前たちの戦術だ」
「……まぁ」
「それが勿体ない。例えばリフレクタードローンを使ってビームの乱反射を起こして射角をわかりにくくする、狙撃手の狙撃を曲げる、遊撃役の右京への攻撃を逸らす、他にも右京がミサイルやらフレキシブルレーザーみたいな追尾兵器を搭載するだけで厄介度は天井知らずに上がっていく」
「……それは」
「ぶっちゃけ今の東雲は固定砲台どころかトーチカ。右京は飛び回ってる蠅。どっちも落としてくださいて言ってるようなもんだ」
正直足止めてドローン使うやつと、遊撃しかできない奴なんかカモもいい所だ。
こっちのペース乱そうとするなら真っ先に叩く、足止めてるならそこに向かって守り切れないだけの物量で攻撃叩きこむ。
これだけで話は終わりだしな。
戦法として極まってくると確かに厄介なんだが、それでもゲームではプレイヤーたちが早々に見切りをつけた戦術だ。
だって十中八九死ぬから。
残りの一二にしたって生き残るかもしれんけど無傷の帰還とはならないだろうし、最悪動けなくてそのまま死ぬことになるルートだな。
「とりあえず俺の要件、交流祭に参加してもらうのは承諾してもらえるか」
手を出すと東雲東京が目配せしてから、俺の手をじっと見つめて頭を下げてきた。
「「戦い方を教えてください」」
「いいぞ。というか今のままじゃ普通に戦力外だし、連携とか考えなきゃいけなかったから特訓はやるつもりだった」
俺、クリス、良平の三人は組むことに慣れているが、その三人組ならではの連携に慣れ切っている所もあるからな。
正確には凜を加えた四人だが、あいつには極力被害がいかないように動いているから。
まぁ護衛対象に近いか?
いわゆる母艦的な存在になっているが、あいつはあいつで自衛はできるからそこが東雲との違いだな。
「まず東雲も右京も近接戦を覚えなきゃいけないな。俺がやるかクリスがやるか……いっそ2on2でやるか」
「……近接、苦手」
「私も……その、近づくのは怖くて……」
「お前らよくその口で言えたな」
近距離ドローンの攻撃と、遊撃のために羽ブレードでぶった切ってくる女の言葉じゃねえよ。
実際にやられると厄介極まりないんだが個人芸の域を出ないとはいえ、あそこまで突出した能力と度胸があれば学生相手なら十分だ。
ただ所詮は学生基準なので、正直微妙と言える。
そもそも右京に関しては最低限ギアでの戦闘法を教えないとだしな……戦闘機形態ではアホみたいに強いんだけど、ギアに変形したとたん動きが鈍る。
逆に東雲は戦闘機形態で逃げながらドローンばらまくって先方も教えるべきだが、まずはサーベルの使い方からだな。
「お前ら二人とも距離感は適切にはかれている。だから間合いにはいったらサーベル振るだけだぞ。対大型用サーベルみたいな実態剣でもない限り刃を立てる必要ないし」
「……そうは言うけど」
「その、完食の問題と言いますか……」
あぁ、確かに機体を通して伝わる【敵を切り捨てた】感触っていうのはいい気がしないのはわかる。
ぶっちゃけ俺もそんなに好きじゃないが、そこは慣れないといけない部分でもあるからな。
「じゃあ正直に、誇張抜きで、なおかつ現実的な話をしよう。このままだとお前ら軍に入る以前にどっかで死ぬぞ」
サーベルが使えない、ギア乗りとしては論外もいい所だ。
はっきり言うが軍に入るなんて夢のまた夢、どこかで運悪く出くわしたインベーダーに食われて終わりだ。
「軍の採用試験は総合得点じゃなく、各種分野での得点をそれぞれ重視する。突出したものがあったとしても最低限他もできなきゃいけないからな」
「……軍に入るつもりはない。もともと就職に有利だからエリートコース選んだだけ」
「メスガキになる女を雇う会社があればいいな」
「………………」
「あの、私も軍にはちょっと……」
「むきむきの野郎共とアマゾネスみたいな女しかいない環境じゃ即食われそうだしな右京は」
だからと言って妖艶なお姉さんのボイス聞かせてみろ。
会社の風紀乱れるぞ。
サークルクラッシャーならぬ会社クラッシャーになりかねない。
「というわけで、まずは近接戦でボコるから覚悟しろ」
「……おかしい、特訓と思えない言葉が聞こえた」
「許してぇ……」
だめです。