軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ヒロイン!

「あんたさっき何したの!?」

機体の設定を戻してから降りると金髪の別嬪さんに詰め寄られた。

えーとこの声、さっきのパイロットだよな。

名前は確か……そうだ、坂月が言っていたクリスってやつだ。

「えーと、なんか用か。クリス……なんちゃら」

「クリス・L・メイラード!」

「そうそれ」

「そんな事より! あんな戦い方普通じゃないわ! いったいどんな手品を使ったのよ!」

その叫び声に全員がこちらを見てくる。

全員の目が同様に、確かに何をしたかわからないと語っていた。

「教官には話したぞ。オープンチャンネルだったから聞こえてたはずだが、もう一度説明するならオート系全部オフにした」

バランサーやジャイロ、それ以外にも操縦である程度オートになっているシステムを切っただけだ。

「そんな事したら立ってることだってままならないわよ」

「見解の相違だな。俺達人間は高性能なバランサーとジャイロを持っているから歩ける。それがコアになってデカい機体を動かしているなら外付けの機能は不要。むしろない方が自然な動きができるってもんだ」

「それは……!」

「あぁ、言いたい事はわかる。そんな事普通思いついてもやらない。だけど普通じゃないから実行しただけだ」

「……明らかに手慣れた動きだったわよね。どこでそんな練習を」

「それは……あー、秘密だ。ほら、秘密は男を輝かせるって言うだろ」

「それを言うなら秘密は女を魅力的にするよ。まったく……常識外れもいい所だわ」

なにやらぷんすかと怒って背を向けてどこかに行こうとしたので思いついたことを言っておく。

「ギアには人間より可動域の限界ってのが広い。腕だけでもマニュアル操作ができるようになれば近接戦の実力は上がるだろうよ」

「なにそれ、アドバイスのつもり?」

「アドバイスするならこうだな。まず指先の動きからマニュアルで動かせるようにするといい。続けて手首、肘、肩の順番で練習してから上半身だ。できるだけ古い機体の方がオートのシステムも性能も低いからそっちに乗るのもありだな。足元とスラスターまで自在に動かせるようになれば文句なしだ」

ちなみに指先の動きひとつで狙撃の精度も段違いになる。

普段はオートでもいいんだが、手動操作で狙撃方法覚えると感覚が変わってくるのだ。

端的に言えば偏差射撃が凄くうまくなる。

本職のスナイパーにがちがちのリアル志向FPSやらせるのと同じ原理だな。

ついでに普通はシステムに組み込まれていないナイフ投げなんかも使えるようになるので、指先の動きひとつで戦術の幅が広がる。

肩まで動かせれば白刃取りも夢じゃない。

上半身の手動操作まで行けば体操選手のようなアクロバティックな動きもできるし、全身手動まで行けば泥臭く見えても転がって回避とかできる。

とにかく戦術の幅がめっちゃ広がるわけだ。

その代わり血反吐吐くような練習して、ついでにコックピットがゲロまみれになるような参事の末にできるようになるんだがな。

……ゲーム内はその辺ステータスでカバーできてたが、リアルになった今は知らん。

ミンチにならない事を祈るしかない。

「だいぶ目立ったね」

「坂月、聞いてたのか」

「無茶苦茶言ってるなと思いながらね。けどマニュアル操縦か……本当に、どこで覚えたのやら」

「叔父がギアのショップやってるんだよ」

「ふぅん」

嘘は言っていないが、まるで関係のない事を言う。

それだけだったのに疑うような視線を向けてくるのは……なんだろうな。

こいつの勘が良いのか、それとも俺が胡散臭いのか。

多分両方だろうな。