軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レーティングは大切

軟禁状態に内心では不服だったが、それもゲームじゃないし仕方ないと割り切っていた俺。

美味しいカレーに温かい風呂、そして用意された娯楽用品の数々に陥落した。

「軍って……いいな……」

「お客様待遇に決まってるでしょ」

「だとしてもだ。特に俺達パイロットとなればそれなりに優遇されるだろ」

最前線で切ったはったをする役割だ、それなりにメンタルケアもされるし、そのためなら多少の無理は通る。

もちろん横柄に振舞うつもりは無いし、メカニックの重要性を知っているというか、身をもって理解しているのでそこで軋轢を生むつもりはない。

そもそもパイロットという時点で特別扱いと言っていい。

例えば災害救助、基本的に軍人であれば雑魚寝が普通だというのにコックピットという個室を持っているような物だ。

ギアは人型である長所を最大限に生かし、被災地出向用機体なんてのもある。

具体的に言うなら炉を3個積んで、バックパックのように医務室となるような施設を背負い、必要になるであろう道具を腰にジョイントした完全非武装ながらにハイパワーという機体を持っている。

地震の時なんかはわかりやすいな。

道路が通れないとなった場合でもギアなら多少の時間は滞空が可能なため目的地まで飛んでいける。

余震などの際にはその場に伏せる事で車などで起こりがちな横転を避けられる。

最悪の場合機体を盾に瓦礫を受け止めてもいい。

そういう設計思想なためパワーと頑強製だけを追求した機体だ。

ただし重い機体をフルパワーでぶん回して、現地では電池として使われる役目となるので乗り手は少ない。

如何せん、ゲーム内で俺も乗ってみたがじゃじゃ馬でな……。

さすがの俺も最初はオートジャイロつけっぱなしにしてた。

最後の方は必要なくなったけど、正直な所高価なくせに鈍重で変形機構もオミットされ、俺が使いたいと思うタイプの機体とは真逆だったので見送った。

いや、本当に性能はいいんだよ。

戦闘用装備さえ用意して、足りない部分を追加パーツで補えば戦えなくもないという。

被災って自然災害だけじゃなく、戦争に巻き込まれた難民の救助とかもあるからな。

最低限の自衛ができるようになっている。

まぁゲーム内ではインベーダーに襲われるのが主だったので、そんな機体が必要とされたのは序盤のぬるい難易度時代だったけど。

そこでも死人は出ていた。

プレイヤーもNPCも関係なく。

ともあれ、そんな状況で名目さえあれば個室でゆっくりできるというだけで恵まれていると言っていい。

これがパイロットが重宝される理由の一端でもある。

……凜にもあの機体の操作覚えさせるか。

パイロット志望だけど、後方でこういう事できた方が生存率も上がりそうだ。

「しかしよくもまぁこんなに娯楽があるな」

目の前には一通り、まさに古今東西のボードゲームを集めましたというレベルだ。

なんならTRPGのルールブックとかダイスまである。

……これよく見たら装甲に使う素材だ。

使い物にならなくなったスクラップを削り出して作ったのか?

売ったらいくらになるんだ……軍の財政難をどうにかできそうな一品だぞ。

あの馬鹿みたいに高い装甲剤で作っているし、軍のマークでも1の目に刻んでおけばそれだけで高く売れるわ。

「確かに……ハノイとか実物見るの初めてだよ」

「チェスに大将棋、こっちはタロットカードよ?」

もう娯楽とか抜きに趣味人がいるのかもしれない。

「あれ、これなに?」

凜が手に取ったのはTRPGのルールブックだったが……。

「ぴえっ!」

悲鳴を上げてその場に落としそうになったのを俺がキャッチ。

あぁなるほど、これRとGで18禁くらうタイプのTRPGだ。

パラパラとめくるとヌードの女の子がゾンビ化している。

凜には刺激が強かった……というか中学生いるって言ってるのにこんなの持ってくるなよな。

というか俺達もまだ18歳になってない。

……いや、精神だけで言うなら俺は二十歳こえてるけど、実年齢はまだ16歳だ。

「良平、クリス、とりあえずこのTRPG関係の中から中学生に見せない方がいい物ピックアップして分けておこう」

「おーけー」

「私も?」

「お前は慣れてるだろ、この手の下世話な話や本」

「そりゃまあ軍人に囲まれた生活だったから……でもこれでも乙女よ?」

「戦が頭に付くタイプの乙女だろ。それにヌード程度で顔真っ赤にするようなタイプじゃないし」

「それは……まぁ、そうね」

うん、軍人に囲まれてたってことはコックピット内に張り付けられたヌード写真とか、ロッカーに貼ってあるポスターとか見慣れてるだろうからな。

日本の対インベーダー軍はその辺規律が厳しいから、結構きっちりしているらしいけど欧州とかは違うと聞く。

こう、ハリウッドにいる軍人と、そいつらの生活そのものみたいな感じ。

「いやぁ、今のはどうかと思うよ。幸助」

「男女差別反対ってだけだ。俺はフェミニストだからな、時と場所を選ばず、男女も選ばない。能力だけで選定して、敵なら誰だろうとぶち殺す。そもそも戦場ってそんなもんだろ」

「そうだけど、ここは日常だよ。そんなに気を張り続けたら壊れてしまうよ」

「境目を薄くする事も必要だと思うんだがねぇ」

スイッチの切り替え的な意味で。

自衛隊だって非常呼集とか、起床ラッパで睡眠から仕事に頭切り替えるのと同じだ。

あと農業高校なんかだと特定の曲で飛び起きるって話聞いたな。

「まぁ、心がけとしては雨傘幸助の方が好みね。私の場合日常と戦場の区別をつけない方が楽だし」

「それ、気になってたんだがフルネーム面倒だろ。呼び方は任せたいが、戦闘中は長いと厄介だ」

「そうね、じゃあ私も幸助と呼ばせてもらうわ。いいわね。良平も」

「構わねえよ。そもそも先に愛称で呼んでるのはこっちだからな」

「改めてよろしくね、クリス」

うむ、なんか予想外にエロから外れた話になったが仲は良くなったな。

凜はまだ顔真っ赤にしてフリーズしてるが、あれは放置でいいだろう。

俺は可愛い妹であろうと谷につき落とせるタイプのブラコンなのだ。