軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

初実戦だよ妹ちゃん!

「遅いわよ!」

「すまん! ポンコツのロートル機だからな!」

「活躍しないと許さないからね!」

「了解だ!」

ビームサーベルを取り出し、まだ刃は出さずに構えを取る。

こいつの銃でもそれなりのダメージを与えられるが、インベーダーってのはエネルギーに反応して襲ってくる。

つまるところギアの駆動だけでもかなりヘイト稼いでいるのに、ここに来て銃乱射溶かして熱エネルギーや運動エネルギーなんてもんを見せたら速攻で群がってくる。

ビームサーベルを展開しないのも同じ理由。

切る時だけ刃を出して最低限のエネルギーで済ませるのが正解だ。

「しかし……こりゃ圧巻だな」

「言ってる場合? まぁ最前線じゃなきゃ見られないような地獄なのは確かだけど……」

『幸助、こちら坂月。ポイントについたよ』

「よし、そのまま待機だ。群れからはぐれるような個体をメインに撃ってくれ」

表示を見ると良平が陣取ったのは南方のビルの上、近くに似たような建物があるしいい場所だ。

ただ住民の被害が心配だな、遮蔽物がない。

幸い今回の小型種は遠距離攻撃の手段を持っていない。

「クリス、良平のいる位置をポイントαと仮称。住宅街が並んでいるから近寄らせないように立ち回るぞ。避難所をポイントβ、こっちは南西だ」

「つまり東側で戦えばいいのね!」

そういうなり飛び出していったクリス、いや間違っちゃいないんだけどさ……そっちも住宅街なんだよな。

「あのおてんば……凛、クリスにマップとセンサーの情報を精査して送りつけてやってくれ。焦らなくていい、正確な情報だけを送るんだ。こっちのポンコツとあいつのカスタムじゃ性能差がありすぎるから慎重すぎるくらいでちょうどいい」

「わ、わかった!」

頑張ると眼で語る妹。

うむ、いい心がけだ。

「そんじゃ、俺等も行くぞ!」

クリスの後を追うように変形して群れに突撃。

くっそ、流石に旧式すぎて耐G性能がカスだしセンサーもマップも速度に追いついてない。

リミッター解除しているから仕方ないとはいえ……なんとも情けない機体だな!

「2時の方向! 上方20度でクリスさんが応戦!」

「よしきた」

凜のサポートを聞きながら囲まれないように隙間を縫って小型を切り捨てていく。

飛行形態でもサーベルは使えるからな。

ただしタイミングがシビアになる。

「っ! エネルギーに釣られてヘイトが向いてる!」

「クリス! ど頭カチ割ってやれ!」

「ナイスおとり!」

ざくざくと斬り捨てていくクリス、その機体が持つのは両手持ちの片刃剣。

あれなら確かにエネルギーを気にする必要は無いし、切れ味が鈍ってもその重量だけで鈍器として使えるだろう。

こっちは貧乏だからそんなもん使えないけどな!

つーかそんなの振ったら機体の腕が捥げる。

「……頃合いだな。クリス! 射撃兵装を使う!」

「了解! 存分におとりになってよね!」

「任せろ!」

隣で凜が凄い表情で震えているが大丈夫だ、死にはしない。

というか死なせはしないさ。

「はっはー! ばらまけば当たるぅ!」

「お兄ちゃん、右舷38度上昇20に敵集中! 救護所を狙おうとしてる! クリスさんはそのまま前衛で敵の数を減らしてください! 坂月さんはピン止めした敵を狙撃お願いします! 市街地に向かうルートが7!」

「あいよぉ!」

「わかったわ!」

『了解』

いやぁ、愛しの妹がめっちゃ優秀。

この子パイロットよりオペレーターか、あるいはパイロットにしてもレーダー観測機の指揮官にした方がいいんじゃね?

そんな事を考えながら救護所を狙う連中を蜂の巣にして、ついでに近くに来た奴らをなます切りにする。

「ちょっ、お兄ちゃん! ギアが悲鳴上げてる! もっと抑えて!」

「悪いがそれは無理だ! なにせ……」

「あーっ! 囲まれてる! 囲まれてるよ! これじゃ狙撃もお願いできない位置だよ!」

「まぁ見てなって」

俺を脅威と感じたか、それとも救護所を集中攻撃しようとしたのか、インベーダーが群がってきた。

その数おおよそ100、完全に包囲された形になっているが問題ない。

なにせあいつら突撃しか脳がないからな。

「吐くなよ!」

俺の言葉に口を抑えた凜がレーダーを見ようと必死になっているが、残念ながら無意味だ。

だって今アクロバット飛行もかくやという勢いで前後上下左右が毎秒何回ってレベルで入れ替わってるから。

俺がやってるのはひたすら回避しながら引き金は引きっぱなし、サーベルを敵が突撃してくる地点に置きながらの曲芸をしている。

軸になる腰だけは動かさずに、その場でぐるんぐるんと縦横無尽に回転しているのだ。

あとたまにサーベルや弾が間に合わないから蹴りも入れてる。

そして時間を稼ぐこと数十秒、攻撃の手が薄くなってきた。

理由は簡単、クリスが応援に来てくれたのである。

穴の開いた包囲網なんざ風船と同じ、あとは弾けるだけよ。

「うぅう……目が回る……あ、お兄ちゃん……援軍の到着……」

「敵味方識別信号を送信、先方の指示に従うと通達。クリスと良平にも同じ電文。それと回線チャンネル合わせろ」

「りょ、りょうかい……うぷ」

必死に昼食との再会を避けている凛だが、どうやら俺達はやり遂げたようだ。

軍の増援が来てからは早かった。

俺とクリスを目の敵にしているインベーダーを引き寄せて、それを軍が包囲。

良平が脱出路を開くように狙撃をかまして、それを軍が援護。

そんで俺とクリスが脱出すると同時に100を超える軍の機体が一斉射撃を見舞ってインベーダーは一匹残らず消滅した。

……あいつら死んだら死んだでちゃんと処理しないと腐って大変なことになるからな。

それも生魚並みに腐るの早いから困る。

皮とか骨はちょいちょい使い道あるのがまた面倒なんだが、この手の小型は使い道が少ないから消滅させる方が手っ取り早いんだよな。