軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

金勘定は大切

「でもいまだに信じられないなぁ」

「なにがだ?」

サラダを食べながら凛の言葉に耳を傾ける。

なんならずっと傾けてる。

「あのずぼらなお兄ちゃんがエリートのパイロットコースに入るなんて。しかも朝の操縦凄かったし! どこで練習したの?」

「まぁちょっとアングラなシミュレーター、とだけ答えておくよ」

命がけの修羅場を何度もくぐる羽目になったゲームだけどな。

実際貨物船でインベーダーの側を抜けろと言われた時はぶちぎれた。

ブチギレついでに貨物の兵器も持ち出して殲滅したな。

いやはや懐かしい……。

「アングラねぇ……もしかしてえっちなサイトとか見てたり?」

「無い無い。そういうのはアングラまで行かなくても転がってるし興味も無いからな」

「でも知ってはいるんだ……」

「子供の火遊び程度にはな」

実際知ってはいるけどお世話になる事は少ないな。

いや、女体に興味がないわけじゃないが男優のケツを見せられるのが不快で見る気にならないだけで。

そういう漫画にせよ男のケツやら玉が見えるのが不快でチラ見した程度だ。

あぁ、でもグラビアは結構好き。

あれはエロより肉体美って感じがするし。

「まぁお兄ちゃんも男の子だしね」

なにやら誤解が解けていないようだが、そのジト目、グッドだね。

さすが俺の妹、どんな表情も似合う。

「アングラなシミュレーターかぁ……私もそれやったらあのくらいできるようになる?」

「どうだろうな。かなり荒っぽい奴だったし、もうアンインストールしてURLもわからんから無理だけど終盤までクリアできるなら上位に行けると思うぞ」

「そっかぁ、残念」

あんな危険物やらせられるかという本心と、案外凛ならいい所まで行けるんじゃないかという期待がある。

実際贔屓目に見ても凛の空間把握能力は結構高いし、順応性も俺に負けず劣らずだ。

近接戦はわからんが射撃はそれなりに得意なんじゃないかな。

「じゃあさ、お兄ちゃんがシミュレーター作ってよ!」

「は? 俺にそんな技術があるとでも?」

「ふっふっふっ、最近のシミュレーターは凄いんだよ? 難易度調節もあるけど、それ以上に敵の配置や動きをある程度用意できるの。それに対戦形式もあるし、お兄ちゃんが考えたシミュレーターならかなり上達できると思うんだ!」

まぁ……鬼畜コース作れという意味ならできなくはない。

リンが言ってることを噛み砕けばマップは最初から用意されてるから、そこに障害物や敵を配置してどんな動きをするかを教えればある程度まともなシミュレーターとして機能するだろうという事。

あとは俺と戦闘して、実戦で腕を上げるという事か……接待プレイになるけど、徐々にランクを上げていけば凜もそれなりの腕にはなるかな?

とはいえ俺の腕を鈍らせるわけにはいかないから自己鍛錬も続けなきゃだけど。

「手加減はしてよね! あ、でもギリ勝てないくらいのところまで!」

「そこは勝てるくらいにはじゃないのか……」

「負けた方が反省点見つけやすいから!」

……俺の妹、すっげぇ努力家。

「あとはお父さんに頼んで実機乗り回す感覚を掴まないとかな」

「そういや叔父さんから機体貰えるかもって話、結局どの程度の機体になるんだろうな」

「あー、まぁそこまで高性能なのは無理だと思うよ。パーツ単位ならともかくジェネレーターとかになってくると流石に型落ちじゃない?」

「確かに。けどそのパーツは町工場とかで作ってもらってるから意外と正規品より性能良かったり?」

「無い無い。町工場のNG品を格安で買って、訳アリ品として降ろしてるらしいから」

それいいのかな……車検通らない改造車のパーツみたいなもんじゃん。

いや、商売としては成り立つのかもしれないけどさ。

「武装は?」

「んー、武装と一口に言っても近接武器はそれほどの進歩は無いからね。お兄ちゃんの操縦なら十分使えるのが手に入ると思うけど射撃兵装は……」

「あぁ、あれはピンキリだからな。まぁ牽制になればいいよ」

近接武装は結局「近づいてぶった切る」程度でしかない。

燃費の上下はあっても威力にそこまでの差は出てこない。

確かに一度出力を上げて小惑星くらいなら真っ二つにできるような代物が出回ったが、オーバーキルな上に燃費最悪で誰も使わなくなったのがあったはずだ。

最終的に戦艦の翼につけてすれ違いざまに切るなんて運用も考えられたが、それでも燃費がネックになったので使われないという悲しき兵器。

一方で射撃武器に関しては遠距離戦が一番安全で安定しているという理由から日進月歩、実弾ビーム問わずその威力も燃費も向上し続けた。

本当に俺がラスボスに挑んだ時は機体以外だとそこにしか金かけなかったからなぁ。

持ち前の輸送艦やら、コレクションしてた兵器やらを売り飛ばして機体強化と射撃兵装強化に特化させた。

ボス系インベーダー相手に近接戦とか自殺行為だし……つーか下手な衛生くらいのサイズある相手で、全身から触手伸ばして攻撃してくるようなのに近接武装とかねぇ……。

いや、対人戦ならマジで役に立つんだよ。

だけどボス戦だと滅多なことじゃ使わない。

そんな微妙な立ち位置だから皆1本は持ち歩いていたけど……程度の扱いだったりする。

まぁ貧乏性の俺は愛用してたし、結果的にシールドも投げ捨ててビーム切り払えるようになったけど……その程度だとエースとかランカーとかネームドってやつらは普通にやるからね。

ランク外でできる奴も少数とはいえいたから俺が特別おかしいわけじゃない。

というか無力化できるのがビームと実弾だけでミサイルとか爆発物は無理だから結局シールド使えよって言われるし。

あれはある種の曲芸だったな。

「んー、まぁやっぱ射撃兵装はそこそこ使えれば十分だな」

「じゃあ実弾とビームどっちが良い?」

「それも場合によりけりだから難しいが……強いて言うならビームかな」

「その心は」

「弾薬費節約になる」

「貧乏性……」

いや、マジで弾薬費は馬鹿にならないから!

1発数千円だぞ!

それが毎秒何百発って吹っ飛んで行くようなマシンガン!

逆に1発云万円のレールガン!

それも数秒で数十発!

そして極めつけに一発数十万のミサイル!

使い捨てで下手したら自爆の危険もある!

ビームの方が圧倒的にお得じゃん!