軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

俺の考えた最強のゴーレム

サラーム王国第七王子、ロイド=ディ=サラーム。それが俺の名だ。

以前は冴えない貧乏魔術師だったが貴族との決闘で命を落とし、何の因果かサルーム王国の第七王子へと転生した。

第七王子という事で王位には関係ないから好きに生きろと言われた俺は、これ幸いとばかりに生前資金不足で出来なかった魔術の研究に精を出している。

最近は魔術のみならず、剣術、暗殺術、気功術、果ては魔人や天使までこの身に宿すことになったのだが……まぁ魔術の道は万里に通じるというしな。

これもまた魔術を極める為には必要な事なのである。

「――よっ、と」

空間転移術式にて辿り着いたのは、サラーム王国ロードスト領。

国の南方に位置するこの地は以前人間に化けていた魔族が支配していたが、俺がその企みを事前に潰した事で父王から貰い受けたのである。

本日はとある施設に用があって来たのだ。

煉瓦造りの高い塔の中へ入ると、分厚い本を読んでいた黒フードの巨体が俺に気づく。

「これはこれはロイド様、最近よく来られますね」

「やぁギタン。精が出るね」

柔らかい声と共に男がフードを取ると、様々な獣を合わせたような異形が姿を現す。

鳥の嘴に獣の牙、虫のような複眼……様々な生物を組み合わせたような顔を持つこの人物は、元はこの国の教皇だったギタンという者だ。

かつては教皇の身でありながら魔物と人の合成生物の研究を続けており、自身の身体すら改造するようなマッドな奴だったが、俺が浄化魔術を使ったおかげで性格は聖人のようになっている。

「こ、こんにちは! ご機嫌麗しゅう、です! ロイド様っ!」

「あぁ、楽にしていいよラミア」

遠くで何やらデータを取っていたラミアが俺に気づいて駆けてきた。

上半身は人だが下半身は蛇。

ラミアは元冒険者でギタンの手によりこのような姿となったのだ。

二人とも、今は元の身体に戻れるよう、研究を続けている。

「二人とも、研究は進んでいるかい?」

「残念ながらあまり順調とは言えません……がロイド様が支援して下さるおかげで、何とか頑張れそうです!」

「そうか。二人が元に戻れる日を楽しみにしているよ」

「はいっ! いつか必ず……」

二人が研究を成就させれば、その成果は俺に全て上がってくる。

魔物と人体に対する深い研究は、俺の魔術研究にも役立つはずだ。

合成生物を生み出す錬金術は昔少しだけ手を出していたが、生命に対するアプローチは禁忌とされていてほとんど文献がないからな。

まず研究できる人物すら貴重、というわけで俺は二人を領地を挙げて支援しているのである。

「ロイド様は心を闇に落とした私を救い上げ、愛の一撃にて正気を取り戻させてくれた大恩ある方。その上このような手厚い支援までして頂けるとは……本当にありがたいことだ。私にとっては神にも等しい存在、ロイド様の為に尽くして生きねばなりますまい。そうだ、いつかロイド様を神とした新たな宗教団体を設立しましょう。かつては教皇をしていた身、ある程度のノウハウはある。ロイド様がなると決めれば明日にでも……! おっといかんいかん。その前に研究を成就させねば。ロイド様の側近として立つためにはこの姿は問題ですからね……!」

「はぁ、元の姿に早く戻りたい……お父さん、お母さん、心配してるだろうなぁ……でも私頑張る! 冒険者に戻って一杯稼いで、楽をさせてあげるんだから! ……そうだ、ロイド様も冒険者をやっていると言ってたっけ。パーティに入れてもらえればすっごく稼げるかも……えへへへへ、そうと決まれば早く元の姿に戻れるよう頑張らなきゃ!」

二人が何やら希望に満ちた顔でブツブツ言っている。

うんうん、やる気があるのはいい事だ。

「ところでロイド様、本日はご視察でしょうか?」

「あぁそうそう、目的を忘れるところだったよ。また材料を貰いたいんだが構わないか? 金竜の鱗と魔鳥の嘴、岩石王の瞳が欲しいんだけど」

「なるほど、わかりました」

ギタンはそう言って、俺の言った物を身体に生やした。

金色に輝く鱗に鋭い嘴、輝く瞳のような鉱石。これこれ、これである。

ギタンは様々な魔物を合成した身体を持ち、部分的に特定の魔物になれるという能力を持っている。

おかげで手に入れ難いレア素材も取り放題だ。

ブチブチと身体に生やした素材をちぎり取り、俺の前へと並べるギタン。

あっという間に俺の言った量の素材が揃った。

「助かるよ」

「お安い御用でございます。しかしこれほどの量の素材を何に使うのでしょうか? 差し支えなければお聞きしたいのですが」

「あぁ、実はゴーレムを作っていてね。その材料なのさ」

――ゴーレムとは、人の手により作られる人工使い魔である。

術者の命令通りに動く人形で、錬金術の奥義の一つだ。

「なるほど、ではかなりの量が入用でしょう。使えそうなものは前もって用意しておきます」

「助かるよ」

ギタンに礼を言って塔を出ようとした時である、俺の手のひらがにょきっと口を開いた。

「しかしロイド様、今更ゴーレムなんか使ってどうするんでさ? 大抵のことは身一つでどうにもなるじゃねぇっすか」

こいつはグリモ、魔人である。

以前懲らしめて俺の使い魔とし、今は俺の手に宿っているのだ。

「愚かな魔人め、ロイド様の深慮など我々に計り知れるはずもあるまい」

今度はもう片方の手のひらが口を開ける。

こっちはジリエル。天使であり、やはり俺の使い魔である。

「誰が愚かな魔人だ、このアホ天使!」

「やるかバカ魔人!」

ちなみにあまり仲は良くない。

少しは仲良くすればいいと思うんだがなぁ。

ちなみにゴーレムを作ろうと思った理由は、俺の訓練相手にしたいからだ。

人間相手では殺さないように加減が難しいし、そこらにいる魔物では俺の相手にもならないからな。

これでは実験に限界があるので、本気で魔術を撃てる相手が欲しかったのである。

ゴーレムならば中にグリモ辺りを入れれば、俺とまともに戦うことも出来るかもしれないし、壊れてもそこまで問題にはならないだろうからな。

錬金術は俺も昔かじっていたが、ガワはともかく動力部となる核の生成は非常に難易度が高く、レア素材もかなり必要となるので満足いくものが出来なかったのである。

そこで限界を感じ、魔術に注力したんだったな。

だが今はギタンのおかげで材料集めは何とかなりそうだし、こうして再開に踏み切ったというわけだ。

ふふふ、俺だけの最強ゴーレムを使ってやるぜ。

俺はワクワクしながら材料を手に城へ空間転移するのだった。