軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラミアを連れて帰ります

「ガリレア、おーいガリレアーっ!」

しんと静まり返った邸内に俺の声が響く。

しばらく待っていると奥の扉が開きガリレアが出てきた。

「ふわぁーあ。一体何だよ全く……ってうおっ!? ロイド様じゃねぇか。どうしたんですかい、こんな夜中に。そこの女は?」

「ラミアという。魔物と合成されたみたいでな、ここで面倒見てほしい」

「こ、こんばんは……」

「魔物と合成だぁ? ……うおっ! マジだ。下半身が蛇じゃねぇか!」

飛び退くガリレアを見て、ラミアは慌てて頭を下げる。

「すみませんっ! すみませんっ! ご迷惑はけしておかけしませんので、どうかここに置いてくださいっ! 他に行く当てがないんですっ!」

何度も頭を下げるラミアに、ガリレアは手を振って返した。

「……あぁいや、驚いただけだから気にしねぇでくれ。ラミアと言ったか、あんたの面倒はちゃんと見てやるから、安心してくれ」

「ほ、本当ですかっ!?」

「おうとも、何を隠そう俺も『ノロワレ』。妙な能力を持って生まれてきたおかげで迫害されてきた。何があったかわからんが、あんたも災難だったな。この領地はそういった連中でも安心して暮らしていけるような場所を目指している。とりあえず屋敷の部屋を一室貸してやるから、生活の目途が立つまで好きなだけいりゃあいいぜ。何ならウチで家政婦として雇ってもいい。長ーいロングスカートを履けばその下半身も誤魔化せるだろうしな」

ガリレアの言葉に、ラミアは目を潤ませていく。

「あ、ありがとうございますっ! ありがとうございます……っ! 本当に……!」

「気にするな。困った時はお互い様ってやつだぜ。はっはっは」

そんかラミアの肩に手を乗せ、豪快に笑うガリレア。

うん、やはりガリレアは面倒見がいいな。任せても良さそうだ。

俺が頷いていると、ガリレアがこっそりと耳元で囁いてくる。

「……ロイド様もやりすぎだぜ。人間と魔物を合成するなんてよ」

「いや、俺が何やったんじゃないぞ」

何を勘違いしてるんだこの男は。

俺が睨むとガリレアは慌てて自分の禿頭をぺちんと叩いた。

「い、いやーははは。申し訳ねぇ。ロイド様の事だから、てっきりそうだと思っちまった! わりぃわりぃ」

「ったく、失礼な奴だな。俺が人体実験なんかやるわけがないだろう」

「……いや、俺たちで思いっきりやってたじゃねぇかよ」

ブツブツと何やらつぶやくガリレア。

「何か言ったか?」

「い、いいえ何にも! さぁラミア、疲れただろ? 部屋を案内してやるよ」

「は、はぁ……」

ガリレアはラミアを連れ、屋敷の奥へと行こうとする。

「あー、ちょっと待て」

「どうかしたんですかい?」

「ラミアにこれを渡しておこうと思ってな」

そう言って俺は鞄から大量の書類を取り出した。

「これは……?」

「あの研究所から拝借してきた。これがあればラミアが元に戻る方法もわかるかもしれないだろう?」

研究所に落ちていた書類には魔物合成の研究データが大量に文書化されていた。

これをじっくり調べれば何かわかるかもしれない。

だがラミアはそれを見て、泣きそうな顔で首を横に振る。

「無理、です……だってこんなの何を書いてるのかさっぱり……」

「何を弱気な。ラミアだって元は魔術師の端くれだろう? それに出来なきゃ一生そのままだよ」

「それは……っ!」

俺の言葉にラミアは全身をぶるりと震わせ、自分の下半身を見て目を潤ませた。

ラミアは俺との戦闘時、魔術を使っていた。つまり元は魔術師だったのだろう。

魔術師とは知の探究者。

気は弱くとも、記憶はなくとも、知識を求め究めようとするのは魔術師の本懐。

当然、ラミアだってそのはずだ。

やってやれない事はない。

「やります……!」

しばらく俯いた後、ラミアは声を震わせながら答える。

「私の事だから、私がなんとかしないと……ですよね!」

「うん、その通りだ。でも安心しなよ。俺も協力は惜しまないし、相談にも乗るからさ」

「もちろん俺もだぜ。何でも言ってくれよな。ラミア!」

俺とガリレアの言葉を受け、ラミアは勢いよく頭を下げた。

「はいっ! お願いしますっ!」

どうやら覚悟を決めたようだな。

これでラミアが合成について調べてくれれば、その過程で魔物の合成について色々わかるだろう。うん。

「そういやぁロイド様、神聖魔術についてだが分かったことがあるぜ」

帰ろうとする俺にガリレアが声をかけてくる。

「罪人相手に神聖魔術を試してみたがよ、どうやらあれは悪人の精神を浄化する効果があるようだ。不気味なくれぇいい奴になりやがったぜ」

「あー、それなら既に知っている。試したからな」

「おっと、流石はロイド様だぜ。……だがよ、こいつは知ってるかい? ごにょごにょごにょ」

ガリレアの耳打ちに、俺は目を丸くした。

「! いや、それは知らなかったな……」

「へへ、そうだろう。まぁ何に使えるかはわからねぇがよ。一応報告しておこうと思ってな」

「あぁ、これからも励んでくれ。ラミアをよろしくな」

「おう、任せてくんな!」

俺はガリレアを労うと、空間転移で城へと戻るのだった。