軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エピローグ。前編

「……さま? ロイド様っ!?」

聞き覚えのある声に目を開けると、そこは俺の部屋だった。

半身を起こした、その瞬間。

「ロイド様ぁぁぁっ!」

「むぐっ!?」

抱きついてきたシルファに再度ベッドに押し倒される。

な、なんだなんだ。一体何が起こったんだ。

「ふん、ようやく気付いたようだな」

コニー――その中のベアルが念話で話しかけてくる。

「心配しやしたぜロイド様。中々目を覚まさねぇからよ」

「えぇ、しかし良かった。ようやく元に戻れましたね」

両掌にいるグリモとジリエルもだ。

眼前では俺を押し倒し全身を押し付けてくるシルファと、それを止められなかったのかレンが申し訳なさそうにしている。

……あぁ、そうか。俺はベアルとの融合が解除され、元の身体に戻れたのか。

完全に忘れていたがその為に天界に行ってたんだっけ。神はどうやらそれを叶えてくれてくれたらしい。

「これでよかったのですかな? ロイド君」

「あぁ、助かった」

頭の中に響いた神の声に俺は頷く。

いやーあのまま元に戻れなかったら、どうなることかと思ったぞ。

やはり自分の身体はいいものだ。魔力体ってのは力がありすぎてどうも落ち着かなかったからな。

「ふーむ、それにしても惜しい。君が融合によって得ていた力はまさに神をも超えるものでしょうに。魔術好きとしても勿体なかったのではありませんか?」

「いや、全く」

断言して返す。そもそも俺は強さというものに興味がない。

確かに魔力体を自ら扱えるのは中々楽しい体験だったが、なんかフワフワしてて落ち着かなかったんだよなぁ。

大体あれは他人の身体だ。それはそれで新しい発見はあったが、やはり己の身体の方が落ち着くというものだ。

「それにあの状態が最も魔術を扱えるとは限らないだろ。魔術は奥が深い。より広く、より鮮明に理解出来る形はきっと他にもあるだろうし、それに出会う可能性を考えればあの身体に未練はないさ」

ついでに言うとグリモにジリエル、ベアルまで俺の身体に同居していたからちょっと鬱陶しかったのだ。

色んな声が聞こえてきて、うるさくて研究に集中出来ないからな。

「ってロイド様はいつも俺らの話なんか聞いてねぇじゃねぇですか」

「集中すると特に、ですね。というか我々以外の声も全く聞こえてない様子です」

「全くその通りだな。人のせいにするでないぞ」

グリモたちがブツブツ言ってるが、この身体だと声の響きも小さくて良い。

集中すれば大した問題ではないとはいえ、静かな方がいいのは間違いない。

「そうですか……そうですな。そんな君だからこそ、あの最悪の魔王にも勝てたのかもしれません。あれだけの力を持ちながらも邪な心を持たない君になら、神の座を任してもいいかと思っていましたが……きっと君は嫌がるのでしょう」

神が何やらブツブツ言い始める。

天界からだから念話が届きにくいのだろうか。

次元の壁を通すのはそれなりに大変そうだからな。魔王にも負けるくらいだし、強さ的には大したことがないのだろう。

そんなことを考えていると神は大きく咳払いをする。

「んん! ……わかりました。でしたらこれ以上は何も言いますまい。君は君の自由に生きると良いでしょう」

「言われなくてもそうするつもりだ」

何と言われようが、俺は好きなようにやらせて貰うだけである。

ふふふ、それにしても今回の遠征は本当に沢山のものが得られたぞ。

融合による魔力体から始まって、天界の様々な術式、大量の天使、魔族との戦闘、果ては初代魔王の術式まで……流石に魔力体でなければ使えない大規模なものも多いが、それはそれで工夫のし甲斐があるというものだ。

今度は魔界にも行ってみたいな。きっと楽しいに違いない。

この好奇心は何者であろうと邪魔は出来ないのだ。例え神でも魔王でもな。

「そんなことよりどうやって融合を解いたのか教えてくれ」

「ほっほっほ、それではさらばです」

「あ、おーい!」

神を呼ぶが、徐々にその気配は薄れていく。

くっ、人の話を聞かない神め。しっかり意識があれば分析できたものを……惜しいことをした。

まぁいい、きっとまた機会はあるだろうしな。今度は受けた魔術をオートで術式化する方法でも編み出しておこう。

「ロイド様っ!? しっかりなさって下さいませ!」

「わっ!」

リベンジを胸に誓っていると、突如シルファが俺の顔面を押さえつけ顔を近づけてくる。

……しまった。そういえばシルファのことを忘れてた。

「ようやく気が付いたと思えばブツブツと独り言を……あぁいけません。やはり万が一を考えるべきでした! すぐに医者の元へ連れて行かねば!」

「ちょ、ちょ、シルファ~? 俺は大丈夫だと……おーい、話を聞いてくれー」

俺の言葉には耳を貸さず、羽交い絞めにして連れ去っていくシルファ。

視線で助けを求めるもレンとコニーは諦めて、と言わんばかりに首を横に振っている。

「神も魔王も恐れぬロイド様も、このメイドには勝てないんですな……」

「シルファたんもさぞかし心配していたでしょうからね。ここは大人しく従った方がよろしいかと」

「くくっ、まぁよいではないか。今までコニーたちに任せきりにして楽しんでいたのだ。少しは相手をしてやるがいい」

くっ、グリモたちまで……味方がいないぞ。