軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

神とバトルします。前編

神の発した魔力パスを通り向かう先は、宮殿の外。

更には天界中を経由し、分厚い障壁を貫き、異様なまでに複雑な迷路を抜けていく。

「異様なまでにパスを経由してやすな。どんだけ警戒心が高えんだよ」

「神は名こそ知れ渡っていれど、天界64神ですら姿を見た者はないと言われていますからね」

「ふん、臆病な奴よ。だがついにその姿を拝めるようだな」

ようやく終わりが見えてきた。転移が終わる。

「――ここが神の住む場所か」

そこは真っ白で、ひたすらだだっ広い空間だった。

地平線の彼方まで白が続いており、果てが見えない。

天界とは少し違う感じだ。どちらかというとベアルの使う特異結界と似ているか。

「やたらと不気味な空間ですな。なんつーかこう、ザワザワしやすぜ」

「ここが神の住まう場所なのでしょうか。その割にはどこか不気味な……」

不審がるグリモとジリエルだが、俺はそれより他の違和感を感じていた。

何かを隠しているような感覚。それに空間転移をしまくったからわかりにくいが、ここは宮殿の最上階などではなくむしろ逆。天界の底の底、雲の海の遥か下だ。

「何故そんな嘘を吐いた……? 神ともあろう者がそうまでして俺たちに居場所を悟られたくなかった? もしくはただの気まぐれ? 試練気取りの可能性もあるが……ふむ、よくわからん」

考えても仕方ないし、本人に聞いた方が早いだろう。

「――なぁ、神とやら?」

空間の中央、ぽつんと浮かぶヴェールの奥に見える人影に俺は声をかける。

あそこにいるのがあらゆる魔力の出所……即ち神、その人である。

「よくぞここまで来たな。心底驚いたぞ。障壁と迷路を張り巡らせたパスを辿り、空間転移で一息とは、流石は魔王というべきか?」

俺の呟きに返ってきたのは、先刻のしわがれた声。

ヴェールは吹くはずのない風に吹かれて飛んでいき、老人が現れる。

白を基調としたローブのような衣を纏い、金と黒をあしらった冠に杖、衣類の下には金の腕輪が複数取り付けられ、それぞれ強い魔力を感じる。

だがそれらの装飾品よりも、遥かに強い魔力が枯れ木のような身体から発せられていた。

「と、とんでもねぇぜこいつはよ……見ているだけでブルっちまう魔力の奔流! 神を名乗るだけはありやすぜ……!」

「えぇ、まるで大河を思わせるような静かで、しかしとてつもない魔力の流れ。これが天界を統べる唯一神……!」

その魔力の凄まじさに恐れおののくグリモとジリエル。

俺の中のベアルも宿敵を前にピリピリしている。

「確かに今は魔王と混じっているが、俺自身はどこにでもいるただの第七王子だぞ」

「……ふん、知っておるわ。昨今地上で起きている様々な異変の中心に常に居る人物、サルーム王国第七王子、ロイド=ディ=サルームであろう。何がただの、だ。ふざけおる」

あら、どうやら俺のことを知っていたらしい。びっくりだ。

驚く俺に神は言葉を続ける。

「ロイドよ。お前の今までの行いは全て見ておった。異常なまでの魔力だけでなく、面白半分に首を突っ込む行動力、周囲へ与える甚大と言える影響力……これを魔王と言わずして何と言う?」

グリモとジリエルが白い目を向けてくる。

いやーこれでも隠していたつもりなんだがな。流石に神相手では難しかったようだ。

「知っているなら話は早い。だったら俺たちが来た理由も知ってるんだろ? この融合を解いてくれないか?」

「……ふっ、くっくっく……」

俺の頼みを聞いた神は可笑しそうに笑い始める。

「残念ながらそれは出来んな。だがまぁ、どうせ力尽くで言うことを聞かせるつもりだったのだろう?」

「俺はそうでもなかったんだけど――」

俺の中のベアルが滾っているのは否定できない。

ま、俺自身もその気がない訳ではないけどな。

「いいよ。やろうか」

俺の言葉に神は、ゆらり、と手を持ち上げた。