軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔獣狩りに誘われました

「アルベルト兄さん、たくさんの武器をありがとうございました!」

翌日、俺は礼を言うべくアルベルトの元を訪れた。

武器はシルファが荷車で運んでくれた。

俺一人でも運べると言ったのだけれど、王子がそんな事をするとは何事ですかと受け入れてはもらえなかったのである。

「早かったじゃないか、ロイド。もう終わったのかい?」

「えぇ、楽しくてつい」

食事も寝る間も惜しんでやってしまった。

ついでにシルファの剣術ごっこサボって、である。

アルベルトのお願いだと言うと、シルファも渋々引き下がった。

ちらりとシルファを見ると、まだ少し機嫌が悪そうだ。

「でもごめんなさい。武器も結構壊しちゃいました」

120本中、付与成功したのは50本。

いや、最初は80本くらい残っていたんだよ。

でもやっぱりもう少し攻めてみたくなって、魔髄液を剥がしてギリギリまで術式を何度もかけ直していたのである。

おかげで追加で30本折ってしまった。すみません。

そんな俺でも流石に魔剣にはあれ以上手を出してない。既にギリギリだったからな。

折りすぎて怒られるかも……とドキドキしていると、アルベルトは真剣な顔で剣をじっと見ている。

「120本中50本成功!? ……一流の付与術師でも成功率は1割程度だぞ。だから近衛たちには大量の武器を集めさせたのに……しかも間違えて置いてしまった魔剣にまで付与が施されている。魔剣への付与は通常とはまた異なる知識と技術が必要だ。故にそれを行える者自体がかなり少ない。にもかかわらず、ロイドはこの歳でそれをやってのけたというのか……? 全く以って信じられん。我が弟ながら何という才能。以前から大した奴だと思ってはいたが、僕の想像以上なのかもしれないな……」

俺に背を向け、何かブツブツ言っている。

なんだろう、やっぱり剣を折りすぎて怒っているのかな……

「ロイド」

「は、はい!」

思わずぴんと背筋を伸ばしてしまう。

俺の想像に反して、振り返ったアルベルトは微笑を浮かべていた。

「ありがとう。これだけ武器があれば近衛たちも喜ぶだろう。……ところで実は父上から魔獣の討伐を申し付けられているんだが、よかったらロイドも来ないか?」

「! 魔獣狩りですか」

魔獣とは、魔力を持つ巨大な獣のことだ。

とても知能が高く、人の言葉を理解するものもいる。

基本的には人に懐く事はなく、群れも作らず単独で生活しており、水路や畑を荒らしたり、時には小さな村を滅ぼす事もある厄介な獣だ。

前世で一度見たことがあるがその時は身の丈5メートルほどはある巨大な猪で、街の壁を破壊して建物を幾つも倒壊させていた。

その時は警備の兵士十人がかりで何とか追い払えたんだっけ。

ちなみに王子になって知った事だが、庶民にとっては危険な魔獣も一部の貴族たちにとっては狩りの対象である。

チャールズやアルベルトら兄王子たちから、魔獣狩りの話は何度か聞いていた。

一度行ってみたいと思ってたんだよな。

「あぁ、父上から仰せつかっていてね。明後日、近衛たちを連れて退治に行くんだよ。どうだい?」

「行くっ! 行きます!」

二つ返事で承諾する。

大っぴらに城の外へ出られるし、近衛たちが戦うなら付与魔術の効果も実際に見るいい機会だ。

それに魔獣と戦うのであれば、試したい魔術もある。

断る理由は一つもない。

「お話し中失礼します。アルベルト様、私も同行してよろしいでしょうか?」

シルファが半歩前に出て、恭しく頭を下げる。

「あぁ、君はロイドの護衛兼世話係だからね。当然、ついてくるといい」

「ありがとうございます」

そしてまた礼をして下がる。

「よし決まりだ。それでは明後日の朝、二人で僕の部屋に来るように。わかったね」

「はい!」

俺は元気よく答え、アルベルトの部屋を後にした。

上機嫌で廊下を歩く俺の後ろを、シルファは音を立てずついてくる。

「そういえばシルファは魔獣って見た事ある?」

「えぇ、何度か父の魔獣狩りについて行きました。騎士団の者たちで追い立てるのですか、すごく楽しいですよ。きっとロイド様も気にいると思いますよ」

「うん、楽しみ!」

満面の笑みを返す俺を見て、シルファはやや顔を背ける。

「初めての魔獣狩り……日々の剣術ごっこでロイド様の腕はかなりのものになりましたし、ここらで一度実戦というのも悪くはないかもしれませんね。……やはり実際に剣を使って戦ってみなければ剣術というものはわからないですから。ロイド様も剣士としての自覚を持たれる丁度いい機会ですね。それにもしかしたらロイド様の全力を見る機会もあるかもしれません。ふふっ楽しみになってきましたね……」

何をブツブツ言ってるのだろうか。

「へへっ、皆様方、ロイド様に興味津々なんですよ」

「そうかぁ?」

地味な七男坊にそこまで注目もするはずがないだろう。

まぁいいや、とにかく明後日が楽しみだ。