軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン奥深くに眠るのは

「ふぅ、これで遺産は回収出来ましたかね」

全てのお宝を仕舞い終えたノアが頷く。

多数の禁術書に禁具は見たこともないような物ばかりで、その充実ぶりには本当に驚くばかりだった。ウィリアム、グッジョブ。

持ち帰ってから内容は精査するらしいが、待ち切れない俺は既に何冊かチラ見している。

なお、その間も神竜は寝たままだった。時折俺の方をチラチラ見ていたが、多分気のせいだろう。

「よーし、それじゃあ、撤収しようぜ。ほらそこ、お宝の確認は帰ってからでいいだろが!」

「……はいはい」

こっそり読もうとしていたのがバレたようである。ちっ。

「仕方ないですね。さ、戻りましょうロイド君」

俺と同様、禁具を漁っていたコニーに引きずられ渋々皆の元へ戻ろうとした、その時である。

コニーが立ち止まる。

「……ロイド君、何か声が聞こえませんでした?」

「いや、特には聞こえなかったけど」

空耳ではないだろうか。

グリモとジリエルも首を横に振った。

しかしコニーは気になったようで、壁の方へ歩いていく。

しゃがみ込んで何やら調べていたかと思うと、突然壁面がガラガラと崩れ落ちた。

「び、びっくりした……」

目を丸くするコニー。崩れた壁の向こうには道が続いていた。

「なんだぁ? いきなり通路が現れやがったぞ!?」

「我々も知らない道ですね……一体何なのでしょうか」

どうやらノアとガゼルも知らない道のようだ。

といっても二人も知識として知ってるだけだろうし、何百年も前のダンジョンなんて何があっても不思議ではあるまい。

まるで隠すように埋められた道……怪しい。

「もちろん、行くよね?」

「う、うーん……危険はないでしょうか……」

「ここまで来たんだし、今更だぜ」

俺の言葉に戸惑うノア。その背をガゼルが励ますように叩く。

そうそう、もっとすごいお宝があるかもしれないのだ。引き返す選択肢なんてあるはずがないだろう。

「ま、僕たちの方も大した疲労はないしね」

「何があってもお守りします。ご安心をロイド様」

アルベルトとシルファの許可も得たところで、俺たちは改めて奥へと進む。

しかし思った以上に道は短く、あっという間に行き止まりとなった。

そこに置かれていたのはお宝ではなく、魔族らを封印する祠。

ただ違うのは大きさで、魔軍四天王が封印されていた石と比べても数倍はありそうだ。

「こんな所に封印が……しかもこの大きさ、尋常ではありませんね。封印というものは閉じ込める対象の強さに応じたサイズが必要となる。一体どんな化け物が封じられているのでしょう……」

「恐らく御先祖が封印したものの、俺たちには任せられないだろうと存在を隠したんだろうぜ。見ろよ、封印も半永久的に続くよう、異常なほどの魔力が込められてやがる」

封印を見上げて唸るノアとガゼル。

確かに雰囲気があるな。僅かに魔力が漏れ出ている気がするが、その質は今まで感じたことがない程だ。

「ややや、ヤバいですぜロイド様! とんでもねぇものが封印されてるに違いねぇ!」

「さささ、先程から震えが止まりません! この部屋にいるだけでも消滅してしまいそうです!」

グリモとジリエルがガクガク震えている。

よっぽどとんでもない奴が封印されているようだ。

俺にはそこまでの圧力は感じないが、魔力体である二人には辛いのだろう。

「ま、まぁ害はないなら放っておけばいいんじゃない? 用は済んだし早く戻ろうよ」

「せ、せやな。なんやここは薄寒いわ。冷え性の歌にはちと堪えるで。あはは」

レンの提案にビルギットが乗っかる。見れば皆も震えており、同感とばかりに頷いた。

ただ一人、コニーを除いて。

「……何だろう。変な感じ」

そう言ってコニーは封印の石に手を触れている。

瞬間、中から何か鼓動のようなものが聞こえた気がした。

「何が感じるのか? コニー」

「うん、よくわからないけど……何だか懐かしい、ような……」

コニーは封印が気になっているようだが、皆は既に帰ろうとしている。

仕方ない。またこっそり忍び込むなりして調べてみるかな。

そんなことを考えながら部屋を出る。その際、背後からピシと乾いた音が聞こえた気がした。

暗闇の中、三人の男女――復活した魔軍四天王たちが水晶を見つめていた。

その様子はどこか色めき立っているようだ。

「お、おい! あの封印石、もしや魔王様のものではないか!?」

「間違いないわねぇ。どこにあるのかと思っていたけど、まさかあんな所に隠されているとは思いもやらなかったわ」

「うむ、しかも器との接触により封印に亀裂が入ったようだの。魔王様の魔力は確実に器へと流れ込んでおる」

にわかに色めき立つ三者だが、しかしすぐに難しい顔をする。

「だが……あの程度の傷では魔力の流れ出る量が少なすぎる。あれでは魔王様が復活する前に器の寿命が尽きてしまうぞ」

「えぇ、下手したら私たちより弱い状態で復活してしまうかも」

「それはマズいのう。しかしあの封印は頑強過ぎて破壊は不可能、配下である我らが器に接触できれば覚醒が早まるかもしれぬが……」

重々しい口調の三人、その視線はコニーの傍に立つ少年、ロイドに注がれていた。

「……この小僧が邪魔、だな」

「ヴィルフを軽々倒すようなコだもんねぇ……私たち全員でかかっても勝てないでしょ」

「はて、そうだの。……ふぅむ」

一人がしばらく考え込んだ後、口を開いた。

「どうだろうか皆の集。ここは一つ、この翠のガンジートに任せてみては貰えぬか?」

ガンジートと名乗った男は、そう言って片目を閉じて見せた