軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第78話 交渉

私たちはランバス城に入城した。

城の中はセンプラーと比べると、結構質素な感じだった。

美術品などもほとんど置いてない。

資金が足りていないからだろうか。

「それでは皇帝陛下がお待ちになられている、謁見の間まで案内します」

早速会えるようだ。

身分がそんなに高くない者は会えない可能性もあると考えていたが、案外あっさりと会えるようだ。

謁見の間に通される。

真ん中に玉座が置いてあった。

まだ誰も座っていない。

男が一人私たちの前に出てきた。

少し長めの赤髪。顔は陰険そうな雰囲気を感じさせる。

年齢は三十代後半くらいか?

高級そうな衣服を身に纏っている。

「レング様御一行を歓迎いたします。私は宰相のシャクマ・ドリーズと申します」

綺麗にお辞儀をしてそう名乗った。

宰相ってことはかなり偉い立場の人だろう。皇帝に代わって政治を取り仕切っている人なのだろうか?

まあ、皇帝が自分で政治を行っている可能性もあるがな。

重要人物のような気がしたので、鑑定で能力を見てみた。

シャクマ・ドリーズ 28♂

・ステータス

統率 77/88

武勇 62/76

知略 87/96

政治 72/77

野心 90

・適性

歩兵 C

騎兵 B

弓兵 D

魔法兵 D

築城 D

兵器 D

水軍 C

空軍 C

計略 S

中々有能な人物だが……この野心の高さ……

確かサマフォース皇帝はまだ若いのだったな。

私より五つ年上だったはず。となると十七歳か。

八歳で跡を継いで、ずっと家臣たちの傀儡になっていたのだったな。

宰相のような重要な立場にこんな野心の高いものを置いているのは……少し皇帝が心配になって来るな。

「それでは皇帝陛下をお呼びしてまいります。少々お待ちください」

シャクマは皇帝を呼びに、謁見の間から出て行った。

しばらくして、

「皇帝陛下御入場なされます!」

と大きな声が聞こえきた。

普通の貴族は皇帝に謁見する事はほとんどないのだが、仮に謁見することになった場合の作法を一応習う。皇帝が入ってくるときはまず頭を下げて。許可が出てから頭をあげるという、極めて単純な作法だ。

この場にはシャーロットもいる。彼女にはそんな作法教えていない。

確認してみると大きなあくびをしていたので、急いで頭を下げるように指示をして、下げさせた。

私も頭を急いで下げる。

ゆっくりと足音が近づいてくる。

部屋の中に誰かが入ってくる気配を感じた。恐らく皇帝であろう。

しばらくして、

「面をあげよ」

と少しゆっくりとした口調で告げられた。

私は顔をあげる。

「朕はサマフォース帝国十二代目皇帝、シャルル・バイドラスじゃ」

玉座に割と平凡な顔をした青年が腰かけていた。

王冠をかぶり、豪華な服を着ているが、顔自体は平凡である。

いや、顔で高貴さは決まらないが皇帝だから凄いイケメンか、もしくは凄く存在感のある顔だと何となく思っていた。

仮に平凡な服を着てその辺を歩いていても、皇帝であるとは夢にも思わないだろう。

とにかく彼が皇帝か、能力は非常に気になるので鑑定を使ってみる。

シャルル・バイドラス 17歳♂

・ステータス

統率 22/54

武勇 55/65

知略 46/54

政治 34/56

野心 0

・適性

歩兵 C

騎兵 D

弓兵 D

魔法兵 D

築城 D

兵器 C

水軍 C

空軍 D

計略 D

突出したところのない能力値であった。

野心は今まで見た中で最低の0

皇帝として生まれたのに、これ以上なりようがないという事で0なのだろうか?

しかし皇帝とはいえ、ほかの州は独立の機運が高まっているから、すでに事実上最高権力者とはいえなくなっている。

再びサマフォースの完全な支配者として君臨したいと思っているのなら、野心も高くなるだろうから、単純にそこまで上を目指さない性格なのだろう。

そのあと、レングが仰々しい挨拶を行う。

「それでは早速本題に入りましょうか。皆様からのお話は皇帝陛下に代わり、私がお聞きします。と言ってもある程度のことは事前にお聞きしているのですが、改めてお聞きいたしまししょう」

皇帝ではなく、シャクマが交渉をするようだ。

レングがパラダイル州との交渉の仲立ちをしてほしいということを説明した。

「仲介の見返りとして、皇帝家は何を頂けるのでしょうか?」

「まず前金として金貨二万枚を払います。成功した暁にはもう二万枚追加で」

「二万ですか……センプラーには凄まじい資金があるようですね……」

シャクマは衝撃を受けているようだ。

「ふむ、それだけの金を貰えるのはありがたいですが、お話を受ける前にお尋ねしたいことがございます」

「何なりと」

「あなたの御父上、クラン様は戦に勝利しミーシアンを統一した後、どうなさるおつもりなのでしょうか?」

「どう……とは?」

「我々に背くつもりはないかという事です。分かり易く言えば完全に独立し、ミーシアン王国を樹立するつもりなのではないかと、私は危惧をしております」

その質問に今度はレングが動揺する。

「仮にそのつもりなら、力を貸すわけにはいきませんね」

「そ、そのようなことは……」

クランは独立するとはっきり言っていた。

この追及は的を射ている物である。

レングはそのことを知っていたのだろう。

分かり易く動揺していて非常にまずい。

「独立などあり得ませんよ。我が主クランは皇帝家に忠誠を誓っております」

助け舟を出すようにロビンソンが発言した。

「あなたは?」

「申し遅れました。私はサレマキア家の家臣の一人、ロビンソン・レンジと申します」

「ロビンソン殿。クラン殿が皇帝家に忠義心を持っているとは、真でありましょうか? 以前、皇帝家に反目しているローファイル州が攻めてきたとき、援軍を頼みましたが来ることはありませんでした。忠義心があるのでしたら、来るのが当然ではないでしょうか?」

「それはクラン様の御父上が総督をなされていた時の話ですね。前総督様は確かに反皇帝家的な考えをお持ちであったため、お断りになられたはずです。クラン様は必死で説得をしましたが、受け入れてもらえませんでした」

恐らく必死に説得したというのは嘘だろう。

これだけ言い淀まずに堂々と話せるのは、この質問が来るのを予想していたからだろうか?

それならレングに教えるような気がする。違うだろう。

つまり即興で嘘を思いついて喋っているのだろう。

「反皇帝家的な思想は、バサマークに受け継がれております。奴はミーシアンを手中に収めたあと、確実に独立する気でいるでしょう。クラン様はそれを止めるために、バサマークと戦っているのです」

「そうだったのですか……」

嘘を付いているとは全く思えないほど、堂々と発言している。

「その発言に嘘はございませんね?」

「皇帝陛下の御前で嘘など言えるわけがございません。すべて本当のことです。そうですよねレング様」

「あ……そ……そうです。今の言葉が本当です。皇帝陛下に誓って本当です」

レングは正直非常に慌てている。あれは怪しまれないのだろうか。

完全に信じたのかは分からないが、そのあと仲介は受けると言ってくれた。

しかしこれは独立したら皇帝家と完全に敵対することになるだろうな。

まあ、何も言わなくても敵対はするだろうが、こうも堂々と宣言して力を貸してもらったあとに独立したとなると、和睦が難しくなるだろう。

勝手にこんなこと言ってよかったのだろうかと思ったが、断られるのよりましだと思ったのだろうな。

「それでは、まずはパラダイル総督家に書状を出しますので、しばらく帝都でお待ちいただければと思います」

皇帝家との交渉は、少し予想外の質問をされたものの終了した。