軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第73話 息子

クランは家臣に、息子を呼びに行かせた。

しばらく経過して部屋の扉が開き、

「父上、お呼びでしょうか?」

長身の金髪の男が一人と、十歳前後の幼い赤髪の少女が部屋に入ってきた。

長身の男はクランの長男のレングと見ていいだろう。

顔がよく似ており、一目でクランの息子であると分かる。

もう一人の少女は誰だ?

可愛らしい顔であるが……

ん? よく見れば男の子が着るような服を身につけているな。

もしかすると、男の子なのだろうか?

しかし、髪も肩のあたりまで伸びているし、顔も女の子にしか見えないほど可愛らしい。

私は二人を鑑定してみる。

最初にレングと思わしき男の方を鑑定。

レング・サレマキア 二十歳♂

・ステータス

統率 44/79

武勇 50/78

知略 40/66

政治 31/91

野心 90

・適性

歩兵 C

騎兵 B

弓兵 C

魔法兵 D

築城 D

兵器 D

水軍 C

空軍 B

計略 B

予想通りレングであった。

限界値は高いのに、現在値が低い。

二十歳でこれは、怠け者なのか、大器晩成型なのか。

もう一人の子を鑑定。

テクナド・サレマキア 10歳♂

・ステータス

統率 44/61

武勇 48/65

知略 48/70

政治 33/65

野心 18

・適性

歩兵 C

騎兵 C

弓兵 C

魔法兵 C

築城 C

兵器 C

水軍 C

空軍 C

計略 C

こちらは平凡より少し上という感じのステータス。

器用貧乏という感じだろう。

そして、どうやら性別は男で間違いないようだ。

それと姓がサレマキアである。

この子もクランの息子なのだろうか?

「私の長男レングと、三男のテクナドだ。最初はレングだけのつもりだったが、テクナドも行きたいと言ったのでな。まあ、センプラー以外の場所を見ておくのもいい経験だと思い、同行を許可したのだ」

やはりクランの息子のようだ。

旅に同行するようである。

可愛い子には旅をさせよという考えなのかもしれない。

「あの父上、その二人は誰でしょうか?」

レングが尋ねる。

「旅に同行する二人だ。アルス・ローベントと、リシア・プレイドである」

私とリシアは、レング、テクナドの二人に頭を下げる。

「え? まだ子供ではないですか。子供が旅に行くのは危険ですよ。連れていくべきではないと思います」

「それは暗に僕に行くなと言ってませんか、兄上」

「そうだテクナド、お前も行くな」

「身を案じてくれるのはありがたいですが、父上の許可を貰っているので行きます」

「護衛はしっかりつけるつもりだから安全だ。だいたい剣の腕はお前はテクナドとたいして変わらんだろう」

実際現時点での武勇は、そこまで大きな差はない。

限界値は少し開いてはいるが。

「わ、私は実戦になるとその真価を発揮するタイプなのです!」

そういうレングを見て、クランはため息をつく。

まだ何とも言えないが、そのやりとりでレングに若干問題がありそうなのは、把握した。

「まあ、父上がいいと仰るのなら、無理に反対はしますまい。しかし、えーと、アイス君と、リリア君だったか」

完全に名前が間違っているので、私は「アルスです」とリシアも「リシアです」とそれぞれ訂正した。

「そ、そうだったか、アルス君とリシア君。今回の仕事は私の偉大な生涯の、最初の功績となるだろう。子供が死んだとあってはそれに水を差すことになるから、付いてくるのなら死なぬようはしゃぎすぎたりはしないようにな」

かなり尊大な態度でそう言った。

相当自己評価が高いようである。

クランは再びため息をついた後、

「今回は紹介だけだ。二人とも下がれ」

「はい」

レングとテクナドは部屋を出て行った。

「……アルスよ。レングは鑑定したか?」

「はい」

「なら分かっただろうが、あれはそんなに実力がないのにも関わらず、自分に力があると過信しており、努力も全くしておらぬのだ。私も子供を育てるすべはいまいちわからぬし……テクナドの方は真面目でいい子なのだが……」

割と本気で悩んでいるようだった。

「確かにレング様は現時点では未熟であらせられますが、高い才能はありますよ」

ほとんどの能力の限界値が70以上で、政治は90もあった。

きちんと努力さえすれば、ひとかどの人物になれるだろう。

「それは真か? 確かお主の能力は、潜在能力も測れるのであったか……」

「はい。間違いありません」

「ぬう、そうか……しかし、本人が努力をせぬことにはな……何かきっかけがあればいいのだが」

クランも子を思う時は、悩めるただの父親になるようだ。

前世でも子供がいなかった私には、共感することが残念ながら出来ないが。

「この話はここまでにしよう。そうだ。もう一つお主に言っておくことがあったのだ。例の手紙の件だ」

シャドーからの報告をクランに報せるために送った手紙だろう。

どうやら無事に届いていたようだ。

「いやはや。どこで見つけたのか知らぬが、優秀な密偵傭兵を雇って居るようであるな。恐れ入ったぞ。私も独自に情報収集をして、サイツとバサマークとのあいだで何か交渉が行われていそうだとは掴んでいたが、もう交渉が成立していたとは知らなかったぞ」

クランはすでに知っているかもと思ったが、知らなかったようだ。送っておいてよかったな。

「サイツに攻めてこられると我々の優位性がなくなる。ここは私からもサイツと交渉をしたいと思っている。味方につけるのは無理でも、敵対するのは止めさせたい」

「というと、別の交渉者を立てるのですか?」

「とにかくこちらが有利に見えるように、パラダイル州との交渉が成立してから、サイツ州とも交渉を行いたい。恐らくバサマークは戦に勝利した場合報酬を出すと言ってサイツを味方に付けているのだろう。そうなると、戦に負けた場合はいたずらに兵を失うだけでメリットがない。勝ち目が薄いと思わせるのが効果的なのだ」

「つまりパラダイル州との交渉を終わらせた後、我々にサイツにもいってほしいということでしょうか?」

「ああ、そうなる。問題あるだろうか?」

旅が長くなるが、私としては問題はない。

だが、リシアはどうだろうか?

「リシア様はどうでしょうか?」

「わたくしも問題ありませんわ」

そう返事をした。

「ならばよし。では一週間後出発となる。必要な物資があれば言ってくれ。可能な限り用意しよう」

「はい」

その後一週間、出港の日までセンプラー城で過ごすことになった。