作品タイトル不明
第338話 家臣たちに報告
翌日、リシア妊娠の話を、家臣の皆に知らせた。当日はゴタゴタして知らせ損ねたので、翌日に伝えた。
「アルス様! アルス様ぁ……」
リーツは号泣していた。
「あの小さかったアルス様に、子供とは……おめでとうございます〜……アルス様とその後お子様に、命をかけて仕え続けます」
ボロボロと泣きながらそう言ってきた。
リーツと出会い家臣にしたのは、私が三歳の頃である。
その三歳の子供が、自分の子を作ったのだから、感無量になるのも無理はない。
ただ、リーツより先にこうなっていいのかという気持ちはある。
今のところリーツにそういう話はない。縁談でもしようかと一回持ちかけたこともあったが、あまり良い顔はしなかったので、やめたことがあった。
まあ、強制することでもない。誰かと結婚するときはするだろうが。
「子供か〜。楽しみだなぁ。名前は何にするの?」
ロセルは無邪気な表情でそう尋ねてきた。
「まだ考え中だ」
「そうなんだ。どうせなら、縁起のいい名前を付けたいね」
「シャーロットとか?」
突然、話にシャーロットが割り込んできた。
「わたしの名前なら付けてもいいよ」
「なんでだ。ややこしいだろ」
「ええー、いい名前だと思ったのになぁ〜」
残念そうにするシャーロット。本気で言っていたのか?
「あ、あのおめでとうございます。子供が生まれるの楽しみにしてますね」
ムーシャはにっこりと笑みを浮かべて、お祝いの言葉を言ってくれた。
心から祝ってくれているようだ。
相変わらずかなりいい子である。
「子供か。男か女かどっちだろうな〜」
「どっちにしろ聡明な子が生まれそうであるな」
「飯はまだか……」
ちょうどカナレ城に報告に来ていたフジミヤ家の三人は感想を言っていた。
ブラッハムやザットは、長期訓練で山に行っているらしく、今はいなかった。
ほかにもヴァージはクアット郡、トーマスはプルレード郡にいたので、まだ伝えていない。
流石にいきなり全員に伝えるのは無理だからな。
おいおい、知らないものたちにも伝わっていくだろう。
「それでいつ頃、出産予定なの?」
ロセルが尋ねてきた。
「今妊娠2ヶ月くらいで、あと8ヶ月くらいらしい。あくまで予想だから、いつになるかは今の時点では分からない」
ちょっとぐらいはブレがあるだろう。
早産とかかなり危険なので、予定通り生まれてきてほしい。
「兄上、子供生まれるんだ!」
「凄い!!」
私の弟のクライツ、妹のレンがはしゃいでいた。
「兄上の子供ってことは、僕達にとっては弟か妹みたいな存在ってことだよね」
クライツがそう言った。
いや、甥か姪なんだが……
まあ、クライツとレンはまだ子供だ。
確かに弟か妹言われた方がピンとはくるだろう。
「まあ、そうかもな」
「わーい。男の子だったらいいな〜一緒に遊べるし!」
「は? 女の子がいいに決まってるでしょ! リシア姉様の子供だから、めちゃくちゃ可愛い女の子になるわよ!」
二人は子供の性別がどっちがいいかで喧嘩し始めた。
どっちが良いというのは正直ない。
この世界では男児が家を継ぐ傾向はあるが、絶対そうすべきとは決まっていない。女性が家を継いでいるところも、少ないながらある。
そういう意味では、ローベント家の存続を考えても、どっちでも良いと言えば良かった。
とにかく健康に生まれてくれさえすれば、それで良かった。
妊娠報告会はそれで終わった。出産したらそれを祝ってカナレの街を上げて祭りをしようと、リーツたちが計画をしていた。
祝ってくれるのはありがたいが、規模がデカすぎて良いのかと思ってしまう。そもそも、生まれる日がまだ分からないので、計画するのはちょっと早すぎるような気もするが。
それから一応妊娠の報告は、主君であるクランにもしておかなくては。
流石に黙っていたら怒られそうだしな。
私は書状を書いて、クラン宛に送った。
今後どうなるかは分からないが、リシアと子供ともども、健康で生まれてほしいと私は願った。