作品タイトル不明
第318話 一時休息②
何をしようか考えながら廊下を歩いていると、
「アルス様発見!! ちょっとこっち来て!」
シャーロットに声をかけられた。手を取られ強引に連れていかれる。
「な、何だ」
「良いから来て!」
説明は一切してこず、シャーロットは私を連れて行った。
「分かった。自分で歩くから腕をひくのはやめろ」
「あ、ごめんなさい」
シャーロットは素直に謝り、手を離す。
今は休養中で特にやることもない。何が目的か知らないが、付き合ってやるか。
シャーロットに着いていく。
到着したのは、シャーロットの部屋だった。
「入って〜」
促され、私はシャーロットの部屋に入った。
中にはムーシャがいた。
「アルス様!?」
ムーシャは私の姿を見て驚いていた。
私が来ることは知らされていなかったようだ。
「自分の部屋に連れてきて、何の用だ?」
「いや〜、実は最近、服を変えようと思って、色々買ってきたんだけど、どれがいいか、アルス様に確かめて欲しくて」
「服を変える? 何でまた」
「もっと魔法使いっぽい、感じにしたいなって」
「十分それっぽいぞ」
最初は奴隷だったので、ボロボロの服を着ていたシャーロットだが、今は魔法使いのような立派な服を着ている。
「もっと良いのがあると思って、いろんな服着てきたから、見てほしい〜」
「はぁ……まあ、いいけど」
ぶっちゃけ何でも良いだろと思っていたが、口には出さなかった。
「じゃあ、着替えるね〜」
そう言って、シャーロットがいきなり服を脱いだ。
豊かな胸が目の前で丸出しになる。
慌てて私は目を逸らす。
「な!? だ、駄目ですよシャーロットさん!」
「何いきなり脱いでるんだ!」
「え? 別にアルス様になら見られても平気だよ〜」
全く気にする素振りはなく、シャーロットはそう言った。
「私が気にするんだ!」
「そっか〜。じゃあ、後ろ向いてて」
シャーロットがそう言ってきたので、私は慌てて体の向きを変える。
「ムーシャも着替えてよ!」
「え!? 私もですか!?」
ムーシャは私が部屋にいるので、着替えるのに抵抗があるようだった。
「いいから〜。アルス様あっち向いてるから大丈夫だよ」
「うぅ……わ、分かりました」
抵抗はありそうだが、ムーシャは了承した。
二人が着替える音が後ろから聞こえる。
もちろん振り向いたりはしない。
私はリシア一筋。振り向きたい気持ちなど全くない……と言ったら嘘にはなるが、絶対に振り向いたりはしなかった。
「着替え終わったよ! こっち向いて!」
とシャーロットがそう言ったので、振り向くと、
「ちょ、ちょっと私はまだ着替えてますよ!?」
ムーシャはまだ着替えていた。上は着ていたが、下はまだ下着だった。白いパンツが目に飛び込んでくる。
私は慌てて、視線を逸らす。
「あ、そうだった。ごめんごめん」
「も、もう〜」
恥ずかしそうにムーシャが怒る。
「今度こそ大丈夫だよ」
しばらく待って、シャーロットがそう言った。
「本当に大丈夫なんだろうな」
「本当だって〜」
「き、着替えました」
ムーシャもそう言ったので、流石に本当に着替えたのだろう。
私は振り向いて、二人の格好を見てみる。
二人ともシンプルなワンピースを着ていた。
シャーロットは黒色、ムーシャは白のワンピースである。
見た目としては悪くない。
二人とも何だかちょっとだけ清楚に見える。
ただ、魔法使いっぽいかと言われるとそうでもない。普通の少女に見える。
「どうかな」
「わ、悪くないんじゃないか?」
「そうでしょ」
えへへ、とシャーロットは笑う。
「まあ、可愛いけど、魔法使いではないかな〜? ほかのも着てみよう」
そう言いながら、シャーロットはワンピースを脱ごうとする。
「ば、馬鹿! 脱ぐな!」
私は慌てて、後ろを向いた。
ちょっとだけパンツが見えてしまった。私はリシア一筋。先ほどの光景は頭から消さねば。
再び着替え終えたようだ。振り向く。
次に来ていたのは、ドレスである。
シャーロットは派手な明るい色のドレスで、ムーシャは落ち着いた色の地味目のドレスである。
こういう魔法使いもいなくはなさそうではある。
「どう??」
「二人とも似合っているぞ」
「そうだよねぇ」
「ほ、ほんとですか?」
当然という表情のシャーロット。ムーシャは照れて顔を赤らめていた。
「うーん、でも、これ動きにくいねぇ」
「戦場では向いてないかもですね」
魔法兵は遠距離ではあるが、行軍するときは普通に歩くし、戦になれば走るような状況に陥ることもある。
箒で空を飛べたりすれば良いのだが、生憎だがそうはいかない。
動きやすい服装の方がいいだろう。
というか、さっきから結局自分で着るかどうか決めているな。
私の意見を聞く理由はなんだ。
単に、いろんな格好を見せたいだけじゃないのか?
何着か着ていくが、あまりしっくり来るのがなさそうだった。
「最後はこれ!」
シャーロットがそう言ったので、振り向く。
「なっ!?」
二人が着ている服を見て驚く。
明らかに前までとは露出度の違う服を着ていた。
肩は丸出し、胸も半分出ている。足もほとんど出しており、股間以外の部位は露出している。
バニーガールのような服だった。うさ耳はないが、付けたらバニーガールだろう。
シャーロットは平気そうであるが、ムーシャは恥ずかしそうにしており、手で体を隠そうとしている。
「うん、この服は中々いいんじゃない? 動きやすいし。ちょっと防御力は低いかもだけど、守れるところは守れてるしね。これにしちゃおうかな」
「その服だけは駄目だ!!」
そんな服を魔法兵が来ていたら、兵たちの集中が削がれてしまう。
「えー? ……あー、でも確かに男が着たらなんかキモいかもな。魔法兵たちの衣装には出来ないかも」
「男にも着せるつもりだったのか!?」
とんでもないことをシャーロットは言う。
男がこんな服を着たら犯罪だろう。
「ううう……もう着替えていいですかぁ……?」
ムーシャは恥ずかしそうにぷるぷると震えながら言った。
「そうだねぇ。もうほかに服もないし、やっぱ今まで着てたのが、一番しっくりくるね。元の服に戻そう」
「そ、そうですね」
シャーロットはそう言って、最初に来ていた服に着替えた。
「うん、やっぱりこれが一番だね!」
「何の時間だったんだ全く」
「でも色んな服を着れて楽しかったじゃん。今度はリシア様とかとも一緒に服着たいね〜」
「そ、それは見たい……かも」
リシアがさっきのバニーっぽい服を着ている姿を想像してしまった。
かなりグッと来たぞ。
「アルス様、この服着てみる?」
「着るか!」
さっきのバニー服を持って、シャーロットがそう言ってきた。
「男が着ると気持ち悪そうだと思ったけど、アルス様なら似合うかも」
「そ、そうですね……というか、女子の格好似合うかもしれませんね」
シャーロットだけでなく、ムーシャもじっとこちらを見つめてきた。
何だか嫌な予感がしてきた。
「体型も私と同じくらいですし、着れそう……このワンピース着てみませんか?」
「え、遠慮しておく」
「そう言わないで〜」
めちゃくちゃ嫌な予感がしたので、私は急いで逃げ出した。
「あ、待って〜!」
後ろから声が聞こえてきたが、待てと言われて待つ奴はいない。
何とか逃げ切れた。