軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第175話 決断

リーツは色々考えた結果、やはり魔法を主体に戦うというのは、変えない方がいいと結論を出した。

相手は恐らく対策として、防御魔法を最初よりも重要視して使ってくるだろうから、それを打ち破るための策も考えていた。

魔法での防御は魔法攻撃にしか効果がない。

弓で術者を狙い撃って倒せば、魔法が簡単に通るようになる。

アルスの鑑定スキルの影響で、兵達は自分にあった戦い方をできるようになっているため、全体的にカナレ軍は質が良くなっている。

弓兵も例外ではなく、狙撃ができるほどの腕を持っている者が、数十名いた。

仮に防御魔法を使うという戦術で来なかった場合、普通に魔法で狙い打ちにすれば、今回も追い払えるだろうと、リーツは読んでいた。

戦の準備を素早く終えてから、数日後。

「リーツ様! 敵が攻めてきました!」

第二陣がやってきたと報告が来た。

敵の数は非常に多い。

だからといって怖気付いたりはしない。

「最初の戦いでわかっただろうが、敵は弱兵だ! 何名いても同じこと! 必ず勝てる!」

兵達が敵の多さに怯まないよう、リーツは兵達にそう声をかけた。

リーツの言葉を聞いて、敵兵の数に少し怖気づいていた兵士達は、自信を取り戻す。

自分の言葉で、兵達の士気が上がったのを確認した後、リーツは敵軍の様子を自らの目で確認する。

サイツ軍の動きは、リーツの予想とは全く違っていた。

魔法兵などをおかず、大量の兵を一気に渡河させるため、進軍させていた。

何の策もない無謀なやり方に見えるが、リーツは逆に面倒な作戦を取ってきたと思った。

敵は数で、カナレ軍を大幅に上回る。

この勢いのまま来られると、そのうち押し切られてしまうだろう。

いかにシャーロットの魔法が強くても、大型触媒機は、一度中の魔力水を使い切った後、さらに魔力水を込めるまで、時間がかかるため、連射することは出来ない。

魔法が飛びかわないタイミングは確実にあるため、その隙に、自陣に侵入を許してしまうだろう。

(しかし、そのやり方だと、敵も損害が大きくなるはず……相手は思ったより本気で、カナレ郡を攻め落とす気なのか……? もしくは、こちらを怯ませて降伏を狙っている?)

大きな犠牲を払ってまで、カナレ郡を得るメリットが、リーツには思い浮かばなかった。

(敵の勢いが衰えない場合は、撤退も考えないといけない。魔法を撃って敵兵を減らしてから、撤退すれば、こちらはそれほど損害を被ることなく、敵兵を大幅に減らすことができる)

現状数的に不利な状況だが、上手く作戦がはまれば、かなり数的不利を覆すことができる。

問題は撤退する際、大型触媒機を持ち帰れないということだ。

逃げるなら、敵に追い付かれないよう、素早く後退して再び戦闘態勢を整えるべきだが、大型触媒機は重く簡単に移動させられないので、持ち帰ろうとしたら、追い付かれてしまう。

大型触媒機は貴重な物なので、なるべく失いたくはなかったが、この際仕方ないかもしれないと思った。

どのみち、陣が破られるのなら、大型触媒機も失うことになるだろうし、結果としては変わらない。

リーツはとにかく進軍してくる、敵軍を観察し、魔法兵の射程圏内に入ったら、魔法を放つよう合図を出した。

「放て!」

リーツの合図とともに、魔法兵達が魔法を放ち始める。

シャーロットの魔法は安定して高威力で、今回も凄まじい威力を発揮した。

一方、前回は威力が高かったムーシャの魔法だが、今回は不発だった。

たまにしか成功しないと言うシャーロットの言葉は、正しかったようだ。

前回はムーシャの魔法があったので、火力がかなり高くなった。

ないとなると、当然火力の減少は避けられない。

それでもシャーロットは、いつもと同じく凄まじい威力の魔法を放っているので、相手からするとまだまだ脅威を感じるくらいの火力はあると言えるだろう。

前回と同じように屍の山が築かれていく。

しかし、敵は今度は撤退せず、果敢に前進してくる。

屍を越えて前進してくる敵兵に、今度はカナレ軍の兵士たちが恐れを抱く。

魔法兵は連射は出来ず、シャーロットが使っていた大型触媒機の中に入っていた、魔法水がどうやら切れてしまったようだ。

その隙を突くかのように、敵兵たちはどんどんと川を渡ってくる。

魔力水の入れ替えが追いつかず、ついに敵兵が川を渡るのを許してしまった。

カナレ軍側の河岸には、歩兵を並べてあり、そこで乱戦になった。

最前線にいた歩兵たちは、奮戦しているものの、次から次に敵はやってくる。

これは間違いなく破られるだろう。リーツはそう判断した。

魔力水の入れ替えが終わり、再びシャーロットの強力無比な魔法が戦場に放たれる。

現在乱戦が勃発している場所に魔法を撃ち込んでしまうと、味方に直撃してしまうので、敵兵しかいない場所に打ち込む。

連発し、敵兵を大幅に削れはしているものの、それでもやはり数が多すぎるので、敵兵の勢いは衰えない。

(これは……一時撤退するのが良さそうだ……)

このままでは、ここにいる兵たちが全滅してしまう。

殿に兵をいくらか残して、撤退するのがベストであるとリーツは判断した。

土塁や柵など、敵兵が侵攻しにくくするための仕掛けをいくつか施してあるので、殿に残す兵自体はそこまで多くなくても、撤退は十分間に合いそうであった。

深く攻め込まれると、被害が大きくなる。

一瞬でも遅れてしまうと、大きな被害を被ってしまう可能性が高いので、一秒でも早く実行に移した方がいいと思い、

「撤退する!」

リーツは即断即決して、そう叫んだ。