軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話:従魔を紹介しよう

洞窟の奥につくと、足音で目が覚めたのか、ポーラが体を起こして、こちらを見ていた。

そして、

「コトハ姉ちゃん、おかえり!」

と、嬉しそうに出迎えてくれた。

「ただいま、ポーラ。魔力切れになったって、聞いたけど、体調は大丈夫?」

「うん! なんかねー、すごい疲れたなぁーって思って、眠くなっちゃったんだけど、もう元気だよ!」

ポーラの言うように、顔色も良く、いつもの満面の笑みをこちらに向けてくれている。

それを見て、カイトはほっとしたように、頷いていた。

ポーラも食欲はちゃんとあるようなので、狩ってきたファングラヴィットの魔石や牙、カイト達の作った塩の入った容器を洞窟の奥に置いて、3人で洞窟の入り口に戻ることにする。

ついでに、デザート用の『アマジュの実』を、入れ物からいくつか取り出して持って行く。

・・・・・・そうだ、その前に、リンを紹介しないと。

また、忘れるところだった・・・

「夜ご飯の前に、2人に紹介したい子がいるんだよね・・・」

「・・・紹介したい子?」

「だーれ?」

「誰というか、・・・この子です!

『オリジンスライム』! 名前はリンよ。私の従魔になったの。仲良くしてあげてね!」

そういって、私の足下をうろうろ、―ぽよんぽよん、していたリンを抱き上げて、2人の前に出し、紹介する。

リンは、まるで「よろしく!」とでも言うかのように、体を震わせた。

2人は、リンをじーっと見つめてから、正反対の反応を見せた。

「かっわいいー!! コトハ姉ちゃん、リン、すっごくかわいい!

私は、ポーラ! よろしくね、リン!」

ポーラは、なんというか、予想通りに、リンを見てはしゃいでいる。

リンがかわいいことには、大いに賛同できる。

リンの歩く姿―いや、這っていく姿や、こちらに返事をするかのように、ぷるっん!と体を震わせる仕草は、とてもかわいい。

というか、見た目がもう、愛くるしいことこの上ない。

一方でカイトは、

「す、スライム!? スライムって危険な魔物だよ! お姉ちゃん大丈夫なの!?」

と、叫んでいた。

・・・・・・スライムが危険?

スライムって、一番弱い、初心者でも倒せるような魔物じゃなかったっけ?

というか、スライムは魔獣ではなく、魔物なのか・・・

「カイトー、スライムって危険なの?」

リンに触れようとするポーラを必死に止めているカイトに聞いてみる。

「うん。村に侵入して畑や家を溶かしたり、触ろうとすると体当たりされたり、危険な液体かけてくる危険な魔物だよ。それに、『旅をしている人が寝ている間に、食べられた』なんて話もあるよ」

「・・・・・・なるほど。でもさ、それって野生のスライムでしょ? リンは私と従魔契約してるから、襲ったりしないよ? ねー、リーンー?」

リンにそう問いかけると、リンは「もちろん!」と言わんばかりに、体を震わせた。

リンは喋ることはできないが、体の動きや視線―目は無いが視線のようなものを、感じることができるので、なんとなくだが、言いたいことを理解することができる。

従魔契約を結んでいるおかげなのだろうか・・・?

そう思っていると、

「お兄ちゃん! リンちゃんは、私たちを襲ったりしないよー!

リンちゃんもそう言ってるよ!」

と、カイトに抗議していた。

・・・・・・・・・ポーラもリンの言いたいことが分かったのか。

そんな妹の抗議に、カイトは渋々といった形で、頷き、

「・・・よ、よろしくリン」

と、怖々といった感じで挨拶をしていた。

とりあえず、顔合わせは完了だ。

♢ ♢ ♢

3人と1匹で、洞窟の入り口を出て、昨日と同じように食事の準備をする。

昨日と違うのは、塩があること。それから、コップに『水魔法』で入れた水の中に、氷が浮かんでいることだ。

ちなみに、コップに水を入れるのは、ポーラがやってくれた。

ポーラは、魔法を使えるようになったことがよほど嬉しかったのか、私がいない間にこんな魔法を使ったと、一生懸命に説明してくれた。

「ポーラは、魔法が使えるようになったことが、そんなに嬉しいんだね」

「・・・魔法が使えることっていうか、魔法が使えると、今日みたいにコトハ姉ちゃんのお手伝いできるでしょ? それが嬉しいの!」

と、こちらを見上げながら、返してくれた。

その言葉がとても嬉しかった。

♢ ♢ ♢

塩を振って焼いたファングラヴィットの肉は、とてもおいしかった。

昨日の食べた、素材そのままの味も十分においしかったが、やはり塩が有るのと無いのとでは全然違う。

余った肉は、『土魔法』で作った箱に、氷と一緒に入れて保管しておく。

この箱、二重構造になっていて、大きい箱の内側に小さい箱を収納する、マトリョーシカのような構造になっている。

大きい箱の中に、氷魔法で作った、板状の氷を入れ、その上に、肉の入った小さい箱を入れる。そうすることで、肉に直接氷を当てずに、中の肉を冷やしておくことができる。

しかも、魔法で作った氷は、どういうわけか溶ける気配がないので、氷が溶けて肉がビチャビチャに、なんていう悲しいことも起こらない。

もっとも、冷凍できる訳ではないので、保って2、3日だろう。

ちなみに、肉を直接凍らせることはできたが、肉がバキバキに割れてしまったので、採用されなかった。

リンの食事はどうしようかと迷っていたが、焼いた肉をそのまま食べた、というか吸収した。焼けた肉の置いた皿の上に覆い被さると、数回、体を震わし、皿の上から退くと、肉は無くなっていたのだ。

リンからは、「まんぞく!」とでも言うかのような感情が流れ込んできているので、よしとしておこう。

ポーラはすっかりリンを気に入ったようで、食事をした後は、ずっとリンを抱いている。

ポーラにとっては、リンは少し重たいのか、時折バランスを崩しそうになっていた。

洞窟の奥に戻ると、リンの寝床を作ることにする。

といっても、どういった寝床が喜ばれるのか分からない。とりあえず、リンの体より一回り大きいサイズの、丸形の座布団を、『土魔法』で作ってみた。

リンはその座布団に乗ると、嬉しそうに体を震わせた。喜んでくれたみたいで、よかった。

そうしてそのまま、それぞれの寝床について、眠りについた。