軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

487 メイドの装備 1

……というわけで、考えました、お付きメイドの装備を!!

まずは、ベルト、ポーチ付き。

これは既に各家で作られているし、強度さえ充分なら問題ない。ヨシ!

そして、ナイフ。

これは、ここ製のものをそれぞれの家で用意していただこう。ヨシ!

警棒。……これも、普通の木製のでいいだろう。金属製だと重いからね。

日本で『特殊警棒』と呼ばれているものがあるけれど、普通の警棒と特殊警棒の違いは、ただ伸び縮みするかどうかというだけであって、別に材質だとかその他の機能だとかによる区分じゃない。

これも、ここ製ので十分だ。いくら木製でも、樫の木とかで作られたちゃんとしたものであれば、チンピラが振り回す刃物くらいでスッパリと切断されたりはしないだろう。

あと、地球産のもので頻繁な整備や管理が必要なく、参考にしたモドキ品が作られても構わないものというと……。

私とアルシャちゃんが大好きなラジオペンチ、ニッパ、ピンセット、ソーイングセット、呼子笛、アーミーナイフ……。

うん、別に戦闘用装備ばかりというわけじゃない。お付きメイドとしての便利用品もないとね。

戦闘メイドというわけじゃなくて、 汎用メイド(・・・・・) なんだから……。

アーミーナイフは、戦闘用の武器じゃない。

ナイフの刃も付いているけれど、それは小さくて、戦闘用ではないのだ。小さな作業用だ。

他に、ハサミ、缶切り、栓抜き、ドライバー、やすり、のこぎりなど、用途に応じた様々な機能が組み込まれていて、日常生活からアウトドア、災害時まで様々な場面で役立つ、便利なヤツだ。

ナイフというより、マルチツールと呼ぶべきかな。日本じゃ、十徳ナイフとか呼ばれている。

スイス陸軍の装備品として開発されたことが起源で、スイスアーミーナイフとか、単にアーミーナイフとか呼ばれているらしいよ。

あ、初対面の時に、ボーゼス侯爵にあげたな、そういえば……。

……軍人君にあげると、喜びそうだな……。

でも、あまり何でもかんでも詰め込むと、重くなっちゃうよね。

アルシャちゃんのは、筋電義手のバッテリーが予備を含めてふたつ、そしてその他も色々とてんこ盛りだから、かなり重そうなんだよ……。

アルシャちゃんは領地から連れて来た平民のメイドだから、田舎育ちで体力があるみたいなんだけど、ここ、王都で雇われた者とか、下級貴族の娘がコネ作りと行儀見習いで上級貴族家で働いている場合とかは、そんなに体力がないよね。

だから、個人や役割によって、重装メイドと軽装メイドに分けて装備を変えるとか……。

……いや。

いやいやいやいや!

重装歩兵や重騎兵、軽騎兵とかじゃないんだから!!

メイドに兵種を持ち込んで、どうするよ……。

メイドの種別は、レディースメイド、パーラーメイド、ランドリーメイド、ナースメイドのような、仕事による区分だけで十分だよっ!

令嬢達についてきているのは、ウェイティング・メイドなのかな?

上級使用人であるレディース・メイドよりは格下で、中級使用人になるけれど、メイドの中では割と上の方だ。何しろ、職名は『メイド』だけど、職務内容は侍女なんだからね。

それから考えると、事件前は下級使用人、それもかなり底辺層のメイドだったであろうアルシャちゃんがティーテリーザちゃんのお付きになったのって、すごい大出世だったのだろうなぁ……。

入社1年の平社員が、いきなり課長に抜擢された、みたいな感じかな。

まあ、まだ義手にあまり慣れていないから、皿洗いや食器磨きとかはできないだろうし……。

いやいや、話が逸れたよ。

とにかく、護衛じゃない、ただのメイドなんだ。戦闘力皆無の普通のメイドさんが『令嬢を護れ』と言われて、自分が怪我をしたり死んだりすることなく命令されたことを遂行できてクビにならないためには、何が必要か。何が最適か。

……スプレーだよねぇ、どう考えても……。

非力な者でも使える、最強の護身アイテム。しかも、相手を殺さず、傷付けずに無力化できる。

そりゃ、現代の技術で、それを目的として作られたんだもの。それが一番に決まってるよ。

やはり、悪用防止策と定期的な交換を絶対条件として、完全な管理を行うようにして、売りっぱなしではなくレンタル制にするか……。

レンタルなら、返却されなかった場合の弁償金を馬鹿高く設定しておけば転売される心配もないし、保守管理はこっちの担当だ。

……よし、そのあたりで、いってみよ~!

* *

「……というわけで、お願い、ベアトリスちゃん!」

「う~ん、仕方ないなあ……。『ソロリティ』のメンバーやそのお付きメイドも関係しているから、私も無関係じゃないし、人の命が懸かっているからねぇ……。

本当なら、サビーネちゃんに教えてもらった、ミツハに色々と無理を通せるとかいう『ポイント』とか『我が儘通せる券』とかを要求したいトコだけど、これは『ソロリティ』絡みだから今回はただ働きでいいよ」

「おおお、さすがベアトリスちゃん! さすベア!!

……そして、サビーネちゃんめ、ベアトリスちゃんに余計なことを教えるな!!」

勿論、今はベアトリスちゃんと私のふたりだけであり、サビーネちゃんはいない。

もしサビーネちゃんがいたら、こんなことは言えない。私とサビーネちゃんとの力関係的に……。

しかし、ベアトリスちゃん、『サビーネ殿下』ではなく、『サビーネちゃん』って自然に言えるようになったね。うむうむ……。

……そう。実は、ベアトリスちゃんに工作というか情報操作というか、『女神の宣託』を告知してもらおうと思って、頼み込んでいたのだ。

あ、『宣託』というのは神様からのお告げのことで、『託宣』というのは神官や巫女が神様から賜ったお言葉を皆に告げることらしいよ。だから、ベアトリスちゃんに宣託を託宣してもらう、ってことになる。

……ややこしいなぁ……。

で、何をお願いしたかというと、勿論、『戦闘には素人であるメイドに、無茶な要求をするな!』っていう女神からの宣託があった、という託宣を出してくれ、ってことだ。

……そう、そもそもそこが間違ってるんだよ!

そりゃ、お付きメイドの安全のために、『お付きメイド自衛用タクティカルベルトセット』は用意するよ?

でも、それは根本的な解決手段じゃない。

護衛は、ちゃんとした専門家、護衛のプロに依頼するものであって、メイドさんが悲壮な覚悟で自分の命と引き換えにして護るというようなものじゃない。……決して!!

このままじゃ、メイドさん達に死傷者が出そうなんだもの。……それも、かなりの高確率で……。

だから、『女神が、それちょっとおかしいだろ、って言ってるよ』という話を広めてもらうんだよ。汎用メイドはいいけれど、護衛メイドの兼任はやめろ、って。

護衛メイド自体はいいんだけど、それはちゃんとした戦闘訓練、護衛教育を受けた者にメイドの恰好をさせなさい、ってことだ。素人に危険な真似をさせるんじゃない、ちゃんとしたプロを雇って、危険に応じた給料を払えよ、ってことだ。

……女神にそう正論を叩き付けられて、反論できるヤツはいないよね?

いや、頭を冷やして落ち着けば、貴族達もちゃんと理解できるはずだと思うんだよね、メイドに無茶なことを言ってる、って。

素人の小娘に、護衛任務が務まるわけがないじゃん……。

よし、女神からの宣託、その後暴利での護身アイテム販売、という順番でやるか。

宣託で、貴族達が戦闘メイド計画を諦めてくれれば、それで良し。

もし諦めないとか、ステータス的やファッション的な意味合いでメイドにそれっぽい恰好をさせたいだけなら、戦闘メイドではなく汎用メイドとしてのアイテムを、そこそこの価格で売ってあげよう。

ラジオペンチとか、ラジオペンチとか、ラジオペンチとかを……。

「ミツハ、本当に好きよねぇ、その、 らじおぺんち(・・・・・・) とかいうの……」

うん、ラジオペンチは、ロマンなんだよ!

何でもできる、神の道具なんだ! ふはははははは!!