軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

474 狼は狼を呼ぶ 7

「では、順に報告を!」

アデレートちゃんの指示に、こくりと頷く、みんな。

「はい、では私達のチームから……。

河原組1、餌付け完了。疑念を抱いている兆候なし、説明会への参加を確約しましたわ」

「河原組2、3も同様ですわ。問題ございませんことよ」

「スラム廃屋組1、2も問題ございません。3は現在最後の詰めの最中ですわ」

その後に続く報告も、全て完了か、完了間近との報告ばかり。

……でも、まだ安心するのは早い。

これはただ、餌付けに成功して、話を聞く気になってくれたというだけのことだ。

孤児達を説得でき、話に乗ってもらえるかどうかは、これからの私達の努力次第。

「皆さん、よく頑張ってくださいました! では、後は説明会当日まで、ひとりでも多くの参加者を得られるよう、もう一踏ん張りです!」

「「「「「「お〜〜っ!!」」」」」」

よしよし、思った以上に順調だな……。

これも、最初のティーテリーザちゃんチームの説得状況の録音を皆に聞かせて、色々と説得のやり方を検討したのが効いてるよねぇ。

そりゃ、100パーセントとは行かないけれど、かなりの孤児グループが第一回の説明会に集まってくれそうだ。

あとは、その噂を聞いた者達が第二回以降の説明会に参加してくれればいい。

説明会に来てくれて話を聞いてくれた者には食べ物を配布するから、みんな、一応最後まで話を聞いてくれるだろう。

勿論、騙したわけじゃないと証明するためと、話を真剣に聞いてもらうために、説明前にも少し渡すけれど、たくさんの食べ物を渡すのは説明が終わった後、解散する時だ。

食い逃げはさせないよ!

……そして私達の説明に納得せず、提案を受け入れてくれなかった場合は、……それは私達の説明が下手だったか、もしくは提案の内容に魅力や説得力がなかったということだ。

その時には、仕切り直して、孤児のみんなが理解し納得してくれるよう、また案の練り直しだ。

* *

「みんな、今日はよく集まってくれました!」

説明会、当日。

我が『ソロリティ』は、フルメンバーが揃っている。

孤児達にどういう説明をしたかという情報を、みんなが正確に共有する必要があるし、以後のために、孤児達にメンバーの顔を覚えさせたいからね。

勿論、全員の顔を覚えることはできないだろうけど、メンバーの雰囲気的なものを覚えてもらえれば、今後色々とやりやすくなる。

フルメンバーが揃っているから、当然、各家の護衛達もみんないる。

少し離れたところで、護衛同士で親睦会というか情報交換というか、交流を深めているみたいだ。

まあ、同業者だし、護衛対象であるお嬢様が一緒に行動している時に襲われれば共闘する戦友になるわけだから、仲良くしておくに越したことはないか。

そして河原には、大勢の孤児達が集まってくれていた。

……そう、説明会の会場は、河原にしたのだ。

建物の中だと、出入り口を塞いで孤児達を一網打尽に、とか企んでいると疑われるかもしれないからね。

河原なら、孤児達のテリトリー、ホームグラウンドだから、警戒心が少しは薄れるかも、と考えたのだ。周囲が囲まれておらず、いつでも皆一斉に全方位に逃げられるからね。

おかしなことを企むなら、わざわざそんな場所は選ばないだろうと思ってもらえるはずだ。

……それに、河原だと場所の借り賃が掛からないし、人数が増えても問題ないし……。

「じゃ、とりあえず、食べ物を配るね。

これは話を聞いている間に食べる分だから、説明会が終わった後で持ち帰る、約束していた分とは別のものだからね。なので、今日来ていない仲間の分を気にすることなく食べていいよ。

但し、ちゃんと耳と頭は私の話を聞く方に割り当ててよね。食べるのに使うのは、両手と口だけだよ!」

あはは、と笑い声が湧き上がった。

うん、みんなの緊張が 解(ほぐ) れて、いい雰囲気になったぞ。

よし、お菓子を配って、説明会開始だ!

さすがに、これは私の担当だ。アデレートちゃんには、ちょっと荷が重い。

* *

まず、子供達に色々なことを教えた。

一部の悪質な商人や、犯罪組織の連中による嘘や搾取について。

労働とその正当な対価について。

悪質なことに関しては、官憲に助けを求められること。

たとえ孤児からの訴えであっても、『ソロリティ』、そして 第三王女(サビーネちゃん) 、 大聖女(ベアトリスちゃん) 、 雷の姫巫女(わたし) の名を出せば、無下に扱われることはないということ。

……そして、もしちゃんとした対応をしてもらえなかった場合、『ソロリティ』に助けを求められること……。

その場合、駆け込む先は、『雑貨屋ミツハ』。

もし緊急時で、『雑貨屋ミツハ』が留守であった場合は、アデレートちゃんのところ、ライナー子爵家王都邸に助けを求めること。

……勿論、ライナー子爵には話を通してある。

後でサビーネちゃん、ベアトリスちゃん、私の『3強』が責任を持って対処するから、とりあえず助けを求めた者の身の安全の確保だけお願いする、と言って……。

何しろ、王様や王太子殿下ですら抵抗することができない 最高権力者(サビーネちゃん) 、大司教様ですら頭が上がらない 大聖女様(ベアトリスちゃん) 、そして救国の大英雄である 雷の姫巫女(わたし) だぞ?

この国の、政治面、宗教面、そして戦力面の、トップ3だ。刃向かえる者はいないね。

圧倒的ではないか、我が軍は、ってヤツだ。

もしかすると、私達が結託すれば、この国を乗っ取れるかも……

……いや。

いやいやいやいやいやいやいやいやいや!!

我ながら、ちょっと怖いぞ。

そして、基本的なことを教えた後に、いよいよ、本題だ。

「でも、いくら搾取されるなと言っても、今日食べるものもない毎日だと、酷い条件ではあっても飢え死にや凍死するよりはマシだから、話に乗らざるを得ない時もあるよね?」

小さな子はよく分かっていないみたいだけど、ある程度の年齢の者達は、辛そうな顔で俯いている。

そうなんだよね。

孤児達も、そう馬鹿じゃないんだ。

搾取されていること、酷い条件であることが分かっていても、生きるために仕方なく受ける場合があるし、暴力で強制的に働かされたり、上納金を要求されたりもする。

いくら酷い目に遭わされても、死ぬよりはマシ。

大人になるまで生き延びることができれば、兵士とか肉体労働とか犯罪組織とか、何らかの職に就いて、普通の生活ができるようになる可能性も、ゼロじゃない。

生き延びることさえできれば……。

「そんなみんなに、耳寄りなお話が!!

私達『ソロリティ』が、孤児のみんなにまともな仕事を 斡旋(あっせん) するよ!

年齢や体格、能力に合わせた、様々な種類の仕事。

力仕事、軽作業、ねぐらで幼い子達の面倒を見ながらできる、内職的な仕事。

……そう、搾取されることのない、普通の仕事だよ!」

「「「「「「…………」」」」」」

ありゃ、反応がないぞ……。

いや、私の言葉に興味がないというわけではなく、信じられないというか、内容が頭に染み込むのに時間が掛かっているというか……。

ま、みんなの頭が私の言葉を理解できるまで、少し待つか……。