軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

398 パーティーの開催 6

「本日御用意いたしました品々は、ヤマノ子爵領から近日発売予定です。一部の、作動に神力が必要な大型の遊具は除きますが……」

ふわふわドームのような、常に空気を送り込むための動力源を必要とするものは、さすがに販売できないよ。それらは、 賑(にぎ) やかし用の、私が関わるイベントだけに出せるものだ。

大型遊具は、買い取りやレンタルを交えて、結構安く上がったのだ。

なのに、子供達へのインパクトは抜群で、しかも他家には絶対に真似ができない。

子供達には好感を、そして大人達には私の祖国(笑)の技術力に対する畏怖の念を植え付けるのだだだ!

「本格販売に先駆けての試験販売や、その後の大口取引の打診等は大歓迎です。

御興味がおありの方は、本日は 商談のお約束(アポイントメント) を取るだけにして、お名前と御興味のあることを記したメモをお渡しくださいますよう……。

後日、当方からお会いする日時等を御連絡いたします」

ちらりとボーゼス侯爵様の方に目をやると、あ〜、というような呆れ顔をされていた。

イリス様は、苦笑されている様子。

いや、まぁ、いくらパーティーは貴族にとっては仕事の場とはいえ、ここまで露骨に、しかも提供する料理や退屈を紛らわせるためのもの等、全てを商売の宣伝のために特化させたパーティーとかは、前代未聞か……。

でも、私は投資した分のお金は確実に回収するよ。

それが、ヤマノ子爵家のやり方だだだ!!

「では皆様、暫し御歓談をお楽しみください!」

うん、私が長々と話すのは良くない。

パーティーは、主催者だけが招待客と交流するためのものではなく、招待客同士が交流するための場でもあるのだ。 主催者(ホスト) は、そのあたりにも心配りをしなくちゃね。

お姉さんや弟のルーヘン君とお菓子を食べまくっていたサビーネちゃんは、既にそこから離脱して、私のところに戻っている。

サビーネちゃんは、別にがっつかなくても、いつでも 第二王女殿下(ちいねえさま) や 第二王子殿下(ルーヘンくん) と一緒に雑貨屋ミツハの3階でお菓子を食べられるからね。

……いや、勿論、量は制限するけど。

王女様や王子様達をブクブクに太らせたら、私の首が飛んじゃうよ。

比喩(ひゆ) 表現ではなく、物理的に……。

そういうわけで、今はサビーネちゃん、コレットちゃん、ベアトリスちゃんの3人は、私の回りにくっついてる。ビットかファンネルのように……。

サビーネちゃんとベアトリスちゃんは、ひとりで行動するとたくさんの羽虫に 集(たか) られるからねぇ……。

今日の 主催者(ホスト) は私なのに、完全に主役を食われちゃうよ。

さすがに、私と一緒にいれば、私を無視してふたりに話し掛けるわけには行くまい。

ふはははは!

……あ!

「大型遊具は、小さなお子様専用です! 大人は使用しないでください、強度が保ちません!

尖ったものを身に付けたままも駄目です。遊ぶ前に外して、御両親に預けてください!

遊具が破れるし、他の人に当たったら怪我をさせちゃいますから!」

生まれて初めて使うんだ、そのあたりに気が付かないのも無理はない。

一応、注意事項を書いた看板を立ててはいるのだけど、子供達は、そんなのをじっくり読んだりはせずに、いきなり飛び込むよねぇ……。

だから、ふわふわドームやボールプールに飛び込もうとした大人や、金属製の尖った装飾品を身に付けた者達へ注意したのだ。

いや、そこのお嬢様、そんな恰好でふわふわジャンプしたりボールプールで転げ回るのはマズいでしょうが!

10歳未満ならばともかく、あなた、12~13歳くらいだよね? もう既に、淑女教育を受けている年齢だよね?

そしてここの人種の12~13歳って、日本人だと高校生くらいに見える体格なんだよね……。

うん、既に20歳である私が、ここでは12~13歳くらいに見られるのだから……。

私も、日本でなら一応、15~16歳くらいには見られるというのに……。

あ、サビーネちゃん、コレットちゃん、そしてベアトリスちゃんの3人?

昨日、遊具を設置した後に、試験と称して満足するまで遊び倒したから、今日は落ち着いてるよ。

そして、ある程度みんなが遊び、飲み食いして、一段落した頃を見計らって、メイドさん達にカードを配らせた。

カードといっても、トランプの正式名称の方じゃない。

縦横にそれぞれ5段、合計25個の枠があり、そのそれぞれに2桁の数字が書いてある。

そしてそれぞれの枠の3面にはミシン目が入っており、指で押すと枠が立てられるようになっている。

……うん、みんなが知っている、アレ。

そう、ビンゴのカードだよ!

数字は、この国で使われているものだ。私が日本の印刷屋に発注して、作ってもらった。

ミシン目も、印刷屋さんの取引先でそういうのをやってくれるところがあるとかで、その経費も込みで契約した。

同じ物をたくさん印刷するならそう大した手間はかからないけれど、ビンゴは数字の配置をバラバラにしなきゃならないから、普通よりかなり高くついたよ。

だから、今回使う分だけじゃなく、すごくたくさん作った。また使うことがあるだろうからね。

こういうものは、一度にまとめてたくさん作っておいた方が、単価が下がるんだよ。

次にビンゴ大会をやる時、カードさえあれば、賞品代以外は殆どお金がかからないからね。

数字を選ぶボールは、ピンポン玉にマジックで手書き。

こういうのは、数字を選ぶ演出も場を盛り上げる要素のひとつだから、番号札とかじゃなく、ちゃんと数字が書かれたボールを掴み出して大きく掲げないとね。

不正がないことを証明するために、ピンポン玉が入った箱は透明のプラスチック製。

そこに手を突っ込んで掻き回し、1個ずつ選ぶのだ。

勿論、視線は前方、招待客の皆さんの方に向けて、箱の方は見ない。

そうすれば、皆さんからはピンポン玉をかき混ぜる様子も、そこから無作為にひとつを掴む様子も丸見えなので、公正な抽選であることは一目瞭然だ。

皆さんには、プラスチック製の箱がガラス製だと思われるかもしれないけれど、それくらいはどうってことはない。

ピンポン玉を掴み出す役は、サビーネちゃん、ベアトリスちゃん、コレットちゃんの3人に、順番にやってもらう。

国民に大人気の第三王女殿下、女神の愛し子である大聖女様、そして我が身を盾にして雷の姫巫女様を守った忠義の少女が笑顔でピンポン玉を掴み出し、高く掲げるんだ。盛り上がらないわけがないし、それで 当たり(ビンゴ) になって賞品を貰えたら、そりゃ嬉しいだろう。

賞品自体に大した価値がなくても嬉しいところに、その賞品というのが、非売品の地球の品だ。

勿論、この世界では価値があるけれど、地球で買えば安いやつ。

この世界の人達にビンゴが受けるかどうか、少し心配だったけど、『暗黒のすべての色』という小説では、異星人達に大受けしていた。

……ということは、少なくともその小説の作者は『ビンゴは他の社会形態の者達にも受ける』と考えていたわけだ。

そして事実、地球では様々な国で受けている。

ならば、ほぼ地球人と同じ身体、同じメンタリティであるここの人達にも、受けるはず。

実は、うちの領地邸で、従業員達を集めて実験をしてみたんだよね。地球産の100均製品だとかチョコとかを賞品にして。

……結果は、大受け!

実験対象は全員平民だったけど、こういうのは、平民も貴族も変わらないと思うんだよね。

射倖心(しゃこうしん) を 煽(あお) るゲーム、というのに耐性がないのかな?

勝敗を競うゲームはこの世界にも色々とあるけれど、それらは実力と運によって自ら勝利を掴み取りにいくものだ。ビンゴやパチンコとかとは、ちょっと違うんだよねぇ。

とにかく、ビンゴは初めての者にもルールが分かりやすく、絶対に自分が損をすることはない。

そして、当たった時の脳内物質の分泌量がハンパない。……もう、ドバドバ出る。

溢(あふ) れる多幸感。当たった者を見た時の、『次は、絶対俺が!!』という、期待感。

よし、とにかくこの世界でおそらく初の、ビンゴ大会、いってみよ〜〜!!