軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

019 リディ―王国の王族事情

今日は、王太子からの招待で王宮に行く日だ。

エヴァルドから招待されたと言われてから、少し自分なりにリディー王国の王太子がどんな人なのか調べてみた。

名前を、サイラス・キャンベル・リディーと言い32歳。結婚していて、子供も三人いらっしゃる。近々、代替わりなさるのではと言われている。

今のリディー王国の王には三人の子供がいて、今日会いに行くサイラス王太子が一番上で、下に弟と妹がいる。

弟は、既に結婚して公爵位を賜り一貴族として生活している。

妹がこの前会った、シャルロット・キャンベル・リディー。二十八歳で独身なんだそう。オーレリアにこの前ドレスショップで会った事を話したら、色々と教えてくれた。

エヴァルドとの婚約を結ばなかったあの事件の所為で、シャルロット殿下の結婚相手が中々決まらなかった。

シャルロット殿下の婚約者は、エヴァルドでほぼ決定していたので、高位貴族の子息達はすでに婚約者が決まっていた。

候補が他にもいないわけではなかったが、エヴァルドの二の舞になりたがらなかった貴族達は手を挙げなかった。そうなって来ると、下位の貴族になってしまうがそれは王が許さなかった。

そんなこんなで、結局シャルロット殿下は婚約者が決まらずにずるずる来てしまったらしい。

その事を誤魔化す為に、シャルロット殿下は女性の社会進出を国を挙げて推進した。女性が、結婚だけではなく色々な道を選べるようにと言う事で。

だから、リディー王国は近隣諸国よりも女性の社会進出が進んだ。でも実際に、シャルロット殿下が自分で政策を実行している訳ではない。

シャルロット殿下の取巻きがいて、その方達が実際に動いていてシャルロット殿下は王宮で好きに何もせず生活している。

オーレリア曰く、リディー王国の女性達はシャルロット殿下に感謝の気持ちを持ってるが、それと同時に哀れみの感情も向けていると教えてくれた。

末っ子で姫だった為、王が甘やかしたばかりにプライドが高くて我儘な姫で有名なのだ。だから、未だにエヴァルドに上から目線で悪態をついている。

あの事件の発端は自分なのに、エヴァルドが悪いとさえ思っている。そんな妹に、サイラス王太子は手を焼いているのだって。

セレスティーヌは、公爵夫人だったので自国の王族について色々知っている。どこの王族も同じ様なもんなのだなと思ってしまう。

それにしても、シャルロット殿下はあの感じでこの先どうするつもりなのだろうと疑問だ。

ずっと、王宮で好きに生活していくのかしら? 私が言うのもなんだけど……、結婚して家庭を築いた方がいいのにと心配してしまう。

エヴァルドだって、会う度にあれじゃいい気しないだろうし……。

セレスティーヌは、準備を終えて玄関へと向かう。

今日は、この前エヴァルドに選んで貰ったドレスを着ている。薄紫で上品なデザインのドレスだ。

後日このドレスに合わせて靴も買いに行き、髪も今日はいつもと違ってお洒落な髪型にしてもらった。

今までとは違った自分の装いに、少しドキドキする。玄関に着くと、既にエヴァルドが待っていてくれた。

「エヴァルド様、お待たせしました」

セレスティーヌが声を掛けると、エヴァルドが顔を上げてセレスティーヌを見る。エヴァルドが驚いた顔をしている。

「そのドレス着てくれたんですね」

エヴァルドが、嬉しそうに笑顔を零す。最近のエヴァルドは、よく笑ってくれるようになった。

影のある微笑ではなく、温かさが溢れる笑顔で。だからセレスティーヌは、その笑顔を見るだけで嬉しくなる。

「はい。いつもと違う感じに自分でも驚いているんですが……。似合ってます?」

セレスティーヌが、クルンとドレスをはためかせ回って見せた。こんな事をする自分が子供みたいで可笑しいが、エヴァルドが喜んでくれるからいいかなと思ってしまう。

エヴァルドが、そんなセレスティーヌを見つめ頬を赤くさせる。

「いつものセレスティーヌも素敵ですが、今日は一段と綺麗です」

エヴァルドは、冗談とかではなく真剣に褒めるからセレスティーヌはいつも照れてしまう。

「ありがとうございます」

セレスティーヌも、ちょっと頬を赤くしてお礼を言った。

「では、行きましょう」

エヴァルドが手を差し伸べてくれる。セレスティーヌも自然とその手を取る。この動作もすっかりお馴染になってしまった。

玄関の扉を執事が開けてくれて、外に出る。今日は生憎の天気で、雨が降っている。

エヴァルドが、セレスティーヌが濡れないように傘をさしてくれた。

空を見上げると、灰色の雲が空一面を覆っていて昼だと言うのに薄暗い。地面には、水たまりがあちこちにできている。

雨粒が水溜まりにぶつかり、丸い円が出来ては消えるを繰り返す。こんな日に外出なんてしたくないけれど、隣を歩くのがエヴァルド様だと思うとなんだか嬉しい。

セレスティーヌは、最近の自分の感情を持て余していた。

エヴァルドの笑顔を見るのが嬉しい。一緒に出掛ける事が嬉しい。一日でも会わないと、今日は会えなくてつまらなかったなと感じる。

この気持ちが何なのかわからない。

一緒に暮らしている時間が長くなってしまって、弟みたいに思ってしまっているのかな? エヴァルド様を見ていると、可愛いなって思う事が多い……。

男の人に可愛いは失礼かなと思うから、本人には言わないけど。

馬車に乗り込んだセレスティーヌは、雨の降る窓の外を見ながら考えていた。ずっとそんな外の風景を見ていると、真っ青な晴れの空が恋しくなる。

向かいに座るエヴァルドを見ると、同じ様に窓の外を見ていた。

「雨って嫌ですね」

セレスティーヌが話しかける。

「そうですか? 私は、結構雨好きなんですよ。雨の音とか、農民は仕事が休みになるし作物に水がやれるし喜んでいるかなとか」

セレスティーヌの心の中が、ぶわっと温かいもので満たされる。

「エヴァルド様らしいですね」

セレスティーヌが微笑む。

「そうですか? でもセレスティーヌは、晴れが好きみたいなので、今度、晴れた休みの日にどこかに行きましょう」

エヴァルドが、提案してくれる。セレスティーヌは、嬉しくて頷いた。