軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン攻略の再開

「これで三人仲良く夫婦ですね。ロクファ様も含めて4人夫婦ですか、ふふっ」

「まてまてまて」

飛んで火に入る夏の虫。

ネギをしょってやってきた鴨。

魔剣を持ったゴブリン。

聖女アルカにとっては、俺、テロリストのキョウも間違いなく恋愛対象であり、ナリキンと併せて両方夫婦にできるならそれに越したことのない相手。

その思惑に、見事乗せられてしまったのが現状ということ――!!

「お、おいおい。一途じゃないのはふしだらじゃないのか? 聖女としてそれでいいのか?」

「? 夫婦になるなら誠実ですよ? 私はキョウ様のことも愛していますのでご安心を」

『ほぅ』

『それはそれで』

『なるほど、そういうことね』

……そうだった。そもそも多夫多妻制である聖王国だ。

恋愛対象の相手が複数でも、『全員で夫婦になるならそれで良い』になるのか……!

文化がちがーーーう!

こ、こ、この、ハーレム合法国家がよぉーーー!!

人間なら何でもいいとか思ってんじゃねぇだろうな!? 思ってんなコレ!

犬耳ヘアバンド付けて実は獣人でしたー、とか言ってやろうか!? 耳既にみられてるから無理だけどね!

「これ、貴族が平民を無理矢理結婚するのとかに使えるんじゃないか?」

「むしろ平民が貴族と既成事実を作る目的で使われることが多いですね。貴族側にはほぼ得がありませんし」

マジかよ。聖王国の一般人たくましすぎる。

「みなし夫婦とは、生死を共にする者たちが家族となる権利です。ええ。ダンジョンをほぼ1か月共に過ごし、命の危機も乗り越えた私はもう、ナリキン様の家族といって過言ではありませんでしょう?」

「過言であると思うがなぁ。あったかね? 命の危機とか」

『ナリキン様照れてる! 可愛いー!』

『おいおい妬けるじゃねぇか』

『まぁ確かに命の危機は無かったけどな……安心して見ていられたし』

こいつら意外と恋愛脳なんだろうか……

聖王国で今一番アツい2人、それを挙げるならナリキンと聖女アルカの2人。しかも男女。なら夫婦になっちゃう? 何、みなし夫婦でなりそう!? 祭りだー!!

って感じなんだろうか。

そんなワイワイと軽い気持ちで人の人生の大事を後押しするんじゃねぇ!!

「まぁまぁ。今からダンジョンを攻略して、急いで戻れば……ギリギリ1か月に間に合うかもしれませんよ?」

「む! そうだな! では今日もダンジョンの攻略を始めていくぞ!」

と、聖女アルカに乗せられナリキンはダンジョンの攻略にとりかかる。

……だが俺は知っている。今のペースだと3日で攻略するのはキツイということを。

そして、聖女は配信をしていない時は足を止めようとしてくることを。

「仕方がない。攻略時間を延ばすため、配信時間の延長を設定するか」

『ん?』

『今、なんて?』

「配信時間は伸ばせるんだよ。魔力は使うが――ナリキン、手を貸せ。子機を調整する」

「アッハイ。どうぞ」

俺はナリキンの手首につけてある子機を弄る――という設定で、特に何もしない。

元々この子機は飾りのようなもの。ダンジョン機能で配信して見せているわけなので。

「これでよし。3日が終わったら本体と併せてメンテナンスが必要になるが、これでこの3日の間はずっと配信できるぞ」

「……? キョウ様。ずっと配信できる――ということは、どういうことですか?」

「ずっと配信できるということは、ずっと配信できるということだ。つまり攻略も3日間続けることができる……本当にやりたくはなかった手段だが……」

『え? ずっと配信できる……?』

『それってつまり、ずっと配信が見られるということ?』

『なんてこった! 今日は帰れないな!! やったぜ!!』

本当に、本当にやりたくはなかった。

何故ならずっと配信をするということは……3日間攻略を続けるということは……『最大72時間のダンジョン攻略耐久配信』を行う、ということに他ならないのだから。

睡眠時間を……削るどころか……徹夜で!!

「いいかナリキン。これより俺達は修羅だ。修羅となりてダンジョンを攻略する!」

「え、あ、ハイ」

「聖女アルカ! ついてこられなかったら置いてくからな!!」

「え、あ、はい」

「行くぞ! ついてこい!!」

俺はナリキンと聖女を連れて、ダンジョンの奥へと走り出した。

ゴーレムアシストもあるので体力的にはさほど問題ない。ナリキンもリビングアーマー故に無限の体力を持っている。果たしてただの人間の聖女はついてこられるかな!?

「ぜひー、ぜひー……げほ、げほっ!」

「キョウ様。大丈夫ですか?」

「キョウ殿、どうぞ水です」

そして、真っ先に力尽きたのは俺だった……。

ゴーレムに手足を動かされるだけでも体力は使う。アシストゆえに消費は少なくはなるが、長時間ともなれば流石に限界が来る。

『キョウちゃん張り切ってたのに最初にばてて可愛い』

『いやでも相当な体力だろ。全速力で走りながら戦ってたぞ』

『あの速度で長時間戦闘しながら走れる分、そこらの冒険者より遥かに強いぞ。……聖女様達がもっと桁違いなだけで』

聖王国の聖女は化け物か……そうだねソロでダンジョン攻略することに命を懸けたバケモンだったね。

今回、万一の身バレを考えて『神のパジャマ』を着ていなかったのが敗因だった……

「キョウは俺が背負いましょう」

「私が背負っても良いですよ? キョウ様。どちらに背負われたいですか?」

「うう、す、すまねぇ……じゃあナリキンで」

「では失礼しますぞ。背中にお乗りください」

「うん……」

『ひゅー!』

『アツアツだねぇ!』

俺は茶化しに返事を返す余裕もなかった。

うぐぐぐ……!