軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話:丸投げ教祖ケーマ

「ご主人様ー。なんか腕生やせるって噂になってるで?」

「……そこまでやってないんだが?」

「でもご主人様腕生やせるやん」

「生やせるけどさぁ」

オリハルコンの粒を生成するよりよっぽど簡単である。

なんなら魔力ゴリ押しの回復魔法でいいのでゴーレム義手作るより単純である。

ゴーレム義手の方はニクにサキュバスになってもらって【 魅了(チャーム) 】で調整してもらわないといけないからな……

「今回は斬れたてホヤホヤの腕、それも本人のヤツを取り付けただけだから大した話じゃないぞ」

「せやなぁ。白神教教会でいうと司祭レベルの話やな。オフトン教教祖からしたら大した話でもないけど……ここ、冒険者村やし、需要もあるし、教会に腕を治して欲しい奴らがちょいちょい来るでコレは」

……面倒くさいなー。

こっちはこっちで、ナリキンのダンジョン攻略をなんとかしないといけないのに。

「よし、サキュバスシスターたちに治してもらえるようにしてもらおう。そうすれば俺が出るまでもないだろう」

「せやろか? てか、今でも簡単な治療ならシスター達でできるけども」

「回復魔法のスキルをソトに量産してもらって、シスター達に分けていこう。シスター達には靴下を履いて温めておくように言っておけ、ソトへの報酬にする」

「ソト様大忙しになりそうやな。まぁ靴下貰えるなら喜んで仕事してくれそうやけど」

サキュバスシスター達は性癖への理解も深いだろうから、きっとソトが満足する靴下を用意してくれるだろう。

靴下で回復魔法が覚えられるとか、安いもんだよな。

「じゃあ長く履いている靴下と良い魔法を交換ですよ! 1日で【ライトヒール】、3日モノで【ヒーリング】、途中はそれぞれ考えるとして30日履き潰し靴下で【リザレクション】と交換します!」

……まぁ、断る理由もないし許可しておこう。

あ、交換できるのはサキュバスシスターだけにしてね。さすがにこのレートで一般人に回復魔法流すと色々マズいだろうから。外聞的にも。

* * *

ゴレーヌ村オフトン教教会。その控室で、サキュバス達がミーティングを開いていた。

当初のシスター担当達はいまやすっかり上層部という扱いだ。

シスター長のスイラが議長を務めている。議題は、『癒しの奇跡を使って欲しいという依頼がある点』だ。

「……というわけで、我々でも対処できるように、ソト様に靴下を渡してお願いすれば回復魔法のスクロールを授けていただけることになりました」

そんな上層部の彼女達には、ソトがスクロールを用意できる。という点についてのみ知らされている。

おそらくスキルだとは思う。それがいかなるスキルかまでは不明だが、代償として『長く身に着けていた物』か、『好む物』を捧げる必要があるようなスキルだと思われる。

「見かけによらず尖った性癖してますよねソト様」

「あんなに可愛いのに色々と残念というのも愛らしい」

「レオナ様と相思相愛なのも羨ましいですね……おこぼれを頂けないかしら」

尚、サキュバス達にはソトの性癖はバレバレである。

なにせサキュバスなので、何度も話しているうちに 理解(わか) るのだ。

本人があまり隠すつもりもないのもあるけど、視線が大体足に向いているのは 教祖(ケーマ) と同じだ。ただしソトの場合は脱いだ靴下の方に特に興味がある。

「ちなみにこちらが対価と授けていただける魔法の目安表です」

「へぇ、1日履いた靴下で【ライトヒール】覚えられるんだ……ん?」

「……【ヒーリング】は覚えたいわね。私、回復魔法苦手だから助かる……あれ?」

「…………りざ、れく、しょん???」

そこには伝説級の魔法、【リザレクション】の記載があった。

たった30日履き潰した靴下を捧げるだけで、伝説の魔法を覚えられる……らしい。

「落とした腕をくっ付けることができるよう、この10日靴下の【ハイヒール】を皆には覚えていただきたいところです。教祖様は【ヒーリング】でくっ付けてしまわれたそうですが、あれで完全に治療できるのは教祖様かレオナ様くらいでしょう。あ、一旦急ぐので後払いでもいいそうですよ」

淡々と説明するシスター長スイラに、いやいやちょっとまってとシスター達が声を出す。

「あのスイラ様。【リザレクション】ってあるんですけど!?」

「これ伝説のヤツですよね!? 失伝して名前と効果しか分からないような!? 本物ですか!?」

「あー……私はシスター長なので後払いでもう習得させていただきましたが、本物です。儀式魔法なので私一人だけでは使えないですが、ここに居るメンバーが全員覚えたら3日に1人くらいはいけるでしょうね」

つまり、その気になればこのオフトン教教会は『死者の蘇生』すら可能であるということだった。

それをもっと前面に押し出せば、こんな辺境の村のマイナー宗教どころではない発展を遂げるに違いないわけだが。

忙しくなるのを好まない 教祖(ケーマ) の性格を考えれば、それはしないだろう。

「ちなみに教祖様は……当然使えるんですか?」

「ソト様が提供できるなら、教祖様が使えない理由はないでしょう」

「ですよね」

ある意味では、ダンジョン的な話では『部外者』なところもあるサキュバスシスター達に教えても良い程度のものを、自分で覚えていないはずがないのだ。

「特に言われていませんでしたが、カリソト区に新しく入ってきた連中は【ハイヒール】を上限にした方が良いでしょうね」

「特に言われてなかったんですか!?」

「正確にはシスター長である私に裁量を任されました。いい感じに頼む、と」

「丸投げにも程がありませんか?」

「……それだけ信頼を勝ち取れている、と、そういうことで」

そういうことになった。