軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

潜入! 聖王国側から見る配信模様

聖王国の調査にやってきた。

ダンジョンの攻略に対して、民衆の反応はどのようなものだろうか、と実際のところを見るためだ。

別にナリキンを疑っているわけではないのだけど、民衆側からのリクエストがそんなに強いなら、こっち側に混ざって多少はダンジョン探索を進めさせるリクエストを出せるんじゃないかと思っている。

ナリキンが配信を流している中央広場。ここの他にも何か所かで同様の映像を映しているらしい。聖王国側で急遽用意した近距離の映像転移技術、とかで。

……そんな技術が急に? と思うが、意外と「ああいう事ができるのか!」という答えが存在している状態であれば、それを真似るのは0から生み出すよりは容易い。

この聖王国にも優秀な技術者がいる、と、そういう事だろう。

有線だし、結構な量の魔石と魔力を消費しまくるし、一方通行で有効距離も短いようだが。

……2個あれば双方向できるし、中継を挟めばさらにいけるな。うん、優秀な魔道具師だ。

……

先日ソト達がデートしに行ったのは関係ないよな?

レオナには余計なコトさせないって約束だったし……ソトは約束守ってるよな?

念のため作者とかを確認しておくか。

【超変身】で聖王国の一般人に変装しているので聞き込みも容易だ。

「なぁ、あの配信の魔道具って誰が作ったんだ? ナリキン……様の用意したやつじゃないやつ」

「ん? 光神教お抱えの凄腕魔道具師さ。……といっても、人間なら表に出て大々的に宣伝してるだろうから獣人だって噂もあるけど」

なんだ獣人か。じゃあソトが用意したとかいうわけではなさそうだ。

ナリキンと問答やリクエストができるのは中央広場だけで、その中央広場は大人気なために入るのに入手困難な入場チケットが必要らしい。

当然持っていないので【転移】も使ってそっと潜り込む。

……うーん、当初は聖王国に行くのが危ないからナリキンに向かわせたのに、今はナリキンがあっちにいて俺が聖王国に居る。妙な感じだな。

まぁそれもナリキンが色々と調べてくれたおかげだし、ナリキンが妙に活躍しちゃってるから、なんだが。

おっと、ナリキンの配信が始まったぞ。

正面のモニターにナリキンの姿が映ったほか、何か所かに設置されているスクリーンにも映し出されている。

『お、映ったな。見ておるか、皆の者』

「うぉおおおおーーーーーー!!!! 始まったぁああーーーーー!!!」

「ナリキン様ーーーー!! 見えてまーーす!!!」

「聞こえてまーーーす!!!!」

おわっ、お前ら急に叫ぶな!? びっくりしたわ!

っていうか全員声デカいなこいつら!……これじゃ俺がいくら声張ってもナリキンに届かないかもしれん……

「やれやれ、皆分かっていないな……」

なんか隣のヤツがしたり顔で腕組んでる。

「えーと、なにが分かってない、っていうんだ?」

「うむ。お前は声を張り上げていなかったな。フッ、少しはやるようだ」

「……どうも?」

なんか褒められたが訳が分からないよ。

「まず今の時点で声を上げるのは三流。肝心な時に叫ぶ声が足りなくなる」

「肝心な時……?」

「ああ。多少は発声練習をしておいて損はないが……」

「いやそこじゃなく肝心な時ってのはなんだ」

「……お前、ナリキン様の配信は初めてか? よくこの広場に入れたな」

フッ、と鼻で笑う男。

「ナリキン様は配信中に方針を尋ねることがある。その時にこそ大声を出すのが二流だ」

「なるほど。……って、二流? じゃあ一流はなんなんだよ」

「一流は他の人がナリキン様や聖女様の声を聴けるように大人しく見るのさ」

なるほどね?

インターネット等ではなくこうして広場に集まって肉声を出すからこその価値観とみた。

……でもこいつ、ライブイベントで後方腕組み彼氏面してるヤツみたいだから話半分に聞いとこ。

『今日は森の攻略に入る。さすがにこれ以上スケジュールがズレるのはいかんからな! いいな、アルカ殿?』

『はい。さすがに洞窟は探索し尽くした感じですしね。では行きましょうナリキン様』

『うむ。では行こうか』

そして画面、スクリーンの中、森林エリアに踏み込むナリキンと聖女アルカ。

「ほう……いきなり踏み込んだか」

「いきなりと言っても一週間くらい洞窟だったよね?」

「何言ってるんだ。配信開始で5分も経っていない。フフ、急展開でドキドキしてきたぜ……」

何言ってんだコイツ。と思いつつ画面を見る。

「お! モンスターが出てきた。戦闘だ! 見逃すなよ一瞬だぞ……」

「お、おう」

森林エリアに配置してあるリザードマンがナリキンの前に現れたようだ。

このエリアにおいてはザコであり、それほど盛り上がるシーンでもないと思うのだが……

『む。リザードマンだな……ふんっ!』

『さすがナリキン様。ただのリザードマンなど物の数ではありませんね』

『数で囲まれると危険だからさっさと倒しているだけだ』

思っていた通りナリキンはパンチ一発でリザードマンをしばき倒した。

なんやかんや鍛えまくっているナリキンは、このくらい楽勝なのだ。

だが会場は拍手と声援で沸いた。

「いやったー!! 剣も抜かずにワンパンだぁ!! ナリキン様カッコいいーー!!!」

「聖女様を守る姿尊い!」

「ピューーーィッ! ナリキン様最強! アナタが教皇ーー!」

『う、うむ。ありがとうな皆の者。あー、一応言っておくが、リザードマンは鍛えていない者には脅威だからな、この戦い方はあまり真似するなよ?』

「はーーーーい!!!!」

「わかりました!!!」

「同じくらいのことができるように鍛えます!!」

さ、騒がしい! あまりにも騒がしすぎる!

こいつらくしゃみしても「くしゃみ助かる」って盛り上がるタイプだな。……まぁ、客としては最高のお客さんなんだけども。

隣でその大声を聞くのは耳が痛い……!

ちなみに後方腕組みの彼は「フッ、さすがナリキン様だ、的確なポイントを殴ったな」としたり顔で言っていた。

……後方腕組み師匠面勢かな。

ってか今の盛り上がりシーンであえて動かなかったやつがチラホラ……大体そんな感じの反応で。結構いるな、後方師匠。