軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

攻略が進んでないようだが?

「ナリキン? ダンジョンの攻略が全然進んでいないようだが……」

『すみませんマスター……ほんとその。リクエストに応えているうちに……』

さて。そんなこんなで不要な探索を重ね、一週間くらいじっくりかけてようやく森林エリアへと手がかかった。

一週間である。本来3日どころか1日で突破してもらうつもりの洞窟エリアをである。

理由は簡単だ。視聴者の要望をいちいち聞いているからである。

雑談して、もっと近くで見せて、配信で聖女の講話を聴いてみたい、ナリキン様の講話も見せて――そして何より聖女の言いだした、

「配信時間している時だけ先に進みましょう! それ以外は周囲の探索で配信の準備として。あ、少なくとも洞窟エリアだけでも! 全ルート制覇したいので!」

が一番の原因に違いない。配信時間以外でも進んでくれていいのに……むしろそれ前提なんだけど。

でも下手に断ると「探索するのに余裕が無いってことですか?」ということになるので余裕を見せるためにも要望は聞く方向にしている。

そしてナリキンが聖女と視聴者の要望に応えている間に、こちらはずっと待機していた……なんてことはなく。

ロクコが「そこ作ってないんだけど! ちょっとぉお!」と言いながらリアルタイムで洞窟エリアを整えていた。

なにせ、ほとんど、というか正解ルート以外は何もない行き止まりだったのだ。逆に行き止まりしかない状態だと、それはあからさまに怪しい。なので後から用意できるモンスター等の配置に奔走する羽目になったのだ。

こっそり採掘してルート繋げて複雑にするのには俺も駆り出された。なにせ【クリエイトゴーレム】を使わないで採掘しようとすると音がうるさ過ぎるのだ。時間もかかるし。

ゴーレムを作って【収納】、ゴーレムにして【収納】、を繰り返して歩くのと同じくらいの速度でダンジョンの通路を作れるのは俺しかいなかったので。

……ソトも可能だったな? 手伝わせりゃよかった……

いや、もうダンジョンの移動とかで手伝ってもらってるわけだし、これ以上手伝わせるのはより報酬を出さないと釣り合わないか。

何が言いたいかって言うとつまり、

「ナリキン? ダンジョンの攻略が全然進んでいないようだが……」

『すみませんマスター……ほんとその。先に行こうと言っているのですが』

頼むよホント。はやく森林エリアへ行ってくれ。もう拡張も限界だし……

洞窟エリアはサクッと終わらせる予定だったのに、想定外すぎる。

『明日には、明日にはようやく森エリアへ行けますので』

「本当に? 聖書朗読してとかあったらまた足止め食らうだろ? まぁ動かないで朗読はこちらも助かるんだけど」

『まぁその、休憩拠点として少し洞窟に戻るかもしれませんが。明日以降は攻略が森になりますので!』

森林エリアなら色々と誤魔化しも利くし、そもそも色々準備もしているのだ。

「聖女を止められるのお前しかいないんだから、パーティーリーダーとしてしっかり攻略進めてくれ! 頼むぞホント。もう洞窟エリアは完璧に攻略済みだからな!?」

『はっ! お任せください!』

通信を切る。

ふぅ、とため息をついて伸びをする。一応この名無しのダンジョン、【欲望の洞窟】の派生ダンジョンでここからかなり近い位置にあるんだよな。

うっかり住人や冒険者がそっちに行かないように気を付けないとな。

「ご主人様」

「ん? ああ、ニクか。どうした?」

通信を行っていたのは村長邸の自室。そこにニクがやってきた。

今日はニクは……あれ? そういや休日にしてたはずだけど。

「えと、自主的にカリソト区の見回りをしていたのですが……イチカがちょっと悪さをしていて」

「なにしたって?」

「賭場に乗り込んで遊んでました」

……賭場かぁ。そういやオイロケ通りが出来てるってことは、賭場みたいな娯楽も当然できているわけだ。

というかスロットも卸してある。今更レンタル料は微々たる儲けだが、無いよりはいいし、スロット目当てに村酒場に住人が詰めかけるより余程いい。

「まぁ、イチカが賭場で遊ぶ分には問題ないだろうけど……何をしでかしたんだ?」

「はい。で、その後もう一度見に行ったら賭場でアルバイトをしてました。……借金を返すために」

「借金かぁ」

あいつ借金で奴隷落ちしたってのに……懲りないヤツめ。

「というかその賭場、奴隷に金貸して遊ばせたのかよ。主人の許可もなく」

「その。わたし達って一見奴隷に見えないみたいで」

「それは……まぁ気付かないで貸しちゃうか」

イチカは見た目も悪くないので、存在自体が担保になりそうなのである。

既に回収済みで奴隷落ちしており不良担保だということを除けば。

「賭場に、イチカに金貸さないように通達しておかないとな。……ちなみにどんなバイトさせられてたんだ?」

「ええと、ウサギ女の格好で給仕でした」

「ウサギ女……バニーガールか」

なるほど、賭場らしい。バニースーツかぁ。まぁ似合うだろうな。

「いえ。ウサギ女です」

「……バニーガールじゃなくて?」

「はい。どちらかというと、えーと、着ぐるみ?」

逆に何でそうなったのか気になるぞそれは。

「どうやら賭場のオーナーが、帝都のウサギダンジョンの常連だったようで」

「意外な繋がりだな」

「イチカにウサギの才能を見出したとか」

「実際接客ウサギ動かしてたもんな」

……まぁそんならそこでバイトさせてもいいかな。休日なら。

前々から小遣い稼ぎにダイン商店でバイトとかしてたもんな。

「どうしましょう」

「 本業(ウチ) に影響出ないなら働かせておけ。出るようならこっちで借金を立て替えて給料から天引きだな」

「……イチカを甘やかしすぎでは?」

おや、ニクがそういう事言うのは珍しいな。

「わたしのことも甘やかすべきでは? 最近抱き枕業務が少ない気がしますし」

「あ、そういう」

「……すみません、変なコト言いました。忘れてください」

「いや、いい。ニクはソトのマスターとか色々やってて忙しいかと思ったんだが……」

まぁそういうことなら抱き枕業務しつつ、甘やかすのも良いだろう。

というわけで、ニクの事を少し甘やかしておいた。