軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

神の一手(→マスターに丸投げ)

勿論、やるべきことは試練だけではなかった。

軟禁されている身内についても容疑を晴らさねばならない。

昨日あの後軽く話したら「なんかゴメン……」と謎に謝られたが、やはり目をそらされたりしたが、あと「多分知らない方がいいから……」と言われたが、きっと無実だとナリキンは信じている。

「それで、俺の連れたちはいつ解放されるのですかな?」

「もうしばらく調査が進んでからだろうね。なにぶん、アタシらも分からん事ばっかりだ。安易に解放しちまっていいものかどうかすら分からんのだから」

「それは……ううむ、確かにそうですが」

言い分が正論なだけに、どうしようもない。

ましてや聖女をそそのかして前教皇を追いやったテロリストということがバレているのだ。

「せめて丁寧な扱いを約束してください」

「それは勿論。なにせアンタの身内なわけだからね、ペットの小鳥やコボルトにも良い餌を手配してるよ」

「それはなにより。ああ、コボルトは特にミディアムに焼いたミノタウロスステーキにたっぷりとワインソースをかけたものが好物でしてな。付け合わせに甘く煮た野菜も忘れずにお願いしますぞ、あと勿論タマネギ抜きで」

「……アタシらより良いモン食わせてないかい?」

「ペットとは時にそういうものでしょう」

呆れるマグニに、聖女アルカが挙手する。

「ん? なんだいアルカ」

「マグニ様。初代聖女も、テイムしたフェニックスには良いものを与えていたと言います」

「聖女のフェニックスとコボルトを一緒にしちゃあまずくないかい?」

「愛玩動物はいつくしむものと言う事でしょう」

「食費には限度があるね。そこまで言うならアルカ、アンタが奢ってやんな」

「よろしいのですか? かしこまりました」

にこり、と食費の負担を了承するアルカ。

ナリキンとしても断る理由はないのでありがたく奢ってもらうことにした。

「うふふ……私が養ってあげますね、ナリキン様?」

「ああ。ありがたく受け取っておきましょう。しかしアルカ殿もしっかり食べて、その上でかまわないですからな。俺も稼ぎはあるのだし、ミノタウロスのストックもありますので」

「むむ。『 愛食(あいしょく) 』はなりませんか」

「なりませんな」

『愛食』は愛する者に自らの食事を 奉(ささ) げ与える行為で、光神教における愛情表現の一つだ。さすがにそこまで受け入れる理由はない。 妻(ロクファ) もいる手前。

「まぁなんにせよ、もし死者の蘇生ができるなら解放もすぐできるだろうが……どうなんだい? アテはあるのか?」

「うーむ。聖女、アルカ殿は死んでも生き返りますが、どうやっているのですかな?」

「私は歴代聖女から【復活】のスキルを継承していますからね。参考にならないと思います」

「ふーむ。歴代聖女……まぁ、調べてみますか。前教皇の蘇生方法についても詳しい方が居れば良いのですが」

なんにせよそこは、 マスター(ケーマ) と相談しなければなるまい。とナリキンは思った。

やはり丸投げする気満々であった。

* * *

俺達が軟禁されている部屋にナリキンがやってきた。

いやほんとなんかごめん。呪いを解いたら死ぬとか完全に想定外だったんだよ。

ナリキンには知らないまま全力で庇ってほしい、知ってたら顔に出ちゃうからな……

あ、俺は未だにネルネの姿でキョウを名乗っている。軟禁中なので戻るわけにもいかないのだ。ロクコも付き合ってくれてロクファに『憑依』しっぱなしだ。

そのロクファは小鳥に『憑依』してる。

ニクについては気が向いたときにコボルトに出たり入ったりだ。

「というわけで、容疑を晴らすためにも死者の蘇生ってどうにかなりませんかな?」

「次の試練それかぁ」

「そうきたのね」

ダンジョンモンスターならDPで蘇生も可能だが……全くの他人、それも人間の蘇生か。

10番コアのやつどうやってたんだろう。話を聞くに、自分のモンスターだけ使っての自作自演ってわけでもなさそうだ。

「心肺停止のを心臓マッサージで生き返らせて死者蘇生、って誤魔化しは効かないヤツだよなぁ」

故ロネスキー氏はすでにその次元にないレベルの死者だ。

それにあの決闘場で婆さんが故ロネスキー氏に心肺蘇生術をやらせていた。聖王国の光神教にはその手の医療系の知識があるのだ。

さすがにお手上げな気がする。どうしたもんかなぁ。

手本を示せないので初手辞退しても良いらしいとはいえ……

「歴代聖女はともかく、初代聖女はレオナよね? 何か方法知ってるかもよ?」

「……それ確定情報だったっけ?」

「ソトが惚気てるわ。自慢げに『私の彼女がマジ聖女』って言いふらしてるわよ、さすがにダンジョン関係者にだけだけど」

「なるほど」

というかそもそもレオナなら初代聖女を抜きにしても蘇生の方法を知っていておかしくない。

そうなにせ命の冒涜はお手の物なわけだし。……普通に死者の蘇生できそうだよなぁ。そういう薬も作れそう。

「マスター……! 俺から聞いといてなんですが、まさか初代聖女とコネがあるとは……!」

「というかコネでいえば光神とも連絡取れるんだよな。メールで」

「は??? あの、初代聖女とのコネで一旦感動しましたが、それを上回る爆弾発言をさらりとしてきましたな? 俺のマスター凄すぎやしませんか??」

言ってて俺もそう思った。祀ってる神に話を聞けるとか……光神教の教皇に相応しすぎるコネだろう。教皇の正体が10番コアだって教えてもらったし。

つまりなんかなんだかんだ俺のコネを使えるナリキンが教皇になるの、正しい気がしてきたよ。

ともあれ、まずはレオナに死者蘇生について聞いてみるか。帰れないからメールで。

『死者蘇生? できるけど、魂は保証しないわよ?』

早速レオナに聞いてみたところ、そういう回答が得られた。

短いメールだ。もはやチャットである。

『できるのかよ。……魂云々はどういうことだ?』

『肉体と魂は別々なのよ。基本的にはすぐに蘇生しないと魂がどっかいっちゃってちゃんと蘇生できない感じね。呪われてたってことは、10番はゴーストを身体にぶち込んでたんじゃないかしら』

『……それをすると、どうなるんだ?』

『別人になるわね。ゴーストが本人なら実質蘇生だけど』

実質蘇生かぁ。それは、それならば確かに有効な手段だ。

『で、話を聞く分には祓っちゃったのよね? 例の目覚ましで』

『黒い靄がゴーストだったってことか?』

『多分ほぼそうね。10番の呪いでゴーストを肉体に繋げてたんでしょう。これでご本人の蘇生はまず不可能になったわね、元々どうだったか知らないけど』

祓っちゃったもんなぁ。うん。

尚、聖女の蘇生はまた別の仕組みらしい。祭壇とスキルを結び付けて、セーブポイントにリスポーンするんだとか。

蘇生にも色々あるんだなぁ……あ、俺の【超変身】も蘇生能力入ってたな。

『ところで、情報料は払ってね。ソトちゃんを1日引き取ってくれるかしら? 私も一人の自由時間が欲しいわ……』

『お、おう。なんかすまんなウチの娘が』

『嫌じゃないってのが一番困るのよねぇ……沼で……』

ソト、本当にがっちりレオナを捕まえてる模様。頼もしくも恐ろしいね、なにやってんだ我が娘よ。