軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

いざ決闘。

気を取り直して、聖女との面会だ。

「ナリキン様、彼を一体どうやって見つけたんですか?」

「探したら見つかりましたよ?」

「私も探したのですが。そしてナリキン様がその候補でした」

体格が完璧に一致していたのです、とのこと。

そういえば顔しか変えてなかったか……

「俺から説明しよう。ナリキンとは旧知の仲――というか、兄弟みたいなもんでな。どうやら俺のことを探してる、って言う話だったからコッチから声をかけてやったんだよ。だよな、ナリキン?」

「ああ、そうですそうです」

「そうだったのですね。……ええと、何とお呼びしたら良いでしょうか?」

「そうだな……キョウ、と、呼んでくれ。偽名だが本名を聞こうとは思わないでくれよ?」

「……はい、わかりましたキョウ様」

ぺこりと頭を下げる聖女アルカ。

「それで、何の用だって? お礼というのは口実で、依頼でもあるんだろう?」

「え? いえ、本当にお礼を述べたかっただけです。キョウ様。あの夜は本当にありがとうございました。お陰様で、教皇の悪行を裁くことができました」

そしてさらに深々と頭を下げてくる。

……まぁその方がこっちとしては楽だからいいんだけどね。聖女からの依頼とかろくでもなさそうだからしたくないし。

「……やれやれだな。聖女の自己満足のために呼ばれたわけか、俺は」

「む、確かに私が一方的にお礼を言うだけではキョウ様の利にはなりませんね……では、何かお礼の品をお渡ししましょう。そうだ、以前私が破壊したダンジョンコアの欠片などいかがですか? こちら装飾品の素材としても大変価値が高く」

「いらんいらん。そんなもの俺には何の価値もない。ここに呼んだのはナリキンだ。ナリキンから徴収しておくので、聖女、お前はコイツに『借り1』だ。ナリキンに困ったことがあったら助けてやれ」

「……借り1、ですか。分かりました。ナリキン様、そういうことなのでよろしくお願いします」

「うむ。あいわかった。そのようにしよう」

話も一区切りついたので、俺はここで姿を変えておくことにした。

「変装するからこっちを見るなよ」

「変装? ということは、真実の姿が」

「今見せてる姿も変装した姿だが、変装を解いた姿を見せるはずがないだろう? 俺は用心深いんだ」

「なるほど」

聖女は素直に後ろを向いたので、俺はサッとマント(神の毛布)で顔を隠し、【超変身】で別の姿になる。

「よし、いいぞ」

「はい。……って、え!? 女性……!?」

「とある村の魔法使いの姿だ。喋り方も真似るか……あー、あー。どうですかー? ナリキンさんー、似てますかー?」

「は、はぁ。はじめまして……?」

おっと、そういやナリキンはネルネとは会ってなかったか。

というわけで、俺はネルネの姿になった。一通りの魔法が使えて、見た目からして前衛にはなりえないとハッキリわかる丁度いい変装先だ。

……

ちょっと意識して胸を張っておかないと、重量物のせいで前かがみになりがちだなコレ。

「……あの、私の下着、貸しましょうか?」

「あー……いや、結構」

そうか、下着か。支えるモノがなければ安定しないんだなぁコレ……

とりあえず口調を戻しておこう。知ってる人がいないのにモノマネしても意味はないし。

「それで、ナリキンとの決闘をするんだろう? 俺にも見物させてもらおうか。……それとナリキン。ロクファも呼んだほうが良いよな? あれはこういうイベントを除け者にすると拗ねるだろう」

「あ、そうですな。アルカ殿、良いですかな?」

「ええ、構いません。そもそも決闘は公開されるものですし」

「ではすぐ呼んでおきましょう。……ナーナ! 決闘場にロクファを呼んでおいてくれ!」

「はい、かしこまりました」

ナリキンが声をかけると、どこに潜んでいたのか ナーナ(トイ) が現れ、ロクファを呼びに行った。

どこに潜んでたんだよコイツ……! びっくりしたなぁもう!

「あ、それとこちらもどうぞ。胸当てです」

「うぉ!? 今出ていったところじゃなかったかお前!?」

「忘れていたので。すみません、驚かす意図は少ししかありませんでした。では」

ナーナ(トイ) は俺に胸当てを渡して、改めて扉から出ていった。

本当にびっくりするなぁもう! 胸当てはありがたく借りておくけどね!……なんで用意してあったんだ? 謎すぎる……

* * *

聖女アルカとナリキンの決闘が始まる。

事前の告知などなく、今日急に決定したにも関わらず、光神教教会にある決闘場は人が押し寄せていた。

「ほんの1時間前に決闘することが決まったのに、この盛況っぷり……人気だな、ナリキン殿?」

「そのようですな。あるいは、アルカ殿の人気では?」

「両方でしょう。それに、ナリキン様が私を呼び出すところを目撃されていたのでしょうね。知っていれば、これから決闘をやるのか、と推測できたでしょう」

ん? となると俺が聖女アルカの探していたテロリストだと推測できてしまう……か? まぁそう言う形でつかまりそうだったらすっとぼけて逃げよう。

若い神官がこちらに小走りでやってくる。後ろには、3人のご老体な上級神官。

「聖女様、ナリキン様、上級神官様方をお連れしました!」

「ご苦労様です、下がって良いですよ」

「はっ!」

聖女とナリキンに敬礼し、若い神官は去っていった。

俺もそろそろ観客席へ移動するとしよう、ロクファも来てるし。

「じゃ、頑張れよナリキン」

「うむ、頑張ります。キョウ殿の応援があれば百人力ですぞ!」

無駄にぐっとガッツポーズを取るナリキン。……ん? 観客席からなにやら黄色い声援が……ポーズ取るだけで声援飛ぶとか本当に人気だなぁ。配信者作戦が功を奏しているようで何よりだ。

「その姿なのね、ケーマ」

「おいおいキョウと呼んでくれよ、ロクファ」

「あらごめんなさい」

観客席、ロクファの隣に座る。中身は既にロクコが入っており、抱えている鳥かごの中の小鳥がロクファ憑依済みだった。

小鳥(ロクファ) は手羽を振りピーピー鳴きつつ【念話】で声援を送っている模様。

「ね。キョウちゃんはなにやら『ナリキン様の2人目の妻現る!』らしいわよ?」

「……勘弁してくれ」

そういや多夫多妻制なんだよな、この国。そうか、そう見えるのか……

と、上級神官たちが簡単に挨拶をし、この決闘が正式な教皇試練、第二であることを宣言。上級神官たちは引っ込んでいく。

残されたナリキンと聖女は決闘場の中央で対峙した。まだ武器は取り出していない。

「ふふ、楽しみね、どんな仕込みをしたのかしら?」

「あまり期待しないでくれよ、大した仕込みじゃないから多分ガッカリさせると思う」

いよいよ、ナリキンと聖女の決闘が始まる。