軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

謁見

少し小さな部屋に通されて一息ついた後に俺達はミカドに謁見することになった。

思いっきり横柄な態度をとったら外交問題になって今回の功績を打ち消せるに違いない。

よし、まずは頭を下げない方向でいこう。

「あ、ネルネさんは僕にエスコートさせてください。ささ、腕をどうぞ」

「別に歩き悪い靴履いてるわけではないですがー? まぁいいでしょうー」

と、ワタルの腕をつかむネルネ。それを見てロクコもちらちらと俺を見る。

……分かったよ腕貸すよ。どーぞ。

「ん」

「えへへ」

ワタルを真似て腕を出すとすっと掴んでくるロクコ。まったく、こういうのホント好きだよなぁ。

「……見ましたかネルネさん。凄く夫婦ですよ、夫婦」

「お二方の仲がよろしくて素晴らしいかとー」

「僕らもああなりたいものですね!」

「んー、報酬次第ですねー?」

ワタル、そういうのいいからさっさと行こうか。な?

というわけで、一息ついたので女性陣をエスコートしつつ謁見の間へ。

寺院のような雰囲気の大広間。そこの3段高くなっている台。その上にある畳の上に、玉座の如く木製の座椅子が置かれており、和風の服を着た若い金髪白人女性が待ち構えていた。

……和風なだけで和服ではない。やたら襟が浮いてたり、袖が肘からついていて二の腕が出ていたり。あとなんか日輪と後光みたいな金飾りのついた冠をつけていたり。

ゲームに出てくる雰囲気ジャパンな着物って感じだった。着物警察が見たら絶対怒る衣装だ。コスプレ感が否めない。

こちらを見て、ニパッと笑顔になる。

「ワタル殿! 久しぶりじゃのぉ」

「お久しぶりですミカドさん。あ、ケーマさん。こちらミカドさんです。ミカド・ニホンスキーさん。この国の何代目だかのミカドで、ワコークを作った勇者の子孫です」

「……ミカドって名前なのか? 役職ではなく?」

「あ、代々ワコーク王に継がれる名前じゃな。余は21代目ミカドじゃよ」

お偉いさんには違いない、と。

……普通に俺達は頭を下げたりせず、ミカドさんはこちらを待ち構えていたわけだけど。挨拶ちゃんとしなくていいのかなぁ、と思いつつ、いや国際問題起こすなら挨拶とかしなくていいじゃない、しない方がいいじゃないと思い至る。

「コホン。えー、此度はヤマタノオロチの討伐、及び、闇組織『 3本足の鴉(ヤタクロウ) 』の壊滅に尽力してもろうて、ご苦労じゃったの。褒美としてワタル殿には余の夫になる権利をやろう」

「あ、結構です。僕恋人いるので。こちら僕の恋人、ネルネさんです」

そう言ってワタルはネルネをずいっと見せつけた。

……もしかしてこうなるのが分かっていてネルネを連れてきたのか?

「あー、どもー。ネルネ・ガンマですー」

「うむ、ネルネとやら。そちにはワタル殿の妾になる権利をやろう。どうじゃワタル殿? 今ならこの国の王配として盛大に婚姻の儀をじゃな……」

「あらー? ワタルさんー、私は妾ですかー?」

「本妻ですし僕は一夫一妻がいいです!! あ、それと僕、結婚式はこちらのケーマさんにお願いする予定なんですよね」

と、俺の方に話が飛んできた。

よっしゃ、めっちゃ尊大に世間知らずな挨拶してやろ。

「俺がゴレーヌ村村長のケーマだ。なんでそんな高いところに座ってるんだ?」

「私は妻のロクコ・ゴレーヌ・ラヴェリオ・ラビリスハートよ」

「ははぁーーーッ!! ご無礼致しました、よろしくお願いしますーーーーッ!!」

!? 椅子から降りて土下座してきた!?

俺達が挨拶をするや否やの行動で、思わず固まってしまう。

かろうじて畳からは下りていないが、突然の土下座……!

ところでロクコ、なんか名前めっちゃ長く言ってなかった?

「え、あの、え?」

「あら。どうしたのかしらね?」

「ほ、本日はお日柄も良く……あ、このような高い場所から申し訳なし。すぐ降りさせていただくので」

額を床に擦り付けるようにずるずると頭を下げながら降りていくミカド。

……痛そう。

「あの、ロクコ? さっきの挨拶が原因じゃないか?」

「ん? なぁにケーマ? 私は妻として自己紹介しただけなんだけど?」

「……あ、うん。妻ね、妻……うん。その、それはさておきなんか色々苗字ついてなかった?」

「ミーシャに交換してもらった新しいギルドカードにそう書かれてたのよ。正式に挨拶するならちゃんと名乗らないと失礼ってもんでしょ?」

いつのまに交換したのか……まぁ俺が寝てた間だろうな。それはいいとして。

『ゴレーヌ』。これはいい、普通にゴレーヌ村の、俺の苗字なので。

『ラビリスハート』。これもいい。一応ロクコの苗字だったので。

だが『ラヴェリオ』、これは名乗らせちゃだめなやつだろ!

国名じゃん。多分これだよこの土下座の原因。圧倒的帝国圧力だよ。

「……あー、すみませんお二人とも。どうかミカドさんの頭上げさせてあげてください」

「ん? どーするケーマ?」

「えーっと。お、 面(おもて) を上げい?」

「ははーーーぁ!!」

と、返事をしてからそっと頭を上げるミカドさん……なんかロクコより俺の様子をうかがっているように見える。

え、俺の方? なんで?

「あ。ケーマさん。実はミカドさんはですね、オフトン教信者なんですよ」

「ちょ! 言わないでってゆったじゃん! 言わないでってゆったじゃんワタル殿ぉ!」

「あとお米を融通できるゴレーヌ村の村長には頭上がらないってのもありますね」

「それも言っちゃダメってゆったじゃんワタル殿ぉおお!!」

ええ。俺の方、だったのかぁ……

そりゃワタルも国際問題起こす気満々の俺を連れてって問題ないって言うわけか。