軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

サキュバス達とレオナ

ケーマへの宣言通り教会で読書をするレオナ。

シスター服を身に纏い擬態しており、教会の空気を乱さず紛れている。

もっとも、レオナの眷属で村に置いてけぼりにされたサキュバスシスター達はレオナに気づいている。むしろレオナの着ているシスター服も、サキュバス達からの提供だ。

ケーマとロクコからレオナの監視を依頼されているが、その視線は厳しいものではなく、まるでアイドルを遠目に見るような甘さがある。相変わらず信仰対象なのだ。

オフトン教はサブ宗教であり、メインの信仰を否定しない。サキュバス達は、相変わらずレオナの信者でもあった。

まぁレオナが何か行動を起こしてもサキュバスに止められるはずもないので、この立ち位置は監視として正解ではあるのだが。ケーマ達も、そこまでは求めていないし、シスター達に黙ってダンジョン側としてモニターで監視もしている。

「レオナ様。お久しぶりです」

「あら。久しいわねスイラ。……今は私シスターだし、シスター長のスイラ様って呼んだ方が良いかしら?」

「お戯れを」

とはいえ、スイラとしてもレオナがそういう上下関係がごちゃ混ぜになるような、つまり混沌とした状況を心底好んでいるのは良く知っている。

なにせ、混沌神なのだ。レオナは。

「それでレオナ様。今回の来訪の目的を すべて(・・・) 教えてくださいませ。お手伝いできることがあれば、お手伝いしますので」

「あら。ケーマさんに怒られない?」

「教祖様から『目的を聞き出し、村に危害のないことであれば手伝っていいからさっさと帰せ』と言われています」

なるほど、ケーマ合意のもとらしい。それを素直に言ってよかったのかというのはあるが、隠す必要もないのだろう。

「ま、いいわ。ミチルは元気かしら?」

「元気ですが。目的はなんですか?」

「ミチルの診察も今回の目的の一つなのよ。貴女たちのお姫様でしょ? たまには健康診断しておかないとね。これでも主治医だし」

「それは……はい。ありがとうございます」

「ついでに他の子も診てあげるわ」

うふふん、と上機嫌なレオナ。

本を閉じて教会の奥へと向かう。他のシスターが来る前に、まずはシスター長であるスイラから診察することになった。

「【超鑑定】……あら。結構育ってるわ。ケーマさんからちゃんと精気もらってるのね」

「いえ。教祖様は我々に一切手出しなさいません。専属のサキュバスがいまして、お礼に夜這い、ということもできません」

「え、マジ? 精気どうしてるのよそれで」

「私達が教会で働いていると、それなりに好意を寄せられる事が多くてですね……あとはそういう方々が教会で寝たのを確認してから、夢で」

サキュバスは美味しく精気をいただけて、相手は煩悩がスッキリするのでWin-Winな関係になるようだ。

「ミサの日なんて食べ放題ですよ。素晴らしいです」

「案外合理的なのね、さすがオフトン教会……」

レオナが感心していると他のサキュバス達もやってきた。その中にひときわ幼いサキュバス、ミチルが居たので、レオナはスイラの次にミチルを診察することにした。

「お久しぶりです、レオナ様!」

「元気そうねミチル。貴女をこの村に置いて行って正解だったわ」

「はい、お陰様で飢えないし寒さに震えることもなくて。オフトン教とレオナ様に感謝ですねっ」

「ええ、じゃあ診察するわね。【超鑑定】……うん、順調ね。このままなら近いうちにクイーンになれるわ」

「ほへー……実感がないです」

反応が薄いミチルだが、周囲のサキュバス達はにわかに沸き立った。

「おお、国堕としに手が届きますね!」

「これは復権も夢ではありません」

「ええ、インキュバスどもに奪われた国を取り戻すのです!」

その中、困った顔をしているミチルに気づいたスイラがそっと頭を撫でる。

「ミチル? 乗り気ではなさそうね」

「スイラお姉さま……このまま、この村でシスターしてるのでいいんじゃないかなって」

「あら。ミチルはお姫様になりたくないのかしら?」

「というか、この村が快適すぎるんですよぅ」

ふむ。と頷くスイラ。確かにこのゴレーヌ村はとても快適だ。オフトン教があれば食事にも困らない。まさに安息の地、楽園というに相応しい場所だ。

「あとシド君も美味しいし……」

「隣村の村長でしたか。ミチルが気に入ったのであれば、時が来たら攫うのもいいですね」

「だ、だめです。シド君は村長として頑張ってるし、一応パヴェーラの次期領主筆頭なんですよ?」

「血筋的にも申し分なさそうです。攫わずにきちんと交渉して王配に迎える手もありますね。領主より身分が上になりますし、むしろ喜ぶんじゃないかしら」

「お友達もいますし……ニクとか、マイちゃんとか、ソトちゃんとか」

「彼女たちも招聘すればいいわ……レオナ様、何か?」

さらりというスイラだが、レオナに視線を向けられていることに気付き尋ねる。

「ソトちゃんに手を出すというなら、ここでミチルの『素質』をブッコ抜くわよ」

「……それは勿論、恩のある教祖様の娘ですし、けして無下にはしませんが?」

「それでもダメ。あの子にはここですくすくと育ってもらわないといけないの。時空神に頼まれたのよ、ソトちゃんを見守ってほしいって」

「畏まりました、仰せのままに。……それはレオナ様の目的、ということなのでしょうか?」

「ええ。素晴らしい報酬を約束してもらったわ。だからこれもこの村に来た目的の一つね」

うっとりとした笑みを浮かべるレオナに、ならば手を出すまいとスイラは諦める。

レオナと対立する選択肢は、基本的に無いのだ。

「大丈夫よミチル。スイラ達は最終的にはミチルに逆らえないから、ミチルの思うようにここでずっと暮らしてもいいのよ?」

「なるほど! クイーンって凄いんですね」

「それに、別にクイーンになってすぐインキュバス達を倒せというわけでもないでしょう? ある程度は修業しないと返り討ちにされるわよ。成長と合わせて5年くらいは見たいわね」

レオナがそう言うと「……それくらいなら、まぁ」とサキュバス達は納得した。

「ま、ニンゲンは成長早いし、貴族ならあと5年もすれば独り立ちするわ。ミチルもそれまでに色々考えておきなさい。あまり悠長にしてたら、あっという間よ?」

「はーい、レオナ様」

その後他のサキュバス達の健康診断もしたのだが、この時「この人まともなアドバイスできるんだ?」とスイラはレオナが本物かどうかを疑いかけたのはここだけの話だ。