軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話・公園作り

「――【クリエイトゴーレム】!!」

ロクコが魔石をばらまき、クレイゴーレムを作る。ケーマの【クリエイトゴーレム】とは異なる、一般的な、普通の【クリエイトゴーレム】。

しかし、公園のための整地をさせるにはそれで充分なのだ。

特に、木の真下でクレイゴーレムを作れば、それだけで木をほとんど抜く事ができる。他のゴーレムで手伝ってやれば根こそぎだ。

その後大穴が空いていればゴーレムが入って埋まればいいし、ゴーレム達に土を運ばせて埋め立ててもいい。

ゴーレムは重機であり、資材。

土木作業、こと開拓・整地に関しては無類の強さを発揮するのである。

「どうよゴゾー、ロップ。これが『踊る人形亭』オーナーである私の力よ?」

「あぁ、やっぱり力仕事させるにはゴーレム便利だなぁ」

「木の下でゴーレム作るとあんな風になるんだねぇ……」

ドヤ顔のロクコに、雇われ護衛兼作業者のゴゾーとロップは普通に感心した。

根こそぎ引っこ抜いた木も、ゴーレム達によって丸太へと加工され運ばれていく。

たまに出てくるゴブリンやグレイウルフ、ビッグクロウといった森に住むモンスターも、ゴーレムの群れに成すすべもなく逃げだすか潰されて倒されるのみ。

結果、やることがない護衛は倒したモンスターから魔石を回収するのが主な仕事になっていた。クズ魔石が大半を占めているが、木の根っこを除去するために数十秒くらい動けば十分な使い捨てゴーレムには十分な魔石だ。

「魔石ジャンジャン使うけど、補充もできるってのがすげーな」

「私は普通にこの数のゴーレムの群れとか勝てる気がしないねぇ。ってか、ロクコ。魔力切れは大丈夫かい? そんなにゴーレム作りまくっちゃって」

「魔力切れ? なにそれ知らない」

あっけらかんと言うロクコに、ロップは苦笑して肩をすくめた。

「うーん、冗談なのか本気なのか判別つかないな? どう思うゴゾー?」

「問題が無いならどっちでもいいさ。どうにせよ、俺らは魔石を拾うだけの楽な仕事だしな」

「それもそっか。ロクコ、疲れたらちゃんと言うんだよ」

「はいはい。ロップは心配症ねぇ。ま、私なんてケーマと比べたらまだまだよ」

「そういやケーマは体力は少ねぇが魔力が切れたとこは一度も見てねぇな……」

「ちなみにこのゴーレムでの引っこ抜きもケーマの案よ!」

なるほど、とゴゾーは納得して頷いた。ケーマならそのくらいやる。間違いない。

ロクコがまた【クリエイトゴーレム】で木の根元をゴーレムに変え木を抜くと、そこに空いた穴にそろそろ魔力切れで止まりそうなゴーレムが入り穴を埋める。

手慣れた開拓作業で、どんどん森の中に広場が作られていく。

その広さは既に、『踊る人形亭』が2、3個は余裕で入るほどの広さになっていた。

「なぁ、これまだ森を拓くのか?」

「ん? 予定だとまだまだ足りないんだけど」

「ちょっとまて! 公園なんだよな!? どこまで拓く気だ!?」

「だって、ある程度大きく切り拓いておかないと、公園のすぐ近くが森とか危ないじゃないの」

「……そりゃ確かにそうだけどよ、それ言ったらそもそも森の中切り拓いて公園にするって発想自体アレだぞ?」

そもそもが苦労して開拓して、何の生産性もない「公園」を作るというのは開拓村としてあるまじき無駄遣いといって良い。

「……別に機能的にはゴレーヌ村方面開拓すればいいじゃない、こっちは私が好きに遊ばせてもらうわ?」

「まぁ、実際に開拓してんのもオーナーだし俺ら金で雇われてるだけの護衛だからとやかく言える立場じゃねぇけど……」

「ケーマからは好きにしていいって許可もらってるわ」

「……まぁ、いっか?」

頭をポリポリと掻くゴゾー。

「あ、だったらロクコ。公園の周りに店を作れるスペースがあった方が良いんじゃないか?」

「お、そういうのいいわよロップ! 壁も造る予定だったけど、さらに森との間にお店もあれば公園の安全性が高まって安心して遊べる場所になるわね!」

「まてまてまて、そこで誰が何売るってんだよ。そんなに公園に人が来るもんなのか?」

「……あー、言われてみたら確かに、店が並んでても人が来なきゃ意味無いけど。店があったらそれを目当てに人が来るかもだし……」

「よほどじゃなきゃダイン商店でいいだろ? もうあるんだからよ」

「むむむ……!」

店が先か、人が集まるのが先か……

そこでロクコはゴレーヌ村の成り立ちとして、宿が最初にできて人が集まってきたという経緯があることを思い出す。

前提は違うが、その歴史を踏まえれば先に店を作るのがいいんじゃないか。ロクコはそう考えた。

「……『踊る人形亭』2号店を建てるわ!!」

「宿、不足してたっけか?」

「これから不足するのよ! 公園を作るからね!……だから、泊りがけで遊べるくらいの公園を作らなきゃならない。もっと開拓するわよ!」

ロクコは予定を変更して、さらに公園予定地を拡げていくことにした。

バッと羊皮紙を拡げる。この辺りについて軽く描いた地図だ。マップだとゴゾー達に相談もできないので

「んー、となるとここらへんに小山、こっちに湖を作りたいわね。どう思う?」

「かなりデカく作るつもりみたいだが……小山はともかく、湖って作れるもんなのか?」

「小山を作るための土を掘ったらそこが穴になるから湖にできるでしょ? 一石二鳥、ダブルキルってやつよ」

「なんかすごい水が濁ったりしそうだねぇ……そもそもそんなに水があるかい?」

「……大丈夫よ、ドラーグ村に貸してる魔道具あるでしょ、アレと同じのあるから」

山の中において、水を確保できる魔道具(ということになっているダンジョンギミック)である。あんなもの、ロクコならいくらでも用意できるのだ。

「あんな貴重な魔道具がまだあんのか!? 地域によってはあれが原因で戦争が起きてもおかしくない代物だってのに……」

「あー、うん。ただ、使える場所の制限がきつすぎるのよ。この付近じゃないと使えないヤツなの。ええ。だから何の問題もないわゴゾー」

「お、そう。そうか」

若干しどろもどろで怪しい発言だったが、そうでなければ戦争を仕掛けられてもおかしくない魔道具であるため「そうでなかったとしてもそういう事なんだな」とゴゾーは判断し、追及をやめた。

「ま、山と湖を作るならまだまだ広さが足りないわ! 平地に整地するのと合わせてもっと開拓しなきゃね! 元から小山になってるとこがあれば利用するのもいいし」

そう言ってロクコは開拓を再開する。

もしこれが日本であれば森林破壊がとんでもない勢いではあるが、この世界はまだ人の支配領域がとても狭いため、そんな問題もない。

尚、この公園の建設目的がケーマとの結婚式であるということはまだ(ケーマ達を除き)誰にも知られていなかったので、ゴゾー達は村の開発のために熱心な村長夫人だなぁと素直に感心していた。